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リースと光の王太子  作者: 御心
幼少期編
3/20

2話 第一王女 ミシャーラ

「おにいさまっ!」


「ミシャーラ!」


長く埃一つ無い赤い絨毯が敷かれた廊下を歩いているラーシェイルはふと、声がした方を振り返る。


メイドに手を引かれ、『お兄様』と呼んだのは、この国の第一王女であり、ラーシェイルの妹でもあるミシャーラである。


テクテク。


絨毯で足音がしないのだが、そんな音が聞こえて来そうな程に、おぼつかない足取りで歩いている。

何しろまだ2歳になったばかりであるからして、仕方のないことかもしれない。


第一王女のメイド、サラサは大事な主が怪我をしない様に日々、邁進している。


「おはよう、シャラ。」


「おはようございます!シエルおにいさま!」


ミシャーラは、薄い桃色のフリルワンピースを自慢げにふりふりと揺らしながら、ラーシェイルと同じ黄金に輝くパチクリとした大きな瞳で見つめて何かを待っている。


「今日も可愛いよ。よく似合ってるね。」


「ありがとうございます!シエルおにいさま。かみもサラサにやってもらいました!」


ミシャーラの一歩後ろでサラサが、ラーシェイルに対して頭を下げる。


本日のミシャーラのヘアースタイルは、全体的にゆるくウェーブがかかっており、サイドを細く三つ編みし、それをハーフアップにしている。

更には小さなリボンが付いたカチューシャもしている。


「それは良かったね。

サラサ、いつもシャラの事を見てくれて、ありがとうございます。」


「とんでもございません!姫様のお世話をお任せ頂き、私は幸せです。」


「シエルおにいさま!はやくいきましょう!」


「あっ、姫様!走ってはいけません!」


ミシャーラがラーシェイルの手を引き、促すとその手を離し先に向かって走り始めた。


「待って、シャラ!」


「シエルおにいさまもサラサも、はやく、はやく!あっ!!」


「ひ、姫様っ!」


案の定、ミシャーラは躓き転びそうになる。


「危ないっ!」(お願い、誰か助けてっ!)


心の中でラーシェイルが叫ぶと…


――ふわっ。


不思議なことに、ミシャーラの体が不自然に一瞬浮き、すとんと優しく絨毯の上にペタンと座り込んだ。


――ふぅ。


ラーシェイルが一つ息を吐く。


(みんな、ありがとうございます!)


何も無い空中に向かって心の中で感謝する。


サラサは一瞬驚いた顔を見せるが、直ぐに我に帰り理解する。


「姫様!お怪我はありませんか?」


「あははっ!びっくりした!なんだかおそらをとんだみたい!」


勿論ミシャーラ自身は何が起きたかは理解出来ないようだ。


「シャラ、急に走りだしたらあぶないでしょう!それにみんなを心配させてもいけません。いいですか?」


「はーい、シエルおにいさま。」


「本当にいつもシャラには驚かされますね。」


まだ2歳のミシャーラはお転婆で毎日元気いっぱいである。


「サラサ、ありがとうございます。後は大丈夫ですので、仕事に戻って下さい。」


「はい、ラーシェイル殿下。では、失礼致します。」


メイドの仕事は多岐に渡り、主人がいない間も山の様にする事があり、また主人が居ない間にしか出来ない事も沢山あることをラーシェイルは勿論知っている為、さりげなくサラサを下がらせる。

働く者に対しての気遣いも王族の大事な努めである。


「今日は一段と楽しそうだね。」


「うん!だってきょうはシエルおにいさまとずっとおやくそくしてた、たんけんにいけるんだもん!」


「そうだね。なかなか忙しくて行けなくてごめんね。」


「へーき!シエルおにいさまだーいすき!」


「ありがとう。シャラ。さあ一緒に行くよ。」


ラーシェイルがミシャーラの手を取り歩きだす。


「しゅっぱーつ!」


王族の事などまだちゃんと理解していないミシャーラも、ラーシェイルの手を握りしめて満面の笑顔で歩きだした。







――――二人で手を繋いで歩いていると、巡回している兵士達が足を止めてラーシェイルと、ミシャーラに頭を下げて、二人が通り過ぎるまで頭を上げようとしない。


兵士達は徹底的に訓練され、王族は勿論の事、貴族に対しても万が一無礼な振る舞いをしないように、上官から教育を受けている。

頭を下げていいのは、通り過ぎるのを待つか、緊急事態の時、あるいは身分の高い人物に声をかけられた時だけである。


そんな彼らにラーシェイルは挨拶をしてまわるのは、もはや毎朝の習慣と化している。


「皆さん、おはようございます。」

「おはようございます!」


王族の二人に挨拶をされた兵士達は、頭を一瞬上げて、

「おはようございます。ラーシェイル殿下。

おはようございます。ミシャーラ王女殿下。」

と挨拶を返して直ぐにまた頭を下げる。


ラーシェイルは物腰も穏やかで、常に誰に対しても丁寧な口調で接するので、王宮の皆からは絶大な人気がある。


その挨拶まわりの日課が終わればいよいよ朝食に向かう。


朝食の時は出来るだけ王や王妃、その子供たちも一緒に食べることになっている。


大きな扉の前には騎士が二人おり、ラーシェイルとミシャーラの姿を確認すると、一礼をして扉を開けた。


更新が遅くなりました。申し訳ありません。探り探りですが、しばらくお付き合いください。

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