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18 金貨十枚のために


 金貨十枚。十日以内に支払わなければならない。ミーンミアには『問題ない』なんて言ったが、実際オレには払うアテなどなかった。


「わたしがリムネに相談します」

「駄目だ! やめろ」


 それだけは避けたい。


 もちろんリムネは心優しい人物だと思う。だがミーンミアとしては、迷惑など絶対にかけたくないだろう。ミーンミアにとって、甘えていい相手ではないはずだ。ミーンミアには彼女の立場がある。今回のことをリムネに知らせるのは、オレが阻止しなければならない。


「ですが……」


 ミーンミアの肩にそっと手を置いた。


「リムネには言うな。オレに任せろ」

「ロフェイ……」


 ミーンミアに再度口止めし、リムネの邸宅近くの丁字路で別れた。


 さて、金貨十枚をどうしよう。

 とりあえずギルドに行ってみることにした。



 建物に入る。受付嬢のルーシャはオレを見つけ、駆け寄ってきた。

 だが……。この慌てぶりはなんだ?


「生きてたのね、ロフェイ。良かったわ」

「ルーシャ、なんのことだ。説明してくれ」

「狭間の森で、行方不明扱いになってたのよ!」


 ああ、そっか。ベッサーリリィが現れたんで、リムネやヘスナートと別々になっちゃったんだっけ。だから、死んだと思われていたかもしれないのだな。


「リムネとヘスナートは無事なのか」

「ええ。特にケガもなく狭間の森から帰ってきたわ」

「そうか。オレとミーンミアは、きょう町に戻ってきたんだ」

「良かったぁ。彼女も無事で何よりだわ」


 金貨十枚のことをルーシャに相談しようと思ったときだった――。


「朗報よ、ロフェイ。この町のギルド主催で、面白いイベントがあるんだけど」


 いまはイベントの話など聞きたくはない。


「悪いが興味ない。それより……」


 大事な相談があるのだ。

 しかしルーシャはオレを無視して話し続ける。


「冒険者の新人戦、中堅者戦、熟練者戦がそれぞれ開かれるの。ロフェイは絶対、新人戦に出場すること! きっといい経験が積めるわ」


「いや、そういうの要らないから。面倒臭そうだし。それより金……」


 金貨十枚について、相談しなくちゃならないのだ。

 しかしルーシャはオレの話を遮る。


「今回、新人戦と熟練者戦がトーナメント方式なの。ワクワクするでしょ。新人戦の優勝賞品はね、いつになく超々々々々豪華なものなのよ」


 超々々々々豪華なもの??


「もしや、き……金貨か?」

「賞金じゃなくて賞品よ」

「あっそ」


 喜んで損した。


「賞品は魔石なんだけどね。聞いて驚くがいいわ。なんと! ファイヤ系、ウォーター系、ウインド系の最上位となる『魔法の種』の中から、一つだけ選べるの」


 ファイヤ系は『ミニファイヤ』『ファイヤ』『メガファイヤ』

 ウォーター系は『ウォーター』『フォールズ』『メガフォールズ』

 ウインド系は『ウインド』『トルネード』『メガトルネード』


 だったよな? 最上位ってことは……。


「メガファイヤか、メガフォールズか、メガトルネードの『魔法の種』からどれか一つ、好きなのをもらえるってことか」


 ルーシャは手で大きくバッテンを作った。


「ブッブゥ~~~~~」

「なんだよ、ルーシャ。その嬉しそうな顔は?」


 自慢そうにこう説明してくれた。


「確かに、メガなんとかの魔法は、各系統の上位とされているわ。でもね、それらは、あくまで『一般に使用されている魔法の中で』ってことなの。今回の商品はそれよりも、さらに上のクラスの『魔法の種』よ。幻の魔法とも呼ばれてる超レアなもので、本当の意味で各系統の頂点なの」


「頂点の魔法……」


「そういうこと。ファイヤ系では『フレア』、ウォーター系では『ウォーターカッター』、ウインド系では『トルネードカッター』。今大会、きっとこれまで以上に多くの新人たちが参加するでしょうね」


「ちなみにそれを売るとすれば、どのくらい値がつく?」


「売るなんてもったいない。売らないでほしいわね。さっきも言ったとおり、その魔法は『幻』なんて言い方をされてるの。きっちりとした値段なんて誰もつけられないわ。にもかかわらず、あくまでも魔法の種だから習得できる保証なんてない。それにね、他の魔法の種と違って、残念ながらとても壊れやすいの」


「そりゃ、もったいないことになるな」


「そう。だから大枚をはたいて買うものじゃないわ。それにこれら頂点魔法は、習得が非常に困難。たとえばフレアを習得するためにはミニファイヤ・ファイヤ・メガファイヤという具合に、その系統すべてを習得済みであることが条件になってるわ。つまり、その魔法の種を持っているだけじゃ、無意味ってわけ。地道に経験を積まなければならない。だからこそ新人の賞品としては、最高なの!」


「で、どのくらい値がつく?」


「あんたねえ……。でもまあ。習得できずに壊れるリスクを考えると、金貨一枚でさえ渋る商人も多いと思うわ。だけど世の中には、それをどうしても買いたがる人だっている。総合的に考えれば、たぶん金貨十枚は簡単に超えちゃうかなぁ」


 金貨十枚以上になるかもしれない……。

 よし、決めた。


「ルーシャ。オレ、参加する!」



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