エンジェリック・ギフト・5
一列になって有楽町駅まで進む。
都営三田線横をかっ飛んで行く。
「時間は?」
「もう0です!」
(間に合わないか!)
とりあえず着いた。
入り口の角度をずらしで3人でそれぞれトイレから出る人を動画に撮影する。
霞ヶ関に戻り動画を確認する。
「こいつ怪しいですね」
トイレから少し離れた何処でペットボトルを飲んで居る男だ。
動作が日本人では無い。ペットボトルを開けそっちに口を持って行く。
(コイツっぽいな)
オソロ国は皿を持ち上げて食べる習慣が無い。例えばコーヒーを飲む時にも、カップを上げ口に持ってくるのでは無く、口を方をカップに持って行く感じになる。
渋谷とかのオープンカフェで一見日本人に見えるが、そのように飲んでいる者はほぼオソロ国の者で間違い無い。
男はトイレに入るとすぐに出て人混みに紛れて行った。
どう見ても用を足して出て行ったにしては早い。
画像はマトリに提出した。
「ところで人見、明日、直美さんと山梨に行ってくれ」
「山梨の資料復元班ですか?」
「いや、違う。あの大学生の昨日送った荷物がちょっとまずいらしい」
「ゴミ山の?」
「そう。富士吉田まで頼む」
「すみません人見さん、見逃しちゃって」
大石くんと長内さんが謝る。
「いや、そんな事無いよ。その時には本当になんでもなかったかも知れないしね」
「え?」
「あのね持ち主行方不明だったでしょ?」
直美さんが説明してくれる。
「はい」
「生きてるうちにはそんな事無いんだけどねぇ」
「あぁ、そう言う事ですか・・・」
「可能性は大なのよと言うより、このパターンはその子亡くなったわね」
「何ともやりきれないですね」
「そうね家族にはちょっと言えないわね。人見くん明日8時に家に行くわね。いい?」
「分かりました、では8時に」
******
タンタンタンタン・・・
朝7時30分赤いカブ125が家の前にいる。
「おはよう!」
「直美さんおはようございます。早いですね?」
「朝マック食べるよ!あっ、マフィンこぼれるからここでいいわよ」
ガレージの隅にあるテーブルに腰掛けた。
「じゃあコーヒー淹れます」
「マンダリンあるの?」
「ありますよ」
直美さんはコクと苦味のあるマンデリン派だ。
昭和の喫茶店では日本にブルーマウンテンが入って来るまでは高級品だったらしい。
直美さんにはストレートで俺は牛乳を入れる。
「お昼は吉田のうどん食べられる?」
「良いですねぇー行きましょうか?」
「やった!」
朝マックのポテトを食べカブを車庫に入れシャッターを閉める。
ワゴンRに乗り込み出発する。
中央道に乗り1時間30分ほどで富士吉田に着く。
下吉田の月江寺を目指す。
車を停め歩いて移動する。
「はぁーーー!昭和だわ!」
直美さんは商店街を見て感動している。
昔は常に機織りの音が聞こえた町だったそうだが、今は全くしない。
今は地方でもカイコをやってる農家も居ないし、桑畑も見ない。
「あっ、ここです」
「入り口ば何処かしら?」
昔店舗だったようだ。道側の扉は塞がれている。
「ここの奥ですかね?」
車が停まっている脇を通り玄関に行く。
「えーっと“志村”ここです!」
ブザーを押す。
扉が少し開いた。
「人見メモリアルです」
「あっ!待ってました!」
扉が開くとこの前の人が居た。母親と言う事だった。
玄関を入るとすぐ右に急な階段がある。
そこを登って行った。
25歳ぐらいの女性がいた。
手に包帯を巻いている。
「娘の早苗です」
「人見です」
「遠見です」
「どう言う事ですか?」
「一昨日送ってもらったダンボールを開けて片付けてたら、何かが出て来て攻撃されてコレです。たぶん2つです。ちょっと素早くて見えないです・・・」
「確認ですが、この件は口外していませんね?」
「はい、こんな事が今も現実にあるとは知りませんでした」
こういう事があるので、これは?っと思った案件には資料屋がしばらく監視・フォーローして居るのだ。
直美さんが部屋を少し開けて観る。
「どうですか?」
「未練と後悔かしら?あと羞恥?そんな気を感じるわね」
「いやこれ、ずいぶんとまずい状態になってますね」
とりあえず下におりる。
家族には今日は外で泊まってもらう事にした。
俺と直美さんは吉田のうどんを食べたあと買い物に出かけた。
おやつと飲み物と塩だ。
塩を持って浅間神社にお参りをする。
神社の水をペットボトルに入れ家は戻った。




