7話 事後処理と二つの疑問
「殿下!ご無事ですか?!」
「グラン。はい、なんとか大丈夫です。」
「殿下、失礼致します。」
グランジェは一言そう言うとラーシェイルの体に負担をかけないように、そっと抱き上げミシャーラとリュートの元へ連れて行く。
「シエルおにいさま!グランもありがとう!」
「とんでもございません王女殿下。」
「私は何も出来なかった。怖い思いさせてごめんねシャラ。」
「シャラはだいじょうぶだよ!シャラはシエルおにいさまのほうがしんぱい!」
「ありがとうシャラ。大丈夫だよ。」
―ガサ
四人は、また敵が来たのかと身構え、グランジェとリュートは腰の刀に手をかけるが…
「申し訳ありません父上。密猟者を見失ってしまいました。」
「アイラムか。仕方ない、すぐに捜索隊を要請しておこう。」
「兄上が取り逃がすなんて、厄介ですね。」
「よい。今は殿下と王女殿下の安全を確保するのが先決だ。」
「はい、父上。」
「今まで実態が掴めなかった密猟者を七人も捕らえることが出来た。一人は逃がしてしまったが…。他に仲間がいないか尋問にかけるとしよう。」
リュートは気絶している七人の男達に鋭い目を向けて言った。
その顔を見てグランジェとアイラムは背筋が凍る思いだったとか…
あの後リュートは一人残り、風属性の魔法風の便りで王宮に知らせを送り、兵士が男達を王宮の地下牢に連行して行くのを見送りながら、先程起きたことに思考が停止しかけた。
グランジェとアイラムに殿下達を王宮にお送りするように命じると、ラーシェイルは少しだけドラゴンの側に行きたいと言い出した。
リュートが「危険では?」言うとグランジェが「大丈夫かと思います」と言い出すではないか。
まあ弱っているし、ラーシェイルにどうしてもと懇願され、我々もいることだから渋々了承した。
近くに行くと相当ダメージがあるのか、大人しくしていた。
グランジェに抱かれていたラーシェイルは地面に降り、ドラゴンにそっと触れるとドラゴンの目が微かに開く。
リュートとアイラムはミシャーラを守りながらラーシェイルのことをハラハラと見守っている。
「ザイアスさん。すみませんでした。そして、リース達を守って頂いてありがとうございます。」
『僕の方こそ君に守ってもらった。ありがとう。ラーシェイル。』
「名前、呼んでくれて嬉しいです。早く体が良くなるように願ってます。」
『気持ちだけで十分さ。またここに遊びに来てよ。傷が治ったら一緒に遊ぼう。』
「いいんですか?人間に良い印象は無いはずですが。」
『ううん。ラーシェイルだったら大丈夫。だって、さっき僕の為に怒ってくれた。そして、今は僕の為に泣いてくれてる。』
「えっ?」
―ポタ
人間にこれだけ酷いことをされたにもかかわらず、人間であるラーシェイルを受け入れてくれたことに、ラーシェイルの目から涙が止まらなくなっていた。
ラーシェイルが自分が泣いていることを自覚し、涙が地面に落ちた時、光がラーシェイルを優しく包む。
―――光が収まった時ドラゴンの傷は跡形もなくなり、元気に起き上がった。
『ありがとう!ラーシェイル!どこも痛くないよ。』
「ザイアスさん。元気になったんですか?」
「うん!これでみんなと一緒に遊べるね!」
ラーシェイルは無意識に高難度の光の回復魔法を発動したようだ。
リュートはラーシェイルが偶然とは言えたった4歳で回復魔法を使ったことや、ドラゴンと会話をしている様子を信じられないと目を疑った。
回復魔法は魔力の消費が大きく、更に小柄と言えどドラゴンを完全に回復させたラーシェイルはすぐに眠ってしまった。
捕虜と兵士と一緒に王宮に戻ったリュートはすぐさま国王の元に報告に行く。
「報告は以上でございます。陛下。」
「あいわかった。ご苦労であったな。」
「はっ。」
「しかしラーシェイルが回復魔法を使うとは思わなかったな。」
「わたくしも驚きました。」
「将来有望だな!流石は我が息子だ。」
「それと、気になることがございまして。」
「ほう。」
「一つが何故、密猟者はあの場所を知っていたのかと言うこと。
あの場所は王宮から入るか、外部から入るにはごく一部の者しか知らない通路からしか入ることが出来ません。
もう一つがラーシェイル殿下が、ミシャーラ王女殿下に危険が迫った時に放ったシャイニングバーストやドラゴンを癒やした回復魔法を使ったことです。
どちらも非常に多くの魔力を要する魔法で、使用するにはCランク以上のリースの協力が必要です。しかしあの場にはそのような高ランクのリースがいると言う報告はありません。」
「ふむ。ラーシェイルが目を覚ましたら聞いてみるとしよう。今はゆっくり休ませてやりたい。」
「御意。」
後日取り逃がした男を追っていた捜索隊から、男の息絶えた姿を発見したとの報告があった。
更新が遅くなり申し訳ありませんでした。また頑張ります。
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