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生命の天秤・2

「えっ!何それ、私お父さんに会いたい!」


俺と結は霞ヶ関の事務所にいる。

母親の二見糸子室長に呼び出されたのだ。


帰庭村の死人帰りの件だ。

最近は“黄泉下り”と言われている。

似たような話が小説であり、映画化もされており原作の先生はマスコミ対応でてんてこ舞いしていると聞いた。


「えーっとそれでその19人は、どう言う扱いなのですか?」

「そのままよ」

「故人扱いですか?」

「今のところはね、そこで結に行って来もらって詳しく視てほしいのよ。5日前に1班2班が村に入って、一昨日から語見くんと直美が行ってるわ」


「それパニックになってないんですか?」

「なってるわよ!村に入れば故人が蘇ると思って、遺骨やらを持った連中が押し寄せてるわよ!」

「お母さん!村に遺骨持っていけばお父さん蘇るの?」

「そんな事やめなさい!許しません!」

「ですよねえ」

「残念」


「自衛隊、警察で村周辺を警護してるわ、あと、はいこれ!」

「何ですか?」

「買い物メモ。向こうに居るうちの連中が買って来て欲しい物リスト」

ざっと見ると食料品・お菓子やら生活雑貨やら色々だ。

「はい、コレ車の鍵ね。ノートブックとこの大型モニター持ってって」

「分かりました、じゃあ行って来ます」

「よろしくね」


地下駐車場からランクルを出し、ホームセンターに向かう。

そのあとは、ドラッグストアとスーパーに行かなくてはならないのでなかなか忙しい。


買い物を終え17時過ぎに村の入り口に着いた。

とにかくマスコミの多さにはうんざりした。

日本だけでなく海外からもかなり来ているようだ。 


入り口で警察手帳を出し荷物のチェックをされる。

大石くんが村の入り口のゲートで待っていてくれたので運転をかわってもらう。


村役場の隣りに隣接している集会場を借りているそうだ。

「風呂はそこの村営露天風呂です。素晴らしい事にほぼ貸し切りです」

「おー!」

集会所に入るとすぐ夕飯になった。


「雄介も結ちゃんも久しぶりねぇ!」

「直美さんもー、身体はどうなんですか?」

「それがさぁ、色々診てもらったら腸にポリープとか見つかってねえ除去したわよ。良性だから良かったけどね。あとは色々悪かったところもリフレッシュしたわよ!労災扱いだからなんか得したわよ!」


「結さんこの塩美味しいですねぇ!」

亀戸の鴨川つばめが、鶏肉の塩焼きを口いっぱいに頬張っている。

「ふふふっ、この沖縄のお塩はウチのお店でも使ってるのよ!」

「えー!それちょっと欲しいかも!」

「でしょ!今回みんなにお土産で持って来てるよ!お母さんに渡したからもらってね」

「やったぁー!」


食事を終え片付けてみんなで風呂に行く。

「いやぁーコレは良いですねえー」

「カポーン!」

向こうは露天ですよ。

「おっ!それは良いね!」

早速、露天風呂を見に行く。


(おぉーー!)

こじんまりしているがなかなか趣きがある。

「あー!星がきれいだぁー!」

隣りから結の声がする。

「そうだね降ってくるようだね!」

「うん!」



風呂から戻ると、全員でミーティングだ。

「なんか社員旅行っぽいね」

「そうなのよ!」

「なんか楽しいです」


「はいはいミーティングやるよー」

語見さんと芹澤くんが会議を進める。

語見さんが帰庭村の伝説の説明をしてくれる。


・・・なるほど、山の上にあった石祠に、あのイザナギ・イザナミの伝承もあるんだ。


「で、村の人の案内で俺と芹澤・大石・大塚で探し回ったけど、石祠は無いんだよ」


「ただ地割れの跡があるんですよ。植物が不自然に地面に喰われてて。大晦日に大きな地震があったそうなんです」

「石祠は地面の中?」

「たぶん地面の中です。翌日から例の現象ですから、絶対関係ありますよね」

「結ちゃんは明日その跡に行って、何か視えるかお願い」

「了解です」


「では明日9時に出発。芹澤・雄介・結・と俺が行く。居残り組は黄泉下り19人の訪問」

「了解!」


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