第68話 王のスキル
「フレイ様、オムグにお越しいただきありがとうございます。コチラが新しい国王のサンドラ陛下です。」
「初めまして、新こくぉ」
「あぁ、報告で聞いている。グラスよ質問にまず答えよ。」
新国王の話まさかの無視!!
「はい。このサンドラ新国王の卓越した頭脳を政にと考え国の発展を期待した次第でございます。」
王様にこの態度って相当偉いんだね。
「・・・ほう。他意は無いか?」
「もちろんです。」
「わかった。ところで最近この国に配置した我々の魔導具が紛失してな、」
ぐるっと後ろを振り向く様に話す司祭フレイ。
「貴族のお嬢さんが近くにいたらしいのだが、どなたかな?」
するとグラスさんは僕らを一瞬見て、司祭に見つからない様に首を横に小さく振った。
お前らは名乗るなって事か。
「はい。私です。」
ラジルさんがすぐに手を挙げ前に出て来た。
「そちらのお嬢さんは魔導具が消えた現場にいたそうだが、何か気づきは無かったか?」
「あ、あの事ですね。」
ラジルさんは毅然とした態度で受け応える。
「野営地として何かの施設跡地を利用してセントの街より帰ってくる日の夜中、野営地の中心でスキルオーブが隠されており、土から出て来たのを機にその魔導具が消えたと思うのですが、」
「なるほど。そもそもその魔導具はそんな事では消えない作りをしている。」
なんだこいつ、Lのコンパスの作りまで妙に詳しいな。
「他にそれを見た者は?」
「やばっ。」ミアちゃんが焦る。
ラジルさんは
「護衛の冒険者がおりましたが、セントの街で雇った冒険者でしたので、すぐにお帰りになられたと思います。」
「わかった。おい、お前達、その冒険者の名前を聞いておけ。」
「はっ!」
「サンドラ新国王。今後ともよろしく頼む。
おぉ、そうだ。どうせなら最後に宝具ファラで成功でも占ってもらうか?」
「はい、かしこまりました。」
「急いでいるので誰か1人でいい。」
「はい。ではあなた。名は何でしょうか?」
「ディスポだ。」とんがりフードの先を下に垂らした1人の取り巻きがそう答える。
「ディスポ様。参ります。」
サンドラさんは歌声の様な音を発してファラを握る。
サンドラさんはびっくりした顔をして信託を下した。
「ディスポさん。あなたの灯火が奪われそうになる前に、相手から一つだけ奪い取りなさい。」
隣でフレイ様は鼻で笑う
「ディスポ、そういうシーンなら奪える物は全部奪え。ではオムグ商業国家に幸あれ。失礼する。」
深々と頭を下げるサンドラ新国王は少し震えていた。
嵐の様に過ぎて行く最高司祭のフレイ様。怖かったー!!
暫くして、全てのドアが閉まり
「皆、情けない姿を済まない。すでに退いた身だが、少し聞いてくれ。」とグラス元陛下は口にした。
「サンドラ新国王にはこれまで通りファラを使って不自由のある民が居なくなる様に尽力を尽くしてもらう。
その中で君ら領主、貴族の役割は大きい。領民の声に耳を傾けて最良の人材を見つけることがこの成功の宝具に与えられた使命だと言う事を理解してくれ。ここからは内密に頼むが、新国王は私と同じく鑑定のユニークスキルを持っている。」
「そうか!」「なるほどな。」いろいろな場所でそんな声が上がる。
「サンドラ国王の強みは善良な人材に絞って宝具の恩恵を与えられる。しかし、勇者様よりもたらされた宝具ファラを、国が使うにあたり【盟約】がある事を再度認識していただきたい。」
もともと宝具は勇者から譲り受けたのか?
「福音教会の依頼は断らない。それが盟約である。
つまり私たちが鑑定した結果、人殺しであっても、極悪人であっても福音教会と名を出された場合、成功の宝具は使う事が決められている。」
「そしてサンドラ国王と話して初めてわかった事だが、鑑定のユニークスキルLVMAXでも、善か悪かを判断できない人物も存在する。」
「どんな人物なんでしょうか?」
と近くの人が聞くと
「あまりにも私とレベルがかけ離れた者達だ。」
そう言って僕らを見つめた。




