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リースと光の王太子  作者: 御心
幼少期編
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5話 リースと幻獣


三人の近くに光輝く無数のリース達が集まりだした。

リースの体長の大きさは様々で、ほんの数㎝しかない儚さを抱かせるほど小さなものから、ラーシェイルの身長の半分程もある大きなものもいる。


リースの研究をしている者が書いた文献によると、リースの体の大きさはランクの強さと比例すると記載されている。

ランク付けは人間の研究者が勝手につけているが、研究者達が何の根拠もなくランク付けを行っているとは思えない。

おそらくレア度や魔力の強さ等も含めてランクを決めた結果、体の大きいリース達は魔力も高く、個体数も少ない為にその結論に至ったのであろう。


「皆さん、こんにちは。」


「こんにちは!シャラたちといっしょにあそぼ!」


『やあ、また来てくれたんだね!』


『ラーシェイル、そのお兄さんはだあれ?』


「この人は私たちの騎士なんですよ。名前はグランジェ。私たちはグランと呼んでいます。」


『騎士だって!すごいすごい!』


『僕もグランって呼んでいい?』


「グラン、リース達が自分もグランと呼んでいいか聞いてますよ?」


「えっ?殿下はリース達の言っている事がわかるのですか?普通は契約しているリースとテレパシーでしか会話が出来ないはずですが。」


「はい。実は私はリースと話す事が出来るんです。今まで黙っていてすみません。」


「そんな。お気になさらず。」


グランジェはリース達のほうを見る。


「自分のことはグランと呼んでくれて構わないよ。みんなよろしく。」


「良かったですね、皆さん。」


『やったね!友達がまた増えた!』


『やったやったー!』


「みんな、どうしたの?はやくあそぼうよ!」


少し離れた場所から大きな声で楽しそうにミシャーラが呼んでいる。


『シャラが呼んでる!行こう行こう!』


「おいかけっこしよう!」


『いいね!逃げろ逃げろ!』


「いくよー!よーい、すたーと!」





ラーシェイルはしばらくするとハアハアと息があがりだし草の生い茂る地面に座り込んでしまったが、ミシャーラはまだまだリース達と追いかけっこを続けていて体力は底なしなのかと思った。

グランジェは流石に体力には余裕があり、息ひとつ乱していない所をみると、ラーシェイルはまだまだ剣の稽古を頑張らなければと密かに思ってしまった。


「大丈夫ですか?ラーシェイル殿下。」


「あっ、はぃ。だい、じょう、ぶです。」


ラーシェイルが座り込む姿を確認するとグランジェが遊びを辞めてすかさず側に寄り添う。




「シャラの追いかけっこが終わればもう少し奥に行きましょう。」


息が整ってきた頃にラーシェイルがそう告げた。


「えっ、これ以上奥にですか?」


「大丈夫ですよ。グランのお父上に言われているのでしょう?」


「はい、わかっておいででしたか。」


「ふふっ。クラフト伯爵は私達の事をとても大事にしてくださいますから。直ぐに分かりますよ。」


「お恥ずかしいです。父にも伝えておきます。」


パタパタ


「シエルおにいさま!グラン!なんのおはなししてたの?」


ミシャーラが満足した様に向こうから走ってきた。

普段王宮にいる間は走ると、危ないとか、お淑やかにとか色々言われており、思い切り走り回って遊ぶことができずにいる。

ここには口うるさいメイドもいないし、転んで怪我することもない。

草がクッションの役割を果たしてくれるし、その前にリース達が風の力で助けてくれる。

王宮の廊下の時のように…


「楽しかったかい?シャラ。」


「うん!いーっぱいおいかけっこたのしかったのー!」


「良かったですね。王女殿下。」


「シャラ、もう少し奥に行こう。」


「はーい!いこう、いこう!」


リース達も楽しかったようで三人の後をついて来る。


「この奥には何かあるのですか?」


「行ってからのお楽しみです。」


「すごいんだよ!グランにもみせてあげるね!」




しばらく進むとうさぎや鳥等の小動物達も近寄ってきた。


「皆さんおはようございます。」


ラーシェイルは動物達に話しかけているが、まさかリース以外に動物とも話す事ができるとは思うまい。


「殿下。まさかとは思いますが動物達の言葉もわかるのですか?」


「言ってませんでしたか?リースだけでなく、生き物の言葉は全て聞き取れるんですよ。もちろん会話もできます。」


ラーシェイルは小さい頃から動物やリース達と話すことができたらしい。

最初に見かけたのはラーシェイルのメイドのマイラで、庭で遊んでいる時に偶然飛んできた小鳥と戯れている時だった。

初めは言葉を理解しているとは思っていなかったようだ。

しかし毎日観察していると日が経つにつれ会話が成立していることを感じ、王妃リシェットに報告すると、契約精霊のフィスリーはちゃんと言葉を理解していると言ったのだ。


その後もラーシェイルは小さい動物にも興味をもち、楽しそうに話しかけていて、また動物達も楽しそうにラーシェイルの話し相手になっているようだ。

今までに動物やリースと話せる人物は当然いないとされており、医務官長や魔法師団長に聞いても何故話せるのかは謎のままである。

結論は出ないが彼らは、ラーシェイルのことを動物に愛された子と思うことにした。


「グラン、着きましたよ。」


広い湖が広がっているがその湖の側に何かいる様だ。


「こんにちは。今日は私達の友達を連れて来ましたよ。名前はグランジェです。」


『こんにちは、シエル。可愛いお友達ね。』


「ま、マーメイドですか!これは珍しいですね。」


「そうなんです。私達はネヴァと呼んでいます。それにここにはネヴァ以外にも沢山いますよ。」


グランジェはマーメイドに目がいって周りが見えていなかったが、そこには滅多に目にすることが出来ない生き物、幻獣達がラーシェイルとミシャーラを歓迎している。


「こんな所にこんなに沢山の幻獣がいるなんて…。殿下、この場所は誰かに話しましたか?」


「いいえ。話したのはグランだけです。恐らく知られてはいけないと思ったので。」


「そうですか。それは良かったです。確かに知られてしまえばここは密猟者がくる可能性が非常に高いです。」


マーメイドの他に一角うさぎのアルミラージや水馬のケルピー、二角獣のバイコーン、さらにはウンディーネがいた。

その他に幻獣ではないものの、ヴォジャノーイやノームもいた。


湖の側なので水属性が多いようだが、それにしてもここは異常なほどにレアな生き物が集まりすぎではないか?

確かに環境はとても良く、外敵も見る限りいないであろう。

それ以外に理由があるとすれば、生き物に愛されたラーシェイルの存在か。


グランジェはここを知られるわけにはいかない、まずは国王に極秘に知らせる必要があると直感した。


「殿下。王女殿下。そろそろ帰りましょう。国王陛下と王妃様が心配なさいます。」


「そうですね。シャラ、帰りましょうか。」


「えー。いまきたばかりだよ?」


「わがまま言わないの。またいつでも来れるでしょう?」


「はーい。」


ミシャーラが渋々帰ることを了承した。


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