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エンジェリック・ギフト・1

「ゔっ・・・これはっ!」

「いやぁ・・・さすがに・・・大家としてもちょっとこれは困りますなぁ・・・」

「・・・・はっ、はい・・・・すっ、すみません!バカな息子がご迷惑をお掛けして・・・でも何でこんな事に・・・そんなだらしない子じゃ無かったのに・・・」


(いやぁーこれ、マジか1人じゃ無理かも・・・)

部屋の状態が酷いのだ…

胸の高さまでゴミがある…


俺は人見雄介、遺品整理屋だ。

表向きはそうなっているのだが、本当の仕事は警視庁公文書編纂室、通称“図書室“と言う、穢れや未練を断つ葬剣師と言うオカルトな?仕事をしている。

これは代々の家業になる。

で、こっちは表向きの家業だ。

 

今回は?いや今回も?どうやら図書室経由の依頼の仕事らしい。

と言うか、うちにまわってくる仕事は警察庁経由の物が結構ある。と言う事がこの前の一件で分かった。


上野の公園から少し離れたアパートの一室。

部屋の主は山梨県出身の志村健一21歳男。

東京の一流大学工学部3年生。

3ヶ月前から行方不明だ。


幸い家族と連絡がついたので、裁判をして強制執行と言う面倒な流れにならず大家もホッとしていた。

男性の家族立ち合いの元、荷物の撤去を行うのだが・・・


「コレ終わるまで立ち会うんですか?」

「一応決まりなんで」


「・・・絶対ですか?ちょっと居なくても分かりませんよね?」

「・・・いやですよね?」

「はい嫌です。もう全部捨てて下さい!」


「人見さんに全てお任せしていいんですか?」

大家さんが行方不明息子の母親に聞く。

「すみませんお願いします、後から一切口出ししませんので」

大家さんがご家族に何か一筆書いてもらっていた。


「人見さんオッケーです!お母さんも山梨に帰りましたから、もう自由にやっちゃって下さい!なんかかなりショックだったみたいね」

大家がニコニコし部屋の鍵を渡し帰って行った。


鍵が無くならないように首のネックストラップに付ける。

(さてどこからやるか・・・)

と言うより手前からやって行かないと入れない。

ビニール袋に可燃物をどんどん入れて外に出して行く。


・・・・夕方になった、全く進んで無い。

集合住宅での朝早くと夜遅くの作業はクレームが来る恐れがあるのでダメだ。


三見室長に連絡する。

「おう、お疲れどうだ?」

「すみませんヘルプお願いします」

「は?そんなか!?」

「親父達の時にこのレベルのが2回ほどあったから3回目ですね」

「じゃあ3人体制じゃあ無いとキツいと?」

「はい」

「わかった明日そっちに2人行かせる」

「新百合のウチの事務所前に8時集合でお願いします」

「はいよ」


******


人見メモリアル事務所前に若い男女がツナギを着て待っていた。

「おはようございます」

「おはようございます、今日は申し訳ありません。よろしくお願いします」


「資料屋の2班、大石利夫(おおいしとしお)です」

長内光子(おさないみつこ)です」

「あぁ、大塚・宮本の」

「はい、宮本由香と大塚豊は1班になります」

「ええっと視えるのかな?」

「はい、ほんのりですが浄眼師の血統を継いでいます」

「うちの職員は全員何かしらの力を継いでるんだってね?」

「そうですねでも、ほとんど浄眼師系ですね。今は室長と主任と図書館の方しか祓いの力・葬剣師の力は無いですね」


ワゴンRに乗り込み、すぐに高速に乗り上野に向かう。

特に混雑もなく1時間かからず上野のアパートに到着した。


大家から借りた鍵で玄関ドアを開ける。

部屋をの中を見た長内と大石は口をぽかんと開け絶句して居る。

「いや・・・これ・・・どうしたらこうなるんですか?」

「世の中には私の知らない世界があるんですね・・・」


とりあえず俺が掘り起こしと仕分け担当。

長内さんは梱包と清掃。手があけばコンテナに排出。

大石くんはコンテナに排出。

今回は量が多すぎるので作業効率を考え、集積コンテナを産廃業者に置いてもらった。


******


16時で終了にする。

排出コンテナがいっぱいになった為だ。

それにしてさすがに3人だと作業が早い。

3分の1は終わってしまった。


戸締りをしワゴンRに乗り込む。

2人とも新百合ヶ丘と言う事なので一緒に帰る。


3日間のヘルプ期間の昼と夜飯代は俺持ちになる。

何でも良いですよっと言う事だったので、途中の回転寿司で3人で夕飯にする。


******


「へぇー偶然だなぁ」

宮本と大塚も新百合ヶ丘に住んでいると言う事だ。


「夫婦なんですよ」

「はぁ?誰が?」

「1班も2班も」

「えっ?そうなの!」

「由香も私も仕事では、そのまま旧姓使ってます」


「もっと言うと上司もですけど」

「あっ!、そうか系子さんもか!資料屋はなんで夫婦?なんか決まりがあるとか?」

「いえ、たまたまです。普通に職場結婚です」

「図書室の人達は別に仕事持ってますけど、こっちは付き合いがかなり狭いので職場結婚が多いらしいです」

「なるほどねぇ」


食事を終えて公園近くで降ろした。

車を所有して居るとの事なので、2人には明日から事務所車で来てもらう事にした。


近くに奇抜なケーキ屋の建物がある。

ここの近くのケーキ屋さんのザッハトルテは母のお気に入りだった。

最近ご無沙汰だが生前は良く来た場所だ。

ついこの前なのにずいぶん昔のことだった感覚がする。

それだけ忙しかったんだろう。

いや仕事をする事で両親の死を忘れたかったんだろう。

(ずいぶん薄情だな・・・)











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