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【書籍4/30発売】極貧男爵家に転生したので、チートスキル【石の王】で最強の領地を作る  作者: 星海亘
建国

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 南の侯爵家──アルムガルト侯爵家。

 代々、軍事関係の要職に就く者を多く輩出してきた家で、脳筋が多いのも特徴だ。

 そんなアルムガルト家の現当主であるエッカルト・パウル・アルムガルトは王都に続く道を逞しい軍馬に乗り、多くの騎士や兵士を率いて行軍していた。

 ちなみに、帝国では貴族でも名前に前置詞をつけない。つける文化がないのだ。

 大体、服装や敬称でどんな人物か分かるからかもしれない。

 そして、貴族の場合、苗字は領地と同じ名になる。エレツ王国のように、家名が別に存在するということはない。

 ちなみに、エッカルトのパウルというのは祖父の名だったりする。


(……陛下、私はどうすれば)


 エッカルトが思い出しているのは、真に忠誠を誓った前々皇帝、カスパー・ハーゲン・スルスの父、ハロルド・アレン・スルスだ。

 ハロルドに「息子のことを頼む」と言われ、今までカスパーを支援してきたのだ。ハロルドのためを思うならば、カスパーの弔い合戦を盛大に行うべきだろう、と思ってはいるのだが、エッカルトはまだ悩んでいた。

 新しい皇帝になったアーロンが悪い者にはとても見えないからだった。

 むしろ良い者に見え、彼ならば帝国をよくしてくれるだろうと思うほどだった。

 カスパーの代でもう十分忠義を尽くしているのではないか?そんな思いがエッカルトの脳裏を過る。

 やはり戻るべきか、と決めようとしたエッカルトの元に兵士が走ってきた。


「た、大変です!」


 前方から走ってきたのは斥候として森の向こうを偵察に行っていた兵士だった。


「どうした?」

「と、塔が……ホーエンハイム平原に白亜の塔があり、その前に王国軍がおります!」

「白い塔?……そうか」


 南にまで轟いていた皇帝の噂は事実だったか、とエッカルトは呟いた。

 噂というのは、皇帝が新しい王都を三日三晩で作り上げたという内容でった。

 それを聞いたとき、エッカルトはあり得ないと一蹴した。しかし、なにもないはずのホーエンハイム平原に白亜の塔があるとなると、皇帝の噂は事実だったという結論にエッカルトは至った。


「閣下……どうされますか?」


 家臣がエッカルトに声を掛けた。

 王国軍がホーエンハイム平原にいるとなると、戦いは必須だ。逃げ帰ることなどできない。


「戦う。それが我らの宿命だ」

「は、お供します」

「皆、行くぞ!!」

「「おー!!」」


 馬を走らせるエッカルトを筆頭に騎士や兵士たちが続いた。

 平原に出た彼らは王国軍が見えたところで、歩を止めた。


「我が名はエッカルト・パウル・アルムガルト!アルムガルト侯爵だ!そちらの大将は誰か!?」


 エッカルトが問うと、馬に乗ったアーロンが一団から出てきた。


「私だ!!この帝国の皇帝、アーロン・シュタイン・レアルタだ!!」


 アーロンは皇帝になってから名を変えていた。レアルタ帝国に馴染むためだった。

 敵軍の将が皇帝だということを聞いたエッカルトは逡巡したが、当初考えていた通りのことを言う。


「この戦争、私と貴方の一騎打ちで済ませよう!!良いか!?」

「分かった!!」


 二人は馬から降りて、平原の中央に向かう。

 対峙する二人は少し話した。


「どちらかが地に倒れ伏せば勝負あり、とするのはいかがか?」


 アーロンはそう提案した。


「良いでしょう」

「剣以外に《《何でも》》使用してよろしいか?」

「勿論です」

「審判は其方の後ろから付いてきた、その男に任せて良いか?」

「!お前」

「申し訳ありません、閣下、心配でついてきてしまいました」


 エッカルトの重臣はそう言って、審判らしく少し離れた場所に控える。


「審判さん、お願いします」

「はい……始め!!」


 エッカルトは大剣を持ってアーロンの方へ駆ける。が、身体をわなわなと震わせ、膝から崩れ落ち、地に伏した。


「っぅうう……」


 呻き声を上げながら股間を押さえているエッカルト。


「すみませんね、僕、無駄な殺生はしたくないんです」

「閣下!!?」

「審判さん、僕の勝ちで良いですか?」

「は、はい!!勿論です!!勝者、アーロン・シュタイン・レアルタ!!」


 アーロンはガイドにサポートしてもらい、エッカルトの尿道に作った石を消去した。


「……参った、まさか、このようなことができるとは、恐れ入りました。陛下、私はいかようにも処分してくださって結構です」

「アルムガルト卿、帝国は人材不足だ。だから、そなたにもキリキリ働いて貰わねば困るのだよ」

「では、どうなさるので?」

「少し罰金を払ってもらう。あとはそこの白亜の塔で全員三日間謹慎してもらおうかな。それで、無罪放免だ」

「陛下……!」


 エッカルトは感極まって泣き始めた。


「ちょ、アルムガルト卿」

「寛大な処分、本当にありがとうございます……このエッカルト、陛下にずっと付き従います!!」

「……うん、ほどほどにね、アルムガルト卿」


 エッカルトとお呼び下さい!!という声を聞き流しつつ、アーロンは部下に命じてネックレスを配った。

 そうして、南の侯爵はアーロンの忠臣となり、たくさんのお土産を持って帰っていった。

 ちなみに罰金は金貨千枚で、後日、エッカルトからアーロンの口座に振り込まれていたらしい。

 アーロンは、「僕の口座、教えてないんだけど……こわ」と呟いていたそうな。


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