第71話 ラジルの憂鬱
ラジルさん視点のお話です。
「このまま屋敷にいれば安全ですよ。グラス元陛下。」
凍え山ダンジョンの遠征を説得する様に私はグラス元陛下に声をかけた。
「いや、そうとは限らんぞ。現に今私がピスタやミアから攻撃を受ければ即、死ねる自信がある。
55スキルポイントも鑑定に振っておいて鑑定できない人間が今日だけで5人もいれば安心していられないのは普通だよ。」
「そうですか。しかしなぜ福音教の3人はLのコンパスを追うのでしょうか?」
「わからないが、そのLのコンパスは間違いなくピスタ君を指していたんだな?」
「はい。その事自体、本人も理解している様子でした。」
「追われているのを理解して地中に隠れ、コンパスを壊した。10歳で出来る芸当か?」
「無理でしょう。私も10歳の時は本を読み耽っておりましたがそこまで頭の回る行動は出来ていなかったと思います。エンドゥもピスタ君に一目置いていますし。」
「あのエンドゥが?だからか、今回の遠征に声をかけたが、やんわりと断られた。
何でも、私では手も足も出ないほどお二人はお強いって言ってたな。」
「ダンジョンへはいつ向かわれますか?」
「私はもういける。けどなぁ、2人が、いや、3人が盛り上がってるからその後になりそうだな。」
はぁ、ため息をつく。
「あの、ピスタ君が死ぬ事や、ミアちゃんが状態異常になる事を避けるのはやはり遠征を見合わせたほうが・・・。」
「あぁ、そうしたいがここに立てこもる事で見える未来とそう変わりは無いのが実情だよ。」
「あくまで可能性のある方に賭けると。」
頷きピスタ君達のいる方を見るグラス陛下。
私の魔法研究の部屋を使って魔導具作成しているポップさんとピスタ君とミアちゃん。
さっきからキャーキャー声が聞こえてくるが何をしているのやら。
もう王様ではないし、グラスさんを置いてコンコンコンとノックをした後その部屋に入ると3匹の動物がいた。
「えっ?はぁ?!」
そのうちの、サルが話し出す。
「ラジルさん僕どう見てもサルじゃないですか!?」
声でわかった。
「えっ!ピスタ君なの?」隣でキジがケタケタ笑っている。
「キジはミアちゃんなの?!」
「せいかーい!!」
「ラジルさん俺が犬です。」今度はポップさんの落ち込んだ声??
「ほら、ポップ!僕のおやつをあげようバナナをお食べ!あははは!!」
ふざけるピスタ君の声。
「もぅ!どーなってるか説明して!!!」
すると首からフードを脱ぐ姿で現れたのは声の持ち主の人間3人だった。
「なにそれ?どーなってるの?!!!」
「ポップさんに作ってもらったんだけど、ラジルさんちにあった動物の着ぐるみパジャマをリメイクしてもらって【擬態】の魔道具を作ったよ!」
「は、ははは。。。あなた達、無茶苦茶だわ。」
「せっかくのミスリルを〜。」ポップさんは泣きそうだった。
「何でその動物なの?」
ピスタ君はバナナを勢いよく齧りながらむせてこう言った。
「そりゃい、ゴホッゴホッ!も ゴホッ、たろうだよ!」
「イモタロウ?」




