五彩の闇・1
朝から霞ヶ関に出勤している。
テーブルを挟み目の前に室長と糸子さんがいる。
「ダメか?」
「いやそりゃOKですけど、資料屋は良いんですか?」
「もちろんよ」
数字の件後、効率化という観点で部署が再編成された。
上司はトップは三見走馬室長、その下に二見糸子係長となる。
図書室と資料屋は研究屋は一緒になり名称は公文書編纂室に、通称はそのまま図書室。
なお、静岡は唯一の職員が定年により退官したので閉鎖した。
室長・三見走馬
係長・二見糸子
1班・大塚豊・宮本由香
2班・大石利夫・長内光子
3班・五見早雲・遠見直美・人見雄介
4班(亀戸)・芹澤仁・鴨川つばめ
5班(山梨)・田辺誠一・内藤幸四郎・望月みちこ・望月はるみ
今年度より全員常駐職員となる。
あとは人見メモリアルを正式に表の隠れ蓑にする事になった。
こうして我が人見メモリアルは公式認定?された。
いや、されてしまった?
正直言って毎月経費的にキツかった。
でもこれからは親方日の丸なので、赤字経営でも安心か?っと思ったりもしたw
民族資料調査班の部屋との壁をとっぱらい、中央には中古だが質のよい長机・椅子と植物などを置いてミーティングスペースとした。
(入り口は2つなのでそれぞれのドアは入り口専用、出口専用にした)
出現したオアシスみたいで大好評だった。
そしてみんながそこで仕事をやるようになってしまったのはしょうがないwww。
その後、自分達の机を部屋の隅に追いやり、中央の長机をVの字に延長・レイアウト変更し、コーヒーの無料機械や冷蔵庫・レンジを備え付けさらに快適化された。
直美さんは全員の机を捨てて荷物置き棚を設置し、空いたスペースにソファを置く計画を進めていた。
許可されそうな雰囲気だ。
何か外国のオフィスっぽく、日本の役所とはとても思えない。
「おーい!語見くんー!ちょっと来てくれ!」
「はい」
「お待たせ、ちょっと説明してよ」
語見早雲さんが俺の横に座り俺に話しかける。
「川上玄山知っているか?」
「はい?あぁ語見さんの兄弟弟子の?同じ流派の?」
「まぁ、書道には流派もあるが書道の場合は会派だな」
「はあ?」
「まぁそこら辺はややこしいから説明は省く、それで、玄山がおかしくなった」
「はい?」
(話しが全く見えない)
「あー、何処から話そうか・・・」
川上玄山はしばらく前から展覧会や自分のSNSに発表する書は“一切有為法 如夢幻泡影”しか書かなくなった。
書体も全くの別人が書いた物では無いか?と言うぐらい毎回違う。
そしてほぼ部屋に引きこもるようになった。
たまに皇居を散歩して帰ってくるらしい。
気分が晴れるのか翌日の集中力は凄いらしい。
食事も取らずに没頭している。と言う事だ。
まぁこのくらいなら何かテーマに没頭している芸術家なら当たり前だ。
で、突然3ヶ月行方不明だ。
奥さんに呼ばれて行った語見さんは、部屋で穢れの気配を感じたそうだ。
大事になるのは嫌なので、語見さんの知り合いに頼んで探して欲しいと言う事だ。
「はぁ」
「何だ?」
「その言葉はどう言う意味ですか?」
「全ての存在は夢か幻・泡や影のようなもの。っと言う意味だ」
「夢幻の如く也、敦盛っぽいですね」
「そうだな」
「で話し戻しますけど、穢れを回収は良いですが人探しもですか?」
「それは、申し訳ない!俺も手伝う!」
語見さんが手を合わせる。
「まぁ、室長に言われたら、もう長い物に巻かれているんでやりますけどね」
「巻き巻き君だな」
「はい、巻き巻き君の官庁の犬です」
「部屋で何か手掛かりになる物を探したいんだよ」
「いやぁ〜正直なところ、なんで人探しまでもウチ?なんですか?」
「それはアレだ、志村さんから預かった興信所の報告書だよ」
腕を組んでた室長が説明する。
「はい?」
「高品が川上さんと会っている」
「知り合いですか?」
「いや、仕事だな。高品の会社の新薬のパッケージの文字を依頼されたらしい」
「なんで高品が?彼は研究開発でしたよね?」
「ここの販売宣伝部のお偉いさん達だが、今月マトリに挙げられた。全員ポーションベビーユーザーだ。入手先は高品からだ」
「事実上の会社乗っ取りじゃ無いですか!ア○ン戦争ですか!その会社でポーション作ってんじゃないですか?」
「それは無かったが、現時点で会社の情報がかなり流失しているな。あと、川上玄山さんの書は、オソロ国のお偉いさんに大変に人気があるんだよ」
「あぁー何か全部、繋がってらじゃ無いですか!捕まえろよそんな奴らは!」
「スパイを規制する法律が無いからな・・・」
「そこですか!」
「ちゃんとした国家であれば、法がなければ捕まえても裁けないぞ!」
「色々な法整備が甘い、日本はやりたい放題な国になってまね」
「議員が年寄り過ぎて時代についてこれない。いや若い議員も民間企業とかで働いた経験が浅い者は使えない事が多い。井の中の蛙もいいところだ」
明日から取り掛かる事になったので、1班の大塚くんと宮本さんにも入ってもらい詳細を詰めた。
朝9時にここに集合、出発する。




