白磁の皿・2
東京メトロを霞ヶ関駅で降り、中央合同庁舎2号館の地下の公文書編纂室に行く。
白いドアを開け部屋に入る。
珍しく占い師の直美さんもいる。
チョコチップ入りのスコーンと厚子牛乳のパックを机に置いて食べている。
隣りの席に帽子を置き直美さんに挨拶をすると、紙コップに厚子牛乳とスコーンを1つもらったので座って一緒に食べる。
ちょっと口の中でパサつくスコーンを低温殺菌の濃い味の牛乳で流し込む。
「うまっ!」
「そうでしょう〜!最近お気に入りなのよー」
紙カコップを流しのゴミ箱に捨て、奥のデスクに行く。
デスクでは昼行灯と呼ばれている三見室長が待っていた。
「スコーン美味しそうだったなぁーいいなー」
ボヤく室長を無視する。
ペーペーの俺たちより大きな室長のスチールデスクの上に桐の箱を置く。
ここに来る前に二見家から室長に電話を入れた。
その際、その皿を持ってくるように指示されたのだ。
「雄介くんあのね、亡くなったご主人は門扉丈平さんだよ。で奥様は二見糸子さんなんだよ?」
「はい、そうですが?」
「雄介くんねぇ〜そこ気付かないとダメなところよ?」
「何がですか?」
「君の母の旧姓は?」
「扉ですが?」
「でしょ?扉守一族だよ」
「は?何ですかそれ?」
『えぇぇーーーー!』
俺の答えに室長と直美さんがめちゃ驚いている!
「雄介そこに座れぇー!この仕事やっててなんで知らないんだ!」
室長とソファにすわる
「いいか?よく聞けよ!」
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穢れや未練が視える力を持つ【扉守】と言う一族がいる。その者達は浄眼師と呼ばれ、ちょっとした穢れなどを浄化出来る能力を持ち、祓を生業にしていた。
この者達は苗字に“扉”と言う字が使われる事が多い。
我々、葬剣師は【御見】と言う一族で宮廷直属の祓い屋で苗字に“見”という字が使われる。
祓いの能力は別格に高い。
ただ穢れは感覚で察知出来るが、“視える”扉守一族にはとてもかなわない。
発見する能力は扉守一族が上だ。
民間の祓屋が扉守一族で、公的な祓屋機関が御見一族だ。
昔から何かと協力体制にあるので祓いの力を保つ為に婚姻を結ぶ事が多い。
ただここ最近の子供は浄眼が出る事が多い。
出ることが多いと言っても、さすがに子供全員が能力に目覚める事は無いので浄眼師も減っている。
それ以上に、圧倒的な祓いの能力が高い葬剣師は減少傾向にある。
「そんなの全く知りませんでしたよ!」
「まじか・・・」
「嘘でしょ・・・」
室長から扉守一族と御見一族の話を一通り聞いた。
「まぁ、今は扉守一族も御見一族も一緒になってらような状態で、実際にうちの部署にはどっちの一族もいるしな。現在では祓う能力が強いのを葬剣師と呼んでいるな」
「もう、大介ちゃんも留李ちゃんたらダメじゃない!成人したらちゃんと説明しないと!」
直美さんが俺の机の上に置いてある、父と母の写真に向かって文句を言っている。
「だいたいみんな“見”が付いてるからおかしい?とか思わないの?」
「それはちょっと思いました・・・じゃあ俺は人見で一じゃないですか?で今回の二見さん、室長の三見さん、語見早雲さんは五見、で直美さんの遠見は十見、4・6・7・8・9は居るんですか?」
「七見さんは何年か前に退職したから居るな。記録からは六見は居たらしいな。ところでその皿“思い”が感じられるな」
「あっ、やっぱり分かります?」
「まぁ、俺もそう言う商売だからなw、まぁ話は分かった。行って来て良いぞ」
「はい?結構簡単にOKしますね?」
「まぁ、大人の事情が色々あるんだよ」
「はぁ?ではこの仕事受けますね」
「よろしく頼むぞ!」
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二見さんに連絡を入れ、この仕事を受ける旨を伝える。
娘さんの名前と住んでいる所を聞き、お互いの連絡先を交換する。
日程決めとホテル・航空チケット・レンタカーの予約をした。
繁忙期では無かったのでスムーズに予約が進む。
出発は1週間後となった。




