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生命の天秤・4

「侵入者です!」

「またなの!」

「もおぉーー!」

「かぁーやってらんねぇ!」

夕方からこの調子で5人目だ。


「で、死んだのは誰」

「今度は2番目の侵入者です!」

「はぁ、やっぱランダムなのね」

「何となく分かってきたけどね」


侵入者5人で村人が3人と、1番目と2番目に侵入した者が死んだ。

最大人数は19人のようだ。

本当に19個の椅子取りゲームなのだが、誰か死ぬのかわからない。

ロシアンルーレットの方が近いかも知れない。


語見さんのスマホが鳴る。

「はい、分かりました」

スマホを置くとみんなを集めた。


俺たちが持って来たモニターに、つばめちゃんがノートブックを繋ぎteamsをたちあげる。

モニターに糸子さんが映る。横には大伴くんと柳沢さんがいる。


「連絡聞いてるわよ。侵入者が後を絶たないようね」

「いゃぁーもう警備の人達も参ってますよ」

「お母さん何か分かったの?」


「それは私が説明します」

柳沢さんがPC画面を共有した。

「そこは“生命の天秤“と呼ばれる石があったんです」


柳沢さん話によると・・・

ここには近づく生命力を無差別に奪い、量いっぱいになると適当に放出すると言う“生命の天秤”と言う石があった。それを固定と言うか封印する為に、石祠で動かないように囲ったのがここの石祠だ。


この前の地震で地面に落ち石祠と石が外れ封印が解け、溜まっていた生命力を分配しているらしい。

19個なのはたまたま分配スタートして、エリア内にいたのが19人だったからのようだ。

そのあとはランダムな椅子取りゲームだ。


これを辞めさせるには掘り起こして石祠で結界を張るのが良いのだがそれは無理なので、木霊を地面に打ち込み葬剣師の気を一方方向に流し、天秤の片側だけ荷重をかけた所で固定するしか無いようだ。

俺と語見さんで荷重を掛け、直美さんが結界を張り固定する感じだ。


「ただね・・・」

「ただ何ですか?」

糸子さんは言いにくそうだ。

「たぶんだけど19人は帰ってこないわね」

「何でですか!」

「生きたまま死者と繋がって生体エネルギーを送ってるのよ?」

「あぁ、取り憑かれて居る状態ですもんね」

「それもかなりの重症なので、どのみち帰って来れないと言う事ですね」

「語見くんの言う通り、そう言う事なのよ」


「とてつもない量を取られていますからね」

「その取られている量によって死ぬ順番が決まってると思うのよ」

「アグレッシブに動かないおじいちゃんとか、あんまり喰わないって事かな?」

「そう言う事ね」


「あーなるほど・・・侵入者さん久しぶりで、毎日何回も激しく愛し合ったって嬉しそうに自慢してたから・・・」

「ちょっと!あなた何聞いてるのよ!」

大塚くんが宮本さんに思いっきり殴られていた。

「あなたは今日のお昼抜きね!」

「何でだよ!仕事じゃんか!」

「すけべ!」

突然、夫婦喧嘩が始まる。


「ただこの供給もいつまで続くか分かりません、1時間後かも知れないし10年後かも知れないし。でも空になったら無差別に生命力を吸収し始めてますよ。非常に危険な状態だと思います」


「私達も今からそっちに行くわ、19人に説明するから」

「お待ちしています」


************


2時間後村に糸子さんが、大伴くんと柳沢さんを連れて到着した。


村役場の会議室に全員を集め説明する。

ただ、19人全員連れ合いと一緒に逝きたい。と言う事だった・・・


「まぁ、そうだと思っだけどね」

「うーん、ちょっと困った状態ですね」

「待つしか無いのでは?と言うのが国の幹部の意見ね」

「19人の寿命まで?」

「そう、ただこの村に侵入されないように出来るかが問題ね」

「それ難しいんじゃ無いですか?と言うより無理てしょ?」

「どうしても入り込んで来るわよね。世界的に有名になっちゃったから。ここの為に下手すれば戦争になりかねないわよ」

「あり得ますよね」


「はぁ〜、19個の椅子の争奪戦ですか・・・」

「政治的に使うのなら使えるそうだけど、なんとも不安定要素が大きすぎる。って言ってたわ」

「まぁそうですよね。いつ破綻するか分からないんだから」



「大変です!19人が倒れて意識を失ってます!」

「黄泉下りの19人は?同じく意識無しです」


「大変!結、急いで直ぐ視てきて!」

「うん、わかった!どこ?」

「隣りの1階ロビーです!」

糸子さんに言われ、結とダッシュで向かった。


「あっ!もう薄い・・・」

1階ロビーに倒れている人達を見て結が呟く。


「何が薄いんだ?」

パンッ!

「喝破!」


視えた。

黄泉下りの人達と山に繋がる白い紐の色が薄くなり、黄泉下りから生きている人への紐が太くなって居る。

どんどん生気が抜かれて居るのがわかる。


「結!これヤバイぞ!」

遅れてやって来たみんなも直ぐに理解した。


「雄介・語見くん・直美!頼むわよ!」

先の尖った1メートルほどの螺旋の入った樹脂の棒を渡された。

「コレは?」

「中身は木霊です!地面に押し込んでからスイッチを入れて下さい!」


************


周囲を警護して居るオフロードバイクに乗った自衛隊に協力してもらい、後ろに跨り山を登ってもらう。

最悪の乗り心地だが速い!飛ぶように走る。

何と2時間掛かるところを30分で来てしまった。


祠のあった場所に木霊を突き立てスイッチを入れる。

爆発音と共に棒は錐揉みしながら地面に潜って行く。

その穴に手を当て思いっきり気を投げつける。

断捨離の術ではなく、ただ一方に放出するだけだ。


直ぐに語見さんにかわる。

全体量は俺の方があるが、流れの太さは語見さんの方が多いようだ。


最後に直美さんだ。

締結(ていけつ)!」


結がバイクに乗せてもらい到着した。


パンッ!

「喝破!」 


ペットボトルぐらいの小さい円が地面に打ち込まれて行っている。

白い紐は黄泉下り人から切れたらしく、イソギンチャクのように漂っている。


直美の術が今度は上に伸びると、イソギンチャクはその筒状の中に入って揺れていたが、しばらくすると動きを止め地面に沈んでいった。

(うぉっ!凄えー!)

術がここまではっきり視覚化されるとなかなか凄い迫力だ。

俺たちだと感覚と光ぐらいにしか認識出来ない。


「やったかな?これで大丈夫だと思うけど」

「たぶん大丈夫なはずよ、締結はウチで一番強い術だから」

「では撤収します」

「はい!」


帰りもバイクに乗せてもらう。

下りなのであっと言う間に到着した。













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