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第90話 ヒトク

「あっグラス!おかえ、うわっ!どうしたの汗びっしょりじゃん!」


当然のようにナーガさんと世間話をしていたら青ざめた顔のグラスが宝具プレータの空間から出て来た。


「ま、まさか、俺のせいで両親は。」

両手を見つめ唇を振るわせながらグラスは立ちつくす。


「グラス!どうしたんだよ!中で何があったの?」

「ヒトク そう、ヒトクという人間に両親は【魂の束縛】をかけられてた。ナーガ殿!教えてください!!先ほど口にしたヒトク、その人物の事を!」


その時だった、僕らが来た方向の森の方から爆発音が聞こえる。

ナーガさんは静かにグラスを見つめる。


「そやつは恐らく今こちらに向かってやって来た奴じゃ。早く木の後ろへ隠れろ!」


僕らは逃げるように急いで巨木の裏側へと一旦逃げ敵が見える草むらに四つん這いになって隠れる!


あれっ!?僕は宝具プレータをまだ使ってないんだけど!!


すると城で出会った2人の白トンガリ帽子をフードのように後ろに垂らす従者を引き連れ、とうとう最高司祭フレイがナーガさんの所までやってきた。


「シュウヤか。」


「おはようナーガ君。俺は今、フレイ様だよ。

今回のロールは福音教会最高司祭って肩書きだ。それと・・・。」


急に空気が変わる。まるで地面が全て氷に変えられたかのような錯覚で足元を見ると冷気が煙のように漂っていた。


「ヘビ風情がぁ!なんで俺に様をつけないんだぁ!!」


大きな声が木の裏側まで響く中、僕らは唾を飲むだけで身動き取れずにいた。

(何かの攻撃がきたか!?ナーガさんが危ない。)


「あいかわらず寒さに弱過ぎて笑える。

ナーガの弱点の闇魔法を徹底的に規制して良かったよ。俺だけがボコボコに出来るんだもん、最高じゃん!」


「何度と同じ事をすれば気が済むのだ!!この外道め!!」ナーガさんが声を張り上げた。


僕は状況を打破する為に頭を巡らせる。

「ナーガさんは魔物じゃないんだよね?!氷が弱いってことは闇に弱い?ラジルさんは光属性と闇属性はお互いに弱点だって言ってた!

ナーガさんは光属性なのかも!!


ミアちゃん時間稼ぎをたのめる?僕のセイグリットファイアで温められないかな?」


「うん!いいと思う!私はナーガちゃんを守りたい!」

とミアちゃんに続いてヒマワリさんも

「ナーガさんは悪いヘビじゃないと思う。私も!」


そこでグラスは

「3人とも聞いてくれるか?まず偽装の着ぐるみ。あれを着てくれ。」


「あっ!ステータスの覗き見予防か!」

「そう、鑑定対策だ。」


「3つしか無い。グラスは良いのか?」

「今更やつに見られてもなにも変わらないさ。そして、3人で逃げろ。誰か1人でも助かれば、」


頷きすぐさま偽装スーツを着用しだした僕ら、

犬がヒマワリさんで

キジがミアちゃん

猿が僕だった。何度見てもマヌケだね。

話半ばで僕は

「成功の宝具で見た未来はそう言う筋書きだったのか?」と質問した。


グラスを睨みながら低い声で質問をすると

「あぁ、僕の両親の仇を知ると言う目的は達成された。その見返りかもしれんな。ピスタ君、君をダシに使ったのは私の責任だ、君たちだけでも逃げて構わないんだぞ。」


「いや、みんなで助かるんだ!」

服を着た僕らは作戦を立てる。

「まずは犬の姿のヒマワリさんがツララで目隠しだ。

それからミアちゃんがウルウォーターで足元を水浸しにして僕はその間にセイグリットファイア。」


グラスはそれを黙って聞いていながら最後にこう言う。

「わかった。私にも手伝わせてくれ!」

後ろで爆音が響く中

焦りながら僕らは4人で顔を合わせて頷いた。



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