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リースと光の王太子  作者: 御心
幼少期編
13/20

12話 第一王子と第二王子


貴族の子供を助け、お礼がしたいと言うので馬車に押し込まれて着いた先は


「おい、ここは?」


「我がファラリス王国の王宮、リシリア城です。」


なんと…まさか城に連れてこられるとは思っていなかった。

王の住まう城にはあまり良い思い出がないジークは普段から達者ではない口がより静かになってしまった。


兵士のいる城門を抜け、広く長く城の美しい庭を進むと馬車の中の人物達を迎える為に兵士や騎士が並んでいる。

馬車から降りると一斉にこちらに頭を下げて


「お帰りなさいませ!ラーシェイル殿下。ミシャーラ王女殿下。ご無事で何よりでございます。」


ん?今なんと言った?

殿下?王女殿下?


「ジーク、いまからおもてなしするから、こっちにきて!」


「ちょっと待て!殿下と王女殿下って……」


質問をするジークと、頭を下げる兵士達のことはお構いなしにミシャーラはジークの手を引き中に案内する。






「シャラ!シエル!怪我は無い⁈」


赤い絨毯がひかれた中央の大きな階段から心配そうな声をあげて優しそうな気品溢れる女性と、その後ろからは侍女らしき人が降りてきた。


「ははうえ!シャラは大丈夫!ジークがたすけてくれたの!」


「まあ、それはありがとうございました。わたくしはシャラとシエルの母のリシェットと申します。なんとお礼を申し上げたら良いか…」


「ジークと申します。どうぞお構いなく。」


美しい女性を前にどうしていいかわからず、タジタジになるジークだが、失礼にならないようになんとか返事をする。


「あら、こんな所で失礼致しました。さあ、どうぞ中へ。」





客間に通され、出された香り高い紅茶を飲みながらシャラのおしゃべりに付き合っていると


コンコン


「失礼するよ。」


「ちちうえ!」


「無事で何よりだ。シャラ、シエルもな。」


おそらくこの国の王であると判断したジークは立ち上がり一礼する。


「そなたが私の子供たちを助けてくれたそうだね。感謝する。何か褒美をさせてくれ。」


「いえ。何も褒美など必要ありません。」


「そう言う訳にはいかない。この国の王子と王女を助けて貰ったのだから。」


やはり、この子たちは王族だったのか…

だがこの子たちは他の腐った王族とは違う様に見える。

子供ゆえの純粋さかそれとも環境がその様にさせるのか。

僅かしか一緒にいなかったが裏表が全くなく、純粋に慕ってくれているのがわかる。

もしこの子達のもとで騎士として使えることが出来たらどれだけ…

いや、そんな夢の様なことは望むだけ無駄だ

情が移らぬ内に早々にこの国を去ろう。


「そう言われましても、本当に望みがないのです。」


「ふむ、困ったね。」


国王ヴァンジールには我が子達を見るジークの眼差しがとても優しく見えて、強く逞しいこの不器用な男が何故か惜しい人材に思えた。


コンコン


「失礼します。父上。」


「おお、お前達良い所に。」


「シエル、シャラ、無事で良かった。」


「僕と兄上も心配したよ。」


「ご心配をおかけしました。兄上。」


「ジーク君紹介しよう。長男、第一王子のカストルと、次男で第二王子のルヴェルだ。」


「ジーク殿、我が弟と妹を助けて頂きありがとうございました。」


「ジーク殿、僕からも感謝申し上げます。お強いんですね!」


「恐縮です。」


「おにいさま!きょうはジークのかんげいかいをするの!いっしょにパーティーしましょう?」


「そんな、そこまでして頂くわけには…」


「ジーク、私からもお願いします。シャラの為にも少しだけお付き合いください。」


ラーシェイルにもそこまで言われると非常に断りづらい。

ジークは見た目こそ近寄りがたく、口下手で、怖い印象をうけるが、本人も気づいていないであろう、実は子供好きだったようだ。


シャラとシエルが王族だとわかるとジークは口調も呼び方も改めだした。

シャラたちにはそのままでいいのにとごねられたが、流石にそのお願いは聞けなかった。




今夜は無礼講だ。と国王が言うと、あれよあれよと言う間に開かれたパーティーもお開きに近づく時間になり、ミシャーラが驚く言葉をジークに告げた。


「ジーク!おねがいがあるの!シャラね、まだせんぞくのきしさんがいないの!シャラだけのきしさんになって!」


「お、俺がですか?」


「うん!ばしゃのなかでジークをみつけたとき、なんでかわからないけど、どきどきがとまらなくて、あのひとがきしさんだったらいいのになぁっておもったの!だから、ちちうえ、ははうえ、いいよね?」


「ああ、シャラがそこまで言うなら私は構わない。なあリシェット。」


「ええ、わたくしも大賛成です!」


「ジーク君、君さえ良ければ第一王女ミシャーラの専属騎士になってはくれないか?」


「お待ちください!素性も知らない俺を王女殿下の騎士にするのはいかがなものかと。」


「ジーク。私からもお願いします。」


「ラーシェイル殿下。」


「シャラはあなたと話しをしていると、とても楽しそうで目が輝いています。シャラにはまだ専属騎士はいませんが、シャラが初めて自分で選んだ騎士があなただったのは、決して偶然ではないと私は思います。」


ミシャーラは口を挟まずに静かにジークを見上げて返事を待っている。


「しかし、このような無骨な男、王女殿下にふさわしくありません。」


「ふさわしいかふさわしくないかは周りが決めることではありません。シャラがあなたを必要としていてる今、あなた自身がどうしたいかです。」


まさか先程諦めた夢の様な話を向こうから申し出てもらえるなどつゆにも思わず、ありのままの思いを告げる


「…ミシャーラ王女殿下は、こんな俺にずっと笑顔を向けてくださる。俺にとって光の様な存在になってくださると、心から思っています。ミシャーラ王女殿下も、まだ出会って数時間の俺を心から信じてくださった。」


ジークは決心し覚悟を決めた顔でミシャーラの前に膝をつき、頭を下げて告げた。


「どうか俺をあなたの側で一生お守りさせて下さい。ミシャーラ王女殿下。」


「よろこんで!ジーク!」


周りにいた者全員から笑顔があふれた。







その日の夜、騎士の役目を引き受けて国王から、改めて話しがあるので執務室に来るように言われ、案内された部屋のドアを叩く。


「失礼致します、陛下。ジークでございます。」


「入りなさい。」


「はっ。失礼致します。」


「ジーク、と呼ばせてもらうよ。」


「はっ。」


「先程は娘のわがままを聞いてくれて感謝する。」


「いえ、俺は心のどこかで王女殿下の側でお守りしたいと思っていました。大役を立派に果たしてご覧に入れます。」


「頼もしい限りだ。…さてそろそろジーク自身の口で聞きたいことがある。」


「……俺の素性のことでしたら嘘偽りなくお話し致します。」


「うむ。お茶を用意させる。かけたまえ。」



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