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52 会議①


「皆、安心してほしい。彼の実力は親兵副隊長の俺が保証する」


 ディーフィーがフォローしてくれた。彼には感謝したい。だがそんなきっぱり言われると、ちょっとプレッシャーを感じてしまう。


 とにかく意見を述べる場を与えられることになった。ならば、せっかくだから言わせてもらうとしよう。吸血魔人らについて、認識を深めるべきではないかと。


 オレは魔人族らを鎮圧するつもりでここに来た。それでも魔人族らにだって主張はある。ただそれを知ってほしかった。少しは耳を傾けてほしかった。


 総司令官がオレの話にゆっくりとうなずく。


「ヤツらの生体をよく知り、ヤツらに相応しい制裁でもするってことか。捕獲後の拷問でも考えているのだな?」


 どうしてそんな解釈や発想になるんだ。

 首を横に大きく振った。


「そういうことじゃない。ヤツらの意見を聞くぐらいのことをしてみてはどうだって意味だ。闇雲にヤツらを叩いたって、反撃が繰り返されるだけだ。長期的に見れば解決にならない」


「だからこそ殲滅が必要なんだ!」


 軍側から声があがった。小さな拍手も起きた。

 これは駄目だ。耳を貸す気がないようだ。


 だいたい殲滅なんて現実的ではない。コーリシャス軍は伯爵領外に出られないからだ。伯爵領外に逃げていった吸血魔人は、いつか仲間を引き連れて報復にくるかもしれない。


 そう主張してみたが、皆、不満そうだった。


「話にならん。ヤツらを許して放置しろと言うのか」


 と、ふたたび軍側からの声。


「そうは言ってない。襲撃を実行したヤツらへの制裁は、やるべきだと思ってる。ただその前に一度くらいは話を聞いてみたらどうなんだ」


 非難の嵐が起きた。親兵側からも不満の声。

 なんかオレが悪者になってるじゃん。


「静かにっ!」


 大声を出したのは、意外にも軍側の総司令官だった。

 もしかして本当は話のわかるヤツなのか?


 オレの顔をじっと見据えている。


「我々と話をする意思が、ヤツらにあると言うのか?」


「話し合いの場を設けたとオレが言えば、ヤツらは応じるかもしれない」


「なんだと……?」


 総司令官は考え込んだ。

 表情の鋭さが和らぐ。


「もしや、ヤツらの弱みでも握ってるのかな。詳しく聞いてみたいところだが、いまそれはどうでもいい。だが、もしヤツらが話し合いに応じなかったら?」


「そんときゃヤツらの責任だ。制裁される覚悟もしてるだろうさ」


 オレだって制裁に回る覚悟はある。でなければ、ディーフィーに手を貸そうなんて思わなかった。


「いいだろう! キミの提案を受け入れたい。いろいろ思うところはあるが、一度は話を聞く価値があるだろう。場合によっては最低限の譲歩も必要となってくるかもしれん。親兵側の諸君はどうかな?」



 反対する親兵隊長を副隊長ディーフィーが説得。どうにか同意に至った。

 このあと詳細について話を詰めた。オレのやるべき段取りも決まった。



 まずオレはヤツらに会わなければならない。

 さて、どうしよう……。

 と思っていたら、あっさりと会うことができた。

 いつもの場所の付近にいたのだ。



 ヤツらに文句を言いたかった。ヒト族への襲撃ってどういうことだよ、と。


 しかし感情は極力抑えることにした。ここに来た目的はヤツらへの非難ではないからだ。決して大声で怒鳴ることはせず、ヤツら本人を前にネチネチと愚痴をこぼす程度にしておいた。


 それから話し合いの場を設けてやったことを伝えた。これについては感謝してもらいたいものだ。


「日時は明日正午。場所はコーリシャス軍総本部だ。もし少人数で来るのが不安なら、大勢で参加したっていいそうだ」


 ヤツらがすぐ話に飛びつくことはなかった。やはり警戒しているようだ。


「仮に大勢で行ったとして、皆が入れる場所などあるのか?」

「馬鹿デカい会議室があるし、入りきれないならば広大な中庭だってある」

「だとして。そこで意見を述べたとしても、無駄になるような気がするが?」

「必ず来いと言うつもりはない。だがオレはチャンスだと思うけどな」


 そう告げて別れた。

 しかし……。


 途中で足を止める。


「誰だ?」


 気配に振り返るが、誰もいなかった。

 いいや、曲がり角のブロックの陰に……。


 姿を現した。笑っている。


「こんなところまで尾行されて気づかないなんて、いつか死ぬよ」

「モアモア、何やってる? そりゃ誰だっていつか死ぬだろうさ」


 彼女の顔から笑みが消えた。


「あたいは……あたいは殺してないよ。ヒト族襲って殺してない」

「ワザワザそれを言いにきたのか」

「うっさい、バカぁーーーーーーー」


 モアモアは飛んで帰っていった。



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