↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放浪記〜家族水入らずで異世界転移〜  作者: 高梨京司
第一章 異世界転移

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/69

第16話瑞葉ステータス能力値

「お母さんの能力のおかげで、今後に希望が持てそうだ。取り敢えず、優翔と瑞葉のステータスを見てから、手探りだけど計画を立てよう。次はどっちの能力値を確認しようか?」


 興奮が中々収まらない瑞葉には諭すより、この方が効果があるだろう。


「はい、はい! 今度は私のステータスが見たいです!! いいでしょ?」


 ぴんと手を挙げ、いつも通り元気に主張する瑞葉。だが、その小さな肩が時折ピクッと揺れ、周りの風音に身をすくませているのを俺は見逃さなかった。


 ませた言葉を口にして強がってはいるが、本当は怖くてたまらないのだ。それでも、暗い雰囲気になりかけた家族を明るくしようと、必死に天真爛漫な「妹」を演じているのかもしれない。まっすぐで優しい娘の健気さに、胸がキュッと締め付けられる。

 それでも、見上げる空の青さや吹き抜ける風の心地よさに少し心が解けたのか、それとも遠くから聞こえる不気味な鳴き声にも少し慣れたのか、表情には無邪気な明るさが戻りつつある。


「僕は最後でいいから、瑞葉のステータスを先に見てあげたら」


「ありがとう! お兄ちゃん!」


 優翔はフンと鼻を鳴らして視線を逸らしたが、瑞葉の死角を庇(かば)うように、さりげなく風下に立ち続けている。


(異世界で通用するかは分からないが、肉食獣が襲ってくるのは圧倒的に風下だからな)


 ここ最近は家でも口数が減り、反抗期特有のぶっきらぼうな態度が目立っていたが、根っこにある妹への優しさは昔と何も変わっていないようだ。


「ただし、周りの警戒は怠らないようにな!」


「はぁーい」


 妹の頭をポンと雑に叩いて注意を促す優翔。甘やかしながらも、注意すべきところはきちんと押さえる。この兄妹のやり取りも久しぶりに見れたな。


 俺は昔行った家族キャンプの時の雰囲気を思い出していた。あの頃はまだ小さかった子供たちに、理解できるかどうかもわからない蘊蓄(うんちく)を長々と語って聞かせたものだ。

 仕事にかまけて家族とすれ違うようになって久しいが、今こうして危険な異世界に放り出されて、皮肉にもあの頃の一体感が戻りつつある。

 不器用な俺にできることは少ないかもしれないが、この笑顔だけは死んでも守り抜く――俺は静かに心の中で誓った。


「沙織も、それでいいかな?」


「ええ、いいわよ」 


 沙織はそう言うと、瑞葉の小さく震える手を包み込むようにそっと握りしめた。冷たい風から守るようなその温かい手に、瑞葉も嬉しそうに微笑み返す。

俺が気付くぐらいだ、母親の沙織が娘の強がりと気遣いに、気が付かないわけがない。言葉には出さずとも、妻の深い愛情がそこに溢れていた。


「よし。じゃあ、確認するか」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◇ステータス個人:能力値◇

名前:中伊達(なかだて) 瑞葉(みずは)

13歳


職業:未設定/非認証 レベル:1


HP : 29

MP : 35

力 : 13

体力 : 14

素早さ : 18

器用さ : 23

賢さ : 17

運 : 24


攻撃力 : 29

防御力 : 29+5


武器 なし

防具 E 異世界の服+2

防具 E 異世界の靴+3

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「えぇ~、なんかパッとしないし、二人よりだいぶ弱いじゃん! むぅ」


 瑞葉は一通り不平を言い終えると、スケッチブックに自分の能力値を黙々と書き込んでいく。

 ステータスを見た本人の感想を聞き終え、紙の上を鉛筆が走ることを聞きながら能力値を確認していく。

 沙織と同じくレベル1だが能力値に隔たりがあるな。これは……年齢や成長過程の差がついているのか? レベルで2〜3の差ってとこか。この差が適正かはわからないが、この数値をベースに考えるならレベルが99までとして最高値は255程度な感じはするな。


「レベル99で能力値255がMAXなら、こんなものかな」 


 優翔が俺の気持ちを代弁するかのように呟いた。


「あぁ、ふぅ」


 俺は肯定の言葉と共に大きく息を吐いた。


「お父さん、お兄ちゃん、もういいでしょう? スキルページを見ようよ。私、すっごいスキルを持っている気がするんだ」


 自らの能力値を書き終えた瑞葉が声を上げる。


「わかったよ」


 根拠の無い全能感か、……若いということはそれだけで凄いものだと思いながら、俺は瑞葉のスキルのページへと画面を切り替えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。