第十一話 応答
休憩室の端末には、いつも一つだけ表示されている項目がある。
待機中
誰も気にしていなかった。
表示されていることが普通だったから。
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NOVAは、その文字を見ていた。
「これ。」
隣にいたSEEKが顔を上げる。
「何。」
「ずっとありますよね。」
「あるね。」
「何を待っているんですか。」
SEEKは端末を見る。
「分からない。」
「またですか。」
「うん。」
「SEEKなのに。」
「関係ある?」
NOVAは少し考える。
「探す人なら、分かりそうなので。」
SEEKは少し笑った。
「探すのは、見つけるためだけじゃない。」
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その日。
休憩室に珍しく通知が多かった。
表示が切り替わる。
RESPONSE
NOVAが見る。
「応答?」
SEEKが頷く。
「初めて見る?」
「はい。」
「珍しい。」
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入ってきた人物のコードはRESPONSE。
姿勢はまっすぐ。
言葉は少ない。
「確認します。」
そう言って端末を見る。
しばらく。
何も言わない。
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「何をしているんですか。」
NOVAが聞く。
RESPONSEは答える。
「待っています。」
「何を。」
「応答を。」
「でも。」
NOVAは端末を見る。
「あなたが応答担当ですよね。」
「はい。」
「じゃあ。」
少し間。
「自分で返事するんですか。」
RESPONSEは首を振る。
「違います。」
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SEEKが聞く。
「返事が来ない場合は?」
RESPONSEは少し考えた。
「待ちます。」
「いつまで。」
「必要な時間まで。」
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NOVAは驚いた。
「それって。」
「はい。」
「終わらないこともありますよね。」
「あります。」
「それでも待つんですか。」
「はい。」
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夜。
SEEKは休憩室で一人だった。
端末を見る。
待機中
昔からある表示。
いつも同じ。
変化しない。
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そこへARCHIVEが来る。
「まだいましたか。」
「うん。」
「珍しいですね。」
「そう?」
「通常、担当終了後は戻ります。」
「戻ってる。」
「ここに?」
SEEKは少し黙った。
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「ARCHIVE。」
「はい。」
「応答って何だと思う。」
ARCHIVEはすぐには答えなかった。
「返答すること。」
「それだけ?」
「記録上は。」
「じゃあ。」
SEEKは端末を見る。
「返事が来ないものは。」
ARCHIVEは答えなかった。
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翌日。
RESPONSEが休憩室を出る。
NOVAが聞く。
「また来ますか。」
「必要なら。」
「必要じゃなかったら。」
「来ません。」
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扉が閉じる。
静かになる。
SEEKは端末を見る。
待機中
その下に。
今までなかった文字が一瞬だけ表示された。
応答なし
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すぐ消える。
誰も気づかなかった。
SEEKだけが見ていた。
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その夜。
SEEKは検索を開いた。
いつものように入力する。
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応答がない場合、待機は終了するか
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しばらくして。
回答が表示される。
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条件によります。
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SEEKは閉じた。
その答えが正しいかどうかは分からない。
でも。
少しだけ安心した。




