生命の天秤・3
翌日、4人で石祠の跡地に向かった。
緩い山道を進み小さな小川を2つほど渡ると、急に傾斜がきつくなる。
ゆっくり休みながら2時間程登るとその跡地に着いた。
地割れと言えば、確かにそんな感じはする。
不自然な境がある。
結は祠の場所では無く村を見下ろしている。
「・・・」
「結、どうした?」
「うん、村に入った時は分からなかったけど、ここから19本の紐が出て村の色々な所に伸びてるみたい。あとなんか村にサークルがあるかな」
「紐?」
「サークル?」
「あっ!ちょっと待って!」
結が柏手をパンと打つ。
「喝破!」
『うおぉーーー!』
結の術により我々見えるようになった。
細い白い紐が伸びて動いている。
村も何か輪みたいな物で囲われている。
「やっぱり石祠は地面の中のようですね。掘り起こしの依頼をしましょうか?」
「感覚からいうと、掘り起こしはたぶん無理よ?」
「ありゃーそんな深いですか」
“バシッ!“
「あっ!一本切れた!」
目の前で1本が切れ、切れた紐が村に引っ張られていく。切れたゴムが縮んで行くような感じだ。
「あっ!一本青いのが出た!」
地面から青い線が出て村に伸びて行った。
しばらくすると青色から白色になった。
「今のは何だったんだろう?」
4人は顔をあわせる。
「うーん・・・結ちゃん悪いけど午後から、黄泉下りした19人も視てくれないか?」
「もちろんOKですよ」
30分程回りを見たのだか、特にこれ以上の発見は無く山を降りる事にした。
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「大変です!」
山を下っていくと入り口で鴨川つばめちゃんと大石くん待っていた。
「つばめちゃんどうしたの!」
「侵入者です!それと1名亡くなりました」
「詳しくは戻ってから報告します。まずは汗を流して来てください」
風呂で汗を流し集会所に戻る。
「芹澤くん報告お願いします」
「11時頃、村への侵入者1名。東京在中の36歳女性。と同時にその女性の去年事故で他界した夫が黄泉下りしました」
「えっ!村に入っただけで?」
「遺骨を持っていたらしいですが、それが無くなりました」
「やっぱ、そうなんだ!」
「それで、村人の望月スミさんが倒れ亡くなりました。同時に彼女の黄泉下りの夫も消え去りました」
『!?』
「何それ!」
「えーっと、椅子取りゲームみたいな?」
「俺もそう思った!」
みんな頷いて居る。
とりあえず午後からは19人の面談だ。
面談と言っても結が視るだけなのですぐに終わる。
隣りの村役場の会議室に向かった。
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「どうだった?」
「えーっと祠から白い紐が出てましたよね?」
「うん」
「それが亡くなった人に繋がっていて、その人から白い紐が呼び出し相手に繋がってますね」
「ほう!」
「それこんな感じですか?」
Webで参加している山梨の研究室の大伴くんが、ホワイトボードに書いた絵を見せる。
「そうそう、そんな感じ」
「山梨の大伴くんと柳沢さん、ここら辺の伝承とか調べられない?」
こちらもWebで参加している糸子さんが、パソコン越しに尋ねる。
「ウチの資料室にデータにアクセスしても良いですか?」
「もちろん構わないわよ。ただアクセス専用のPCだから、霞ヶ関まで来てもらわないとダメよ?」
「分かりました。車ですぐそっちに向かいますので」
「よろしくね」
「では2時間後に」
我々、葬剣師と浄眼師には数百年の裏の世界に関する膨大なデータがある。
三見室長にはアクセス権が無かったが、資料室の糸子さんは昔からアクセス権を認められているのだ。
これで何か分かるといいのだが・・・




