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遺品整理屋

チャッ……

大家から受け取った鍵を使い、巣鴨のアパートの一室に入る。

玄関で靴を脱ぎ室内履きに履き替え部屋を見渡す。


キッキンを見ると無駄な物が無く片付いている。

(今回は少ないかな?早く終わりそうだ)

各部屋の写真と動画を撮影する。


その後はダンボールを複数組み立て5つのプラカードをぶら下げる。

左から

1・貴重書類系

現金・通帳・クレジットカード・権利書・保険証・年金手帳・メモ帳や手帳


2・思い出系

写真・アルバム・手紙・ハガキ・愛用品・故人の趣味物


3・形見分け系

時計・アクセサリー・着物・コレクション


4・売却可能系

ブランド品・貴金属・骨董品・家電・切手・古銭


5・処分系

衣類・古い家具・日用品・布団・使用感ある家電


ツナギに着替え保護眼鏡・マスク・薄手のアラミド手袋の上にウレタンの薄手の手袋を重ねる。

寝室に行き作業を始める。


************


俺は人見雄介(ひとみゆうすけ)26歳、独身でもちろん?彼女無しだ・・・

仕事は遺品整理屋を営んでいる。

父と母と俺の家族3人でやっていたが、父と母は数年前に交通事故で他界した。


いや、表向きはそういう処理をしたのだが実は違う。

人見家の裏の家業での事故だ。


ウチは何百年と“穢れ・(わざわい)・未練”などを祓ってきた一族で、それを家業としている。


穢れや未練を放っておくと大変な事件を起こす事がある。

過去に何度もまさかの大事件や、戦争にまで発展してしまった事があるのだ。

それを祓うのが我々の“葬剣師(そうけんし)”という仕事。

もちろん我が国だけでなく、他の国にも似たような部署がある。


日本は公開していないが警察庁の公文書編纂室(こうぶんしょへんさんしつ)、通称・図書室が葬剣師の集まりだ。

非常勤だがれっきとした公務員なので、何かと国のバックアップがあるのは助かる。


俺の他にも書家の語見草雲(ごみそううん)・32歳と、占い師の遠見直美(とおみなおみ)・41歳が在籍している。

2人とも良い先輩だ。

我々はあらゆる何処から情報を得る為に皆副業を持っている。

まぁ非常勤で給料も安いので、昔から足りない分は別の仕事で稼ぐ事になっていると言うのもある。

ただし室長の三見走馬(さんみそうま)・43歳だけは常勤である。


と言うわけでウチは“遺品整理・人見メモリアル”と言う会社を営んでいる。

よく間違えられるが遺品整理屋は孤独死・事故現場・害虫駆除・脱臭・殺菌の特殊清掃はやらない。

目的は故人の持ち物を整理・分別・処分するのが仕事となる。


親族が亡くなり家を片付けたいとか、賃貸物件を退去する場合とか、相続した家に住みたい・売りたい。こう言うケースで利用されるのが遺品整理屋だ。

ほぼ、賃貸の大家さんからと遺族からの依頼される遺品専門のリサイクル業者と考えてもらえば良いだろう。


************


物には時折り強い思いが留まる。

そしてちょっとした物でも放置すると大事に至る事もある。


有名なのは“明暦の大火”だ。

別名“振袖火事”と言われる。

よく、後付けの話しと言われるがこちらが本当だ。


恋焦がれたまま死んだ少女の呪われた振袖が、

次から次へと持ち主を殺し、最後には江戸城の天守閣を焼き江戸の町の60%を焼き、10万人以上の死者を出したのだ。


この火事後、江戸城に天守閣は建てられなかった。

隅田川には火を逃れようと避難した死者が溢れていた。その後避難用の橋が新たに建てられ、両国橋と呼ばれるようになった。道幅も広がった。


たかが着物1枚で10万人死亡、そして都市計画も変えてしまったのだ。

何がどう転がるかわからない。

こんな物?っと思っても馬鹿にしてはいけない。何かを感じた物は浄化をするのだ!










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