表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青い縁の話――韓国宮廷で燃え上がる恋  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/10

第六話「波紋」


件は、静かに動き出した。


ハルは筆跡の証拠を携えて、上へ報告した。

左参議(ささんぎ)は調査を受けることになった。


けれど、波紋はハルの側だけに留まらなかった。


ミナのところにも、やって来た。


ある朝、先輩の尚宮(サングン)がミナを呼び止めた。


「文書を外部の者に見せましたね」


声は低く、冷たかった。


「記録の確認をお手伝いしただけです」


「規則に反します」


先輩尚宮は厳しい目でミナを見た。


「どのようなお気持ちで、そのようなことを」


「記録が改竄(かいざん)されているなら、それを正すことも私の務めだと思いました」


「あなたの仕事は、記録を管理することです。正すことではありません」


ミナは黙った。


言い返す言葉はあった。

けれど、それを口にすれば、さらに波紋は広がる。


その夜、廊下でハルと会った。


「申し訳ありません」


ハルは開口一番、そう言った。


「あなたに迷惑をかけてしまいました」


「迷惑ではありません」


ミナは言った。


「私が選んだことです」


「それでも」


「ハル様」


ミナは、はじめて少し強くその名を呼んだ。


「記録は、正確でなければ意味がありません。私はそのことを知った上で動きました。後悔はしていません」


ハルは、ミナを見つめた。


「あなたは、どうしてそんなに真っ直ぐなのですか」


「真っ直ぐでなければ、記録が曲がります」


ハルは、少しだけ笑った。


「本当に、記録のことしか考えていないのですか」


「今は、そうです」


「今は、ということは」


ミナは答えなかった。


廊下の灯りが、二人の影を長く伸ばしていた。


(第六話 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ