五彩の闇・5
翌日マトリの調査結果が出た。
素晴らしく仕事が早い。さすがエリートは仕事が出来る!
全員、長テーブルに集合している。
「捜査にご協力頂き恐縮です。昨日周辺のカメラを調べた結果ですが、色々出て来ましたのでまずご覧ください」
モニターにノートを繋が画像を映した。川上さんと女が歩く姿が確認される。毎回同じ女だ。
「ビンゴですか?」
「はい、イロハ11文字と11門で間違いありません。川上側が場所と日にちと時間を指定するようです」
「日と時間は?」
「3枚目をアップした2日後の19時です。月曜アップ日が多いですね」
「SNSは決まった日に更新することが多いですもんね」
「ええ、それもありますが、ここ最近一般企業では水曜日はノー残業デーなのですよ」
「はい?」
「したがって水曜日の18時から20時ぐらいまでは皇居ランナーが多いのですよ」
「えぇ!?、そうなんですか?」
「何か、風吹けば桶屋が儲かるみたいな・・・」
「土日は多いのはもちろんですが、平日では水曜日のその時間は異様に人が多いです。最近ではますます増えつつあります。人混みに紛れてやり取りするには最適です」
「はぁ〜、知らない事が多いなぁー」
「いや、我々もこんな事が無い限り気が付きませんでした。組織の狡猾さには正直驚きです」
「この女は?」
画像を拡大していく。
「けっこう歳かな?」
「・・・・・・」
マトリと室長・糸子さん・遠見さんが怖い顔をしている。
「知り合いですか?」
「ここの前任室長だ」
室長が語見さんの質問に答えた。
「は!?、身内ですか!」
「元な!元!」
「語見くんが入る前に途中で退職してるのよ」
「ちょうど10年前ですね」
「あーちょうど俺と入れ替わりですね」
「七見弦現在60歳住所不定」
「住所不定?」
「退官と共に引っ越していますね」
「室長は年賀状とか出して無いんですか?」
「・・・・・・・」
(出してないのか・・・)
皆の目がやっぱりと言う、生暖かい目で三見室長を見る。
「生まれも育ちも海外だから、日本のそう言う面倒なしきたりは嫌いなんだよ!」
『えっ!?』
「そうなんですか!?」
「どこの国なんですか!」
「イタリアだよ!」
「おぉ!ラテンブラット」
「熱いぜ!」
「うるせえ!」
「ちなみ七見弦はルーマニアです」
「ルーマニア?」
「馴染みが無いですね」
「1989年にチャウシェスク政権に対し革命が起きてます」
「あぁ!何か銃殺を日本の深夜のテレビで流したそうですね」
「その後、政権混乱とインフレに苦しみましたが、2000年に入り奇跡の経済成長を遂げ東欧の虎と呼ばれます」
「今は景気が良いのですか?」
「アンチエイジングが世界一進んでいます。あとはIT系がかなり強いですね。旧政権ではオソロ国と友好関係でしたが現在はキッパリ切れてます、と言うより敵認定している感が有りますね。日本には友好的で、若者達も行ってみたい国のトップに来るほどの人気です」
「へぇー!」
「七見弦は20代は旧政権のセクリターテに所属していたと言う噂があります」
「何ですかそれ?」
「当時、国民を監視する秘密警察ですね」
「へ?そんな人を日本は雇ったんですか?」
「祓の腕は確かでしたからね。あと政権混乱で身元調査が上手く進まなかったんですよ。まぁ今となって思えば、自分で処分したかも知れませんね。やり手ですからね」
「それって、革命起こって身元が分かるもの処分して、オソロ国に逃げて雇ってもらって、オソロ国の人間として日本に潜り込んだんじゃ無いんですか?」
「我々もオソロ国のスパイであると判断しています」
「日本はチェック機能がガバガバで緩いですね」
「海で守られていた島国人の危機管理の甘さです。国民も官僚も政治家も危機感が無いですな。今、公安が必死になって動いています。でも圧倒的に人不足ですね」
ジリリリ!
語見さんのスマホが鳴り画面を見る。
「ん、香子さんか?」
スマホを耳に付けた。
「はい語見です、どうしました?・・・・はい?下田ですか?分かりました」
通話を切った語見さんの顔は厳しい。
「下田に行く」




