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生命の天秤・1

もう1つ「生命の天秤」を追加します。

最後の秘境と言われる帰庭村(きていむら)が、関東の東にある。

村人も19名の高齢者しか住んでおらず、廃村間近と言われている。


そんな帰庭村には代々伝わっている話しがある。

古事記にはイザナギが死んでしまった妻のイザナミを連れ戻す為に、黄泉下りを決意し旅立った話しがあるが、ここ帰庭村には黄泉の国への扉があり、ここより旅立ったと言う事だ。


その場所は山の頂上に近い場所にあり、1メートル四方の石の祠が入り口とされていた。

元はエッジが効いていたであろう屋根も、現在は雨風で削られ丸くなっている。

訪れる者も無く苔で覆われ周囲と同化している。



20**年・12月31日・大晦日


ちょうど昼頃、この地域に震度6の局所的地震が起きた。

ドンドンと言う2度だけの縦揺れで、1回目のドンから2度目までは5分程間があった。


村では物が落ちたりと言う程度の被害だったが、山では1度目の揺れて地割れが出来、2度目のドンでその割れは元に戻った。

幸い大晦日なので山には誰も居なかったので、被害はかなったのだが、石祠が崩れ地面の中に吸い込まれて行った。


そして朝から村に異変が起きた・・・


************


〜翌日〜

20**年・1月1日・正月


望月スミはいつも同じ時間に起きた。

朝の5時だが、それが何十年も習慣だから辛いとも思わない。

ただ、今日は正月だ。

子供も居ない、夫にも2年前に先立たれ独り身のスミにとって、正月は一年で1番空しい日になってしまった。

ふと“死にたい・・・”っと思う事もある。


腕を振るって作ったおせちも自分で食べるだけだ。

ついつい作り過ぎて、結局は捨ててしまっている。

(来年はもう、おせちを作るのはやめようかねぇ・・・)


ドンドン!

玄関のドアを叩く人がいる。


(何かしら?お正月から?インターホンを鳴らさないなんて死んだあの人みたいだねぇ)


ドンドンドン!

「はい!はい!そんな叩きなさんな!」

どてらを着て玄関に向かう。


玄関のシルエットには誰かが立っている。

その姿を見たスミは固まった。


「あなた!?、あなたなの!」

「おぉ、スミか!早く開けてくれ!寒くてたまらんぞ!この寒いのに素っ裸だよ!」


この日、帰庭村には過去死んだはずの19人の村人が戻ってきた。


この事実はビッグニュースとなり世界を駆け巡った。


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