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白磁の皿・1

今日は整理されてる部屋なので片付けも進む。

空気も澱んでいない。

こういう部屋は本当に珍しい。

たいがいは物で溢れかえっている部屋が多いのだ。

この仕事も長くやっていると生前の人となりが分かるようになる。

「者に聞くな!物に聞け!」っとよく父が言っていた。


ここの主だった門扉丈平(もんぴじょうへい)・46歳。

事故で亡くなられたと聞いた。

効率的な物の置き方や配置などから、とても仕事が出来る優秀な人と見た。


離婚して一人暮らしだったらしいがハガキなどから、元・妻子とは普通に仲も良いようだが?

家族三人で撮った幸せそうな写真が、何枚かコルクボードにピンで止められていた。


左側の女性がこの整理の依頼主である元妻だ。

整理を頼むほど仲は良かったのであろう事がわかる。

仲が良いが借金の関係で離婚の形を取る夫婦もあるが、督促状なども無い事から離婚理由は借金系では無いようだが?

まぁ俺には関係無い。


最後の部屋、キッチンへと移る。 

キッチンの斜め上の棚にクッキングペーパー・テッシュペーパー・トイレットペーパーの予備が積み上げられていた。

下そうとするとそれの上に桐箱が置かれていた。

落ちないように取り上げて見ると箱にはリボンがかかっている。

中身は皿のようだ。

(プレゼント?)

すぐに何処かに持って行く予定だったのか?一時置きされた感がある。

上のリボンにカードが挟まっているので開いてみる。


“結、20歳誕生日おめでとう”


(娘さんか?)

どうするか悩んだが、何か圧を感じたのでこれだけは処分せずに娘さんに渡す事にし刺子のズタ袋に入れる。


大物家具を家具リサイクル屋と搬出しそのまま彼らに持って行ってもらう。

鍵を大家に返しダンボールはウチのワゴンRに入れ巣鴨を後にする。


新百合ヶ丘の自宅兼店舗に着くと、裏にある倉庫に荷物を運び込む。

念のため1ヶ月保管しその後、廃棄物と売却品を振り分けるのだ。

(さてこの皿を届けて終了だな)


ワゴンRを車庫に置き依頼主の梅ヶ丘に向かう。

小田急線新宿行きに乗り成城学園前で各駅停車に乗り換える。

・・・祖師ヶ谷大蔵・千歳船橋・経堂・豪徳寺・梅ヶ丘

10分ほど揺られ梅ヶ丘に着く。

駅を降り大学の方に歩いて行く。途中を右に曲がりそのまま進み少し入り組んだ辺りを抜け、依頼主の二見さんの家に着いた。


白い壁には蔦が絡まっている。

昭和モダンな建物だ。

私はブサー意外の何者でもありません!と主張するブザーブサーしたブザー?を押す。

ボタンはきれいに沈まず片沈みし、ビーーーーー!

っと単調な音を出す。


「はい?」

「人見メモリアルです。ご依頼の件本日終了しました」

「あぁ、はいはい」

返事と共にドアから40代半ばぐらいの優しそうな女性が顔を覗かせる。

依頼主で部屋の主の元妻・糸子(いとこ)だ。

「こちらキッチンにありました。プレゼントかと思い先にお持ちいたしました」


糸子が箱を受け取り、カードを見てリボンを解く。

白磁の24センチ、いわゆる八寸皿のメイン・パスタ用のミート皿が3枚出て来た。

3枚と言う事は家族分であろう。


リムには緑のラインの縁取りがある。

これによりフレーミング効果が生まれる。

これがある事により料理が額装されたように見えるのだ。


糸子さんはしばらく箱を見たり皿をみたりしていた。

「ちょっと、電話して来て良いですか?」

「はい?どうぞ」


俺は玄関で出されたコーヒーを頂く。

(うまい!エチオピアモカか?)

程よい酸味がフルーティーだ。一緒に出されているロータスオリジナルカラメルビスケットの、程よい甘さとシナモンの香りがコーヒーを引き立てる。


飲み終わる頃、糸子さんが電話をおえて戻って来た。

「あの、人見さんちょっとお願いがあるんですが・・・」

「はい何でしょう?」

「これ、娘に届けて頂けませんか?」

「かまいませんが、お近くにお住まいですか?」


「いえ、沖縄県に住んでます」

「沖縄!いや、それは荷物送ったほうが良いんじゃ無いですか?」

「そこを何とかお願い出来ませんか?」

「いやぁ・・・」

「もちろんお仕事として依頼するので、旅費宿泊費も全てお支払い致しますのでお願いします」

「いや、ちょっと・・・」

「お願いします!」

「・・・はぁ、ではちょっとスケジュール確認しますね」

(三見室長の許可取らないとなぁ・・・)









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