第75話 バイノホルン
ギルドの辺りまでまた戻ってきた3人。
いや、2人と1匹の犬。
ちょうど肩を落として出てきた女の子を見つけて僕が声をかけた。
「ねえねえ、ヒマワリさん。」
「え、あのすいません、さっきは突然声をかけて。やっぱり全然ダメです。」
「ううん、いいんだけど、何でその約束、親が行かないの?お姉さんまだ若いんじゃ?」とミアちゃん。
「えっと、それは私の方が魔道具の効果が強いからです。」
「?よくわかんない。えとねうちのリーダーがヒマワリさんを手伝えって。」
「ほっ、本当ですか?!ありがとうございます!!お二人のお名前をお聞きしても?」
「ミアとピスタだよ。」
「ピスタさん!ありがとう!!あの、ちょっとうちの食堂きてくれますか?ご飯をご馳走するぐらいしか払えないですが、」
「いや僕がリーダーじゃなくって、うちのリーダーはこのイッヌだよ。名前はグラス。」
「またまたご冗談を!前の王様と同じ名前だから怒られますよ!」
「あはははそうだね。じゃあひとまず食べましょう。たらふく食べましょう。」ミアちゃん腹ペコなんだね。
食堂に着いた僕らはトイレに行って擬態を解除したグラスと一緒にテーブルで待つ。
「おまちどう様!適当な料理で悪いんだけど、食べててください!今ちょうどピークみたいで。で、その人誰?あ、またきます!」
「ヒマワリさん忙しそうだね!」
「おいしそー!いっただっきまーす!」
「私もいただこうかな。大きなパンだ。」
「うっま!めっちゃ肉デカい!」
無言でそして夢中で食べる僕ら。
暫くしてコックさんの帽子を被った人がやってきた。
「あんた達か、すまないねヒマワリの話に耳を傾けてくれて。無理なことぐらいわかってるんだ。凍え山を抜けるなんてさ。でもルイスの街を食べ物で下支えしてくれた当時の王様との約束だからなぁ。」
そこへヒマワリさんがやってきた。
「あ、お父さん!なんか変な事言ってない?」
「いや、特には、さっき来たばかりだぞ。」とグラス。
「えーっとそもそもあなたは誰だっけ?」
「グラスだって。」と僕が言うと
「え?犬と同じ名前のリーダー?」
「まぁ、そーゆー事。でヒマワリさんが使う魔導具が親よりも効果が強いってどう言う意味だ?」
「じゃあ見ててください。」
ヒマワリさんは後ろのポケットから金属でできた楽器を、取り出し、ピーッと目の前のポテトサラダに向けて吹いた。
すると再びボウルにポテトサラダが山盛りになる。
「え?なにそれ?増えたの?」
「これは先代の王より譲り受けた【バイノホルン】私ですとこの半分も増えないんですよ。」はははと笑うお父さん。
「使命を請け負ったならば一番使いこなせる娘に生かせるべきだ、と。良い心がけだ。」とグラスは納得している様子。
すごいなバイノホルン。食糧難に特化した魔導具もあるのかー。




