第79話 4倍のパン
ダンジョンは洞穴をイメージしていたけど岩畳の簡単な迷路で迷う事はなく進む。
スパ系でも弱い魔物が中心だった為、遠投でワンキル出来た。
不思議と通路は明るくて照明などは必要無いみたいだ。
作業的な道のりの中、
グラスもいい武器を持ってきていて、試しに瀕死のコウモリ型の魔物スパバットのトドメを何回か譲るとレベルが上がったらしいのでヒマワリさんにもさせてあげよう!って事になった。
「わっ、何ですかこのナイフ、POW+25ってどう言う事ですか?私包丁しか持った事ないんですが、」
「ブスッと!刺せばわかる。」
ヒマワリさんはグラスさんに唆されて倒れたスパバットの首を目を瞑りながら刺すとスッと刃が入り爪を落として消えた。
「抵抗が無さすぎて怖い。」
「かなり業物のナイフだね。」とグラスに言うと
「城からパクってきた。でもこんなにバターのように切れるのか?」
だってさ。ヒマワリさんの元々振ってるPOWが多いんじゃないか?
その後僕たちは順調に洞窟を進めて1時間程で第2層安全エリアに到達。オフシーズンだからか冒険者の姿はなかったがもしかしたらどこかにいるのかもしれない。
「少し休憩しよう。」
とグラスが言うと
「あ、私料理作ります!」
とヒマワリさんが鞄から紙に包まれたパンを1つ取り出した。まだまだあるのかなぁ?と思いながら、
「石を集めてかまどを作ろうか?」と聞くと首からかけた紐をたぐって返事より先にバイノホルンをパンに向かって吹く
「プォー!」っと可愛らしい音が響いてパンが4倍ほどの大きさになった。
見られていたのが恥ずかしかったのか、耳を赤くして
「お願いします。」と返事される。
「ピスタ君、私もバイノホルン欲しい。」
「アレ絶対レアアイテムだよ。食べ物限定ってのが良いね。
どう言う境界線で食べ物なんだろう?さっきのヌーラの毛皮は皮だけにしたら珍味らしいけど、後で吹いて大きくなるか見たいな。」
知りたい欲が止まらないよ!!横でミアちゃんも
「毛皮をバイノホルンで大きくしたら売る時お得じゃん!!」と。
ミアちゃん強欲ね。
「あ、あの私以外だと2倍くらいの効果で、私が食べ物と思ってるかどうかが判断基準になってると思うの。
あと、えっと、その、ナーガ大森林で使命を達成したら、国に返そうかと、」
「何と無欲な。先代の王は見る目があったんだな。良い者達に活用してもらえて何よりだ。」とグラス。
やめろよ!僕らが私利私欲の塊みたいじゃん。
でも、さすがは料理屋の娘、美味しい料理は世界を救うね。
バイノホルンで大きくなったヌーラの霜降り肉を食べすぎてお腹いっぱいの僕は安全エリアを信用してウトウトしてきた、
あ、ちなみにヒマワリさんの認識では皮は食べ物と思えなかったのか大きくならず。残念!
その後
短い時間だったのに長い夢を見た気がする。
父さんと母さんに一緒になって手を振ってからお別れをして、兄ちゃんが何かに気づいたかの様にハッとした後、
「また会おうぜ。」って笑顔で話してきた。
「兄ちゃん!!」伸ばした手は夢の中の兄ちゃんの手では無く、ヒマワリさんの胸だった。
「王様、ラッキースケベは処刑でいい?」とミアちゃんは言うが当のヒマワリさんはびっくりして固まっていた。
グラスは無視して
「よし、ピスタ君も、起きた事だし下に向かおう。」




