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リースと光の王太子  作者: 御心
幼少期編
18/20

17話 光のリース レイル


後日、カストル兄様から報告のあった黒いリースの捜索をすることになった。

もし発見されればファラリス王国で新種のリースとなる可能性が高い。

研究者たちは大興奮で我々も同行したいと申し出があったが、あまり大勢で行くと姿を見せない可能性があり、今回はご遠慮してもらった。


カストル兄様は遠征で来れない為、今回捜索隊に加わるのは

第二王子 ルヴェル

第三王子 ラーシェイル

第二王子専属騎士 シュード

第三王子専属騎士 グランジェ

とまあお馴染みのメンバーである…

ただ一人を除いては


「ほほっ。では一緒に参りましょうか。」


グランジェがチラリと横に目をやる

どうやらグランジェの祖父、ユリシスが同行するようだ

いつになくご機嫌の様でニコニコしている。

何でも昔騎士でありながら、リースの研究もしていたとかで興味があるらしい。

グランジェは、いつもより目が輝いている御歳63の我が祖父に、恥ずかしそうに目を伏せて顔を赤らめている。


今回もミシャーラはお留守番だが少し聞き分けが良くなって、怒ることはなかったが、ジークに抱きついて離れないので、今はジークに抱きかかえられながら涙をこらえてラーシェイル達に手を振っている。


「まだ密猟者がうろついているかもしれません。どうかお気をつけて。」


「ルヴェルおにいさま、シエルおにいさま。いってらっしゃい。」


ミシャーラとジークが心配そうに見送る。


「はい、行って参ります。」


「シャラ、行ってくるね!」


目的地の近くまでは馬で向かい、同行していた部下達に馬を預けて報告のあった場所までは徒歩で行くことになった。

4歳のラーシェイルも乗馬は嗜んでおり、何の問題もなく馬に跨がる。







途中休息を挟み、およそ半日をかけて到着すると森の中に部下と馬を待機させ、捜索を開始する。


実は黒いリースの捜索とは別にもう一つ目的があった。


あの日襲撃を受けたあと、少し離れた所に青年が怪我をして倒れており王宮に連れて帰り治療することになったのだ。

その青年は背中に猛獣に襲われたような爪痕が残されており、密猟者たちに襲われてパニックになった動物たちが身を守る為に攻撃し、たまたま近くを通りかかった青年が巻き込まれたのだろうと言う見解だ。

聖際の儀が行われた日の夜に、ラーシェイルは久々にまたあの怖い夢を見た。

翌朝、青年のことも気になり、夢を見たことを報告するために医務官長の元に行くと、青年が目を覚ましていた。

何があったか事情を聞こうとしたが、襲われたことが余程怖かったのか、ショックで声が出ないようで、震えながらも筆談で説明してくれた。


まず名前は、カイン ホールドマン14歳

数ヶ月前に盗賊たちに襲われて別れてしまった双子の兄を探して旅をしていたようだ。

カインはあの日いつものように森の中を旅していると、籠を持った男たちが熊に襲われている所に出くわし、丁度良かったと身代わりにされたらしく爪で引っ掻かれた。


ラーシェイルはその時何があったのか、熊にも話が聞きたいと思っていたのだ。


リースよりも熊の方が見つけやすい為に先に熊の捜索から始めた。


「うーん。見当たらないようですね。」


「そうですね。もう少し奥に行ってみましょう…。」


―ガサガサ


「何かいます。静かに。」


―ガサガサ


ヌッと生い茂る草の中から体長2メートル程ある大きな熊が姿を現す。


―グガァァァ


確かに、これは恐ろしい。

いや、襲われたカインはもっと恐ろしかっただろう。

しかしラーシェイルは臆する事なく話かける。


「こんにちは!クマさん!私はラーシェイルと言います。あなたのお名前は?」


「シエル、危険だ!」


ラーシェイルしか熊の言葉はわからないので今どの様な状態か判断が難しい。

固唾を飲んで見守り、グランジェとシュードはいつでも主人を守れるように身構える。


「大丈夫です。ルヴェル兄様。わたしにお任せ下さい。」


『……ラーシェイル?まさか…あのラーシェイルか?』


「どのラーシェイルかは分かりませんが…わたしは確かにラーシェイルですよ?」


『やっぱりあのラーシェイルだ!オレの言葉が分かるんだよな?』


「はい、もちろんです!」


『やっと会えた!オレはリック!ラーシェイル、助けて欲しいんだ!』


「リック、良い名前ですね!どうしたんですか?」


『こっちに来てくれ。』


どうやら心配は無用だった様だ。





リックについていくとリースが羽を怪我をして動けなくなっていた。


「どっ、どうしたんですか?」


『籠から逃げようとした時に当たったみたいで、飛べなくなってしまったんだ。あいつら許せない!』


「そうだったんですね。また人間があなた達にご迷惑をおかけしてすみませんでした。」


『いや、悪いのはラーシェイルじゃないし、謝らないでくれ。』


「ありがとうございます。この子は辛いはずですね。すぐに助けます!」


『ありがとう、ラーシェイル。』


「ユリシス!」


「はい。ラーシェイル殿下。」


「シュシュの力を貸していただけませんか?」


「もちろんですとも。シュシュも喜んでおります。」


「ありがとうございます!シュシュ、お願いします!」


『わかったわ!行くわよ、ラーシェイル!』


ユリシスのリース、光属性のシュシュは回復技に優れている。


『シャインヴェール。』


リースが優しい光に包まれ、傷がみるみる治っていく。

あっという間にリースは元気に飛び回り、嬉しそうに笑った。


「良かったですね!シュシュありがとうございました!」


『いいのよ!ラーシェイルの頼みならいつでも聞くわ!』


『ありがとう!ラーシェイル!また飛ぶことが出来て嬉しい!』


「いいえ。ご迷惑をおかけしました。」


『ラーシェイルが何で謝るの?君は悪くないのに。』


「同じ人間として恥じるばかりです。二度とこの様なことがないように尽力します。」


『ありがとう、ラーシェイル。僕は君のことが大好きだよ!』


『わしからも礼を言わせてくれ。』


突然眩い光が目の前に現れて声が聞こえてくる。

まるで後光がさしているようだ。

前にもこんなことがあった気がする。


「…あなたは?」


『わしはレイル。光のレイルじゃ。お前のことはずっと見ていたぞ。シエルよ。』


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