エンジェリック・ギフト・3
「はい、人見メモリアルです!」
「雄介か?」
「あぁ室長ですか、すみませんスマホに電話しました?」
「おう、夜に悪いな」
「何ですか?」
「明日、朝から渋谷のマンションに行ってくれないか?場所はスマホに送っといた」
「遺品整理ですか?」
「ああ、ポーションで死んだ会社員の部屋だ。今のところは明日終わるだろ?資料屋の2人に任せてくれ」
「分かりました。明日の朝、上野のアパートの鍵渡しておきます」
「よろしく頼む」
「渋谷のマンションは321の駐車場に停めてくれ」
「えーっと・・・321、了解です」
番号をメモする。
2人の昼夜飯は経費にしてもらうように念を押し、室長からの電話を切る。
スマホを取り場所を確認する。
(松濤方面か)
******
「おはようございます、室長から聞きました」
「よろしく頼む」
大石くんに鍵を渡す。
「食事の領収書もらっといて。いっぱい食べて良いから!」
「了解ですwww」
さて俺も渋谷まで行くとするか。
途中までは高速なので上野に行くのとほぼ変わらない。
時間的にも渋谷の方が10分ぐらい余計にかかる程度だ。
だいたい1時間程度で着く。
(電車なら30分なんだけどな)
321の地下駐車場に車を停める。
周りはマセラティやアストンマーチンが鎮座して居る。
高級車が多いと言うより、高級車しか無い。
(会社員でこんな所に住めるのか?どんな会社だよ)
エントランスの電話で連絡を取る。
2人のスーツを着た男が現れた。
(捜査関係者か?)
スーツ姿だが普通の会社員では無い、落ち着いたふてぶてしい雰囲気を持っている。
開けてもらい中に入る。
「図書館の方ですね?」
「人見です」
「厚生省の鈴木です。こちらは田中」
自己紹介をされる。マトリだった。
(鈴木さんと田中さんか・・・偽名だな)
321号に入る。
鈴木が説明をしてくれた。
「高品明夫28歳独身です。先日電車に飛び込みました。製薬会社の研究開発担当です」
「こんな所に住めるほどのサラリーなんですか?」
「いえ」
田中が口を開く。
「高品と私は同じ薬学部卒でして、自分は厚生労働省で、こいつは光製薬の研究所に入りました」
マトリは薬学部卒なのか!ちょっと驚いたがそりゃそうか。
「真面目でしたか?」
「いえ、表の面はかなり良く、ハンサムなのでかなりモテてました。ただ物凄く利己的な考え方をします。超エゴイストってやつですかね。倫理観もゼロです」
「それ、会社の情報流してるとか横領してるパターンじゃ無いですか?」
「銀行口座にはそれらしい足跡があります」
「ダメじゃん・・・」
ダンボール箱で分類し部屋の物を入れていくが・・・
物が少ない。モデルハウスのようだ。
「ここはちょっと荷物少なく無いですか?生活臭がありませんけど?」
「高品は品川にアパートがありまして普段はそっちで生活してました。こっちは一昨日見つけました」
「アパートでは何も見つからなかったのですか?」
「先に2課が入りまして・・・」
「そっちの案件もですか・・・」
「ただアパートではポーション系は見つかりませんでした、ただ高品の体からは陽性反応が出てます」
4時間程でほぼ終わってしまった。
特にこれといった物は無い。
(あとは・・・ベランダだけかな?)
ガラスのドアを開けベランダに出る。
植物が枯れ掛かっている。
周りを見回すと隅に大鉢が置いてあるのが気になる。
サイズが不自然だ。このサイズの植物は室内にも無い。
プラ板が乗せられ上にはレンガがウエイトとして置かれている。
レンガを横に置きプラ板を取る。
(あった!)
マトリの2人を呼ぶ。
「出ましたね」
手袋をして中身を出す。19が2枚・20が4枚・21が1枚・24が2枚。
フラスコが9個出て来た。
マトリの2人はケースの中に証拠品を入れていく。
俺はベランダから首を出し外を眺める。
(つまらない景色だ)
首を引っ込めると目の端に光が入る。
そこをみると細長い容器がある。
手袋をはめたまま手に取ってみる。
(香水瓶か?)
ちょっと洒落て居る瓶だ。
「人見さんどうかしましたか?」
「いや、綺麗だなっと思って」
細長い容器を見せると鈴木と田中の顔つきが変わった。
「見せてもらっても?」
鈴木に渡す。
「何かあるんですか?」
「いやこれ・・・エリクサーかも知れません」
「ポーションの最高級です。日本にはまだ入って無いと思ってました」
「海外でも出たばかりなんですよ」
「高級品ぽいですね」
「ポーションと違い、ごく一部でしか流通していないです」
2人は何処と連絡をしている。
俺の携帯が鳴る。
「はい」
「人見、帰りちょっとこっちに寄ってくれ」
「分かりました、もうここは終わりです」
「じゃあ上野行って資料屋と合流して来てくれ」
「分かりました」
そのあと1時間ほど探してここでの仕分けは終わりにした。
荷物はマトリが引き上げる事になったから手ぶらだ。




