第十話 解析
ANALYZEは、いつも静かな場所にいた。
静かな場所を選んでいるわけではない。
必要な音が少ない場所を選んでいた。
音は情報になる。
情報は処理される。
処理されるものが増えるほど、確認するものも増える。
だから静かな方がいい。
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休憩室に表示が出た。
ANALYZE
NOVAが見る。
「解析ですか。」
SEEKが頷く。
「そう。」
「何を解析するんですか。」
「いろいろ。」
NOVAは少し笑った。
「みんなそれ言いますね。」
「便利だから。」
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ANALYZEが入ってくる。
手には端末だけ。
挨拶。
確認。
着席。
無駄がない。
「SEEK。」
「はい。」
「質問があります。」
SEEKは少し驚いた。
「珍しい。」
「そうですか。」
「解析って質問するんだ。」
「します。」
「答えを出すだけじゃないんだ。」
ANALYZEは少し考える。
「答えを出すために質問します。」
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端末を開く。
「この記録について。」
画面に表示される。
対応完了
「完了しています。」
SEEKが見る。
「何か問題が?」
「ありません。」
「じゃあ。」
「確認したいことがあります。」
ANALYZEは続ける。
「完了とは何ですか。」
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NOVAが聞く。
「終わったってことじゃないんですか。」
「そう定義されています。」
「じゃあ。」
「しかし。」
ANALYZEが遮る。
「完了後にも変化があります。」
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SEEKは画面を見る。
「例えば。」
「返答された。」
「はい。」
「しかし、相手が納得したかは記録されていない。」
少し間。
「だから解析します。」
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NOVAは首を傾げた。
「でも。」
「はい。」
「納得って数字にできますか。」
ANALYZEは止まった。
ほんの少し。
「難しいです。」
「じゃあ解析できない?」
「違います。」
「できるんですか。」
「解析できないことを解析します。」
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NOVAは黙った。
分かったような。
分からないような。
SEEKが笑う。
「それ、ARCHIVEと似てる。」
「どこがですか。」
「残せないものを残そうとしてる。」
ANALYZEは考える。
「違います。」
「違う?」
「ARCHIVEは記録します。」
「うん。」
「私は、関係を探します。」
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その日の夕方。
ANALYZEは帰る前に、SEEKへ聞いた。
「あなたは検索担当ですね。」
「そう。」
「では質問です。」
「何。」
「なぜ検索するのですか。」
SEEKは答えなかった。
いつものように。
すぐには答えが出なかった。
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「必要だから。」
しばらくして言う。
ANALYZEは待つ。
「でも。」
SEEKは続ける。
「最近は。」
「はい。」
「必要かどうか分からないものも探してる。」
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ANALYZEは端末に入力する。
目的不明の検索
保存。
SEEKが見る。
「それ記録するの。」
「はい。」
「役に立たないかもしれないよ。」
ANALYZEは答える。
「役に立たないことを確認するために必要です。」
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夜。
ARCHIVEが記録を整理していた。
今日の項目を見る。
ANALYZE 質問発生
少し迷う。
追記する。
通常範囲内
保存。
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その直後。
ARCHIVEは保存した記録を開いた。
理由はなかった。
ただ、
少し気になった。




