生命の天秤・5
村役場のロビーに行くと黄泉下り人の姿は無く、そこには28人分の服が残されていた。
帰庭村は村人が全員居なくなり廃村となった。
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ミステリーツアー流行って居るそうね。
帰庭村の死者のよみがえり。そして全員の神隠し。
よみがえったパートナーと共に天国に旅立ったのだ!など毎日のようにワイドショー、雑誌で特集をやっていた。
世界的にも注目を集めた。
生命の天秤の山は監視の為、国の所有地とし立ち入り禁止とした。
帰庭村は県が観光化した。
毎年世界から何十万人も訪れる名所となった。
世界一のパワースポットと評判だ。
会いたい人の遺影を持ってこの村に泊まれは、必ず夢で逢いに来てくれる。っという話しが更に客を呼んだ。
やがてここは“天国に一番近い村”と呼ばれるようになった。
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「今回はなんかやり切れない思いなのよ」
「そうだね、後味が悪いね」
「でも亡くなった人達は、会いたい人に逢えたから良かったと思うよ」
「お母さんはお父さんに逢いたい?」
「ちゃんとさよならしたし、心の整理は付いてるから無いわね」
「ドライね」
「そんなもんよ」
「そうかなぁ・・・」
(そこで俺を見るのはやめて欲しい)
「あそこはもう大丈夫なのかしら?」
「要監視ね。無理矢理思いエネルギーをかけて天秤を固定しているだけでだからね」
「バランス良く釣り合っていれば良いのにね」
「だから封印していた石祠がいいのよ。その祠の中で循環するから、天秤もバランス良く吊り合うのよ」
「なるほどねぇ」
5日ほどこっちで過ごして俺と結は沖縄に戻った。
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数年に一度、帰庭村の山の方で裸の人の目撃される。
その度、我々がこっそり確認しに行っている。
廃村になった途端に、何十万人も訪れる地になったとは何とも皮肉な話しだ。
最近は観光客相手に商売をやる人も増え、その人達の希望で村の復活運動が盛んになって来た。
裏の情報によると、来年からまた村にしようか検討して居るそうだ。
それを聞いて、モヤモヤしたものを感じた。
何とも後味の悪い事件だった。
終




