第83話 イモタロウの苦難
凍え山ダンジョン第4層とでも言うべきか、またもや小さな空間があり第2層の安全地帯とそっくりの大きさだったが、冒険者の未踏の地らしくほとんど何も無い。
回復の効果のある泉が沸いて差し込んでもいない太陽がほんのりと当たる感じがする暖かい場所だった。
「福音教会最高司祭のフレイとは戦いたく無いな。
どんな攻撃を仕掛けてくるか予想もつかない。
ただポケットに収まる様に見えない物を出してきたのは僕とミアちゃんがハッキリ見てたから、
あるとすれば僕の言うマジックバック、もしくはポップの言ってた宝具なのかもしれない。」
「空間を操る宝具【アーカーシャ】か。」
「まだわからないけど。グラスは司祭フレイの事を何か知っているの?」
「いや、ほとんど。知れば知るほど謎の男だ。確か5年程前に当時15歳で最高司祭として選ばれたと聞いている。
記憶が正しければ20歳。
オムグ商業国家、ガルマン帝国、アルフ神聖国そのどれもにチャンネルを持ち3国を自由に行き来出来る唯一の人物だとも聞いている。」
「まるで勇者ね。」とミアちゃん。
「勇者様って今もいるの?」と僕が聞くとヒマワリさんが後ろで笑う。
「やだピスタ君。もう500年も前のおとぎ話なんだからいるわけないじゃ無い!魔物はいるけど魔族なんて見た事ないでしょ?」
「確かになぁ。勇者様が駆逐してくれたんだろうかね?」
「くちくって、なに?口臭いの?」とミアちゃん。
「そうそう、勇者の口が臭くって魔族がいなくなったって、何でやねん!」
全員から白い目で見られる僕はサブスキルで漫才を取得したんだろうか?
「そろそろ行くか。」グラスが号令をかける。
暫くして、僕らは安全地帯を抜け、5層のオーガと戦っていた。
「ねぇ!グラス!オーガって魔法使うの?」
遠投の小石を見切って逃げるオーガと言う魔物は金棒を持つ僕ぐらいの背丈の小型の鬼達。
「そんな記述は無かった!使わないと願いたいな、上位種お決まりの魔法耐性もあるかもしれないから注意だ!」
そこでヒマワリさんが魔法を唱える。
「ツララ!!」
ドスドスとブッ刺さり消えていくオーガ達。中には大人よりも大きいスパオーガもいてるとグラスが言っている。
「いや、闇魔法は耐性無かったみたいだな。」
「ナイス!ヒマワリさん!ツララ無双だね!」
「良いなぁツララ欲しいなぁ〜。でもスキル検索に出てこないのよねー。なんでだろう?」ミアちゃんは軽いジェラシーだった。
更に進むと大人の3倍はあるオーガっぽい敵が現れる
「あれは?」
「恐らくウルオーガか?もはや私には鑑定出来ない。すまない。」グラスは歯痒さを隠さずに吐露した。
「じゃあピスタ君、作戦どーぞ。」とミアちゃん。
「何で僕なんだよー!うわっ!アースウォール!」
「グォォーオォーーー!!!」
仲間の金棒を奪い僕らに投げて来たそれが、石壁に阻まれた事に怒り、大きな声で咆哮した。
「イモタロウは仲間を従えてオーガを倒すって言ってたでしょ?」
「だって誰も懐いてないんだもん!」




