第67話 福音教最高司祭フレイ
オムグ商業国家にとって今日はとても重要な日になった。
グラス国王が以前から探していて3年前に見つけられ王の教育をされた女性、サンドラさん。
なんとその女性が次の王様に変わるそうだ。
よそ行きの服を着させられ、ラジルさんと一緒に城に着くとちゃんとした服装の今の国王グラスさんが上の階のバルコニーに偉そうに座っていた。
僕らは他の貴族たちと一緒に下に参列する。
「グラスさんって本物だったんだね。」
「ミアちゃん!失礼よ!!」
「でもグラスさんも王様を譲ってまで探したいものがあったとは驚きだよね。」
「ええ、勿体無いわ。こんなに国民に愛されてる国王は世界でここだけよ。」
見返すとたくさんの市民が所狭しとひしめき、王の姿を見つめていた。
「そうだね、街でも評判いいし、僕らだったらそもそもトップが誰かすら知らなかったし、イルミナ?って人も聞いたのは最近だよね。」
「誰?イルミナって?」
ミアちゃん、覚えておこうよ、僕らの村をまるで家畜の様に育てて強化魔導兵として使おうとしてた黒幕だよ。
「イルミナ教皇が、支配しているのが、ピスタ君とミアちゃんの住んでいたアルフ神聖国だよ。あ、始まりそうね。」
「グラス国王陛下のお言葉である!!」
そう司会の人が大声で話すとさっきまでの喧騒が嘘の様にシンと静まり返る。
「国民のみんな!今日は来てくれてありがとう。
私はこの度、成功の宝具ファラを次の担い手に譲り、それと同時に王座を譲る事になった。」
どよめく市民達。
「安心してくれ。次の王はこのサンドラ。知性と優しさで、民を導いてくれると信じている。」
「それでは戴冠の儀!」
隣の大臣の声を合図にグラス国王は冠を取ると横に渡し、サンドラさんの頭に合った冠を手渡された後、何かを喋って笑顔で頭に乗せてあげていた。
中には泣く人達もいる。当の本人も泣いていて涙顔のサンドラさんは一体どんな発言をするかと思って聞いていると。
「初めまして皆様、私はスラム出身のサンドラと申します。」
と言った。どよめきが唸る中、近くの貴族達は
「ワザワザ言う必要はないんじゃ無いか?」などと言っている。
サンドラ新国王が続ける。
「この国は出自不問を掲げ、国家発展の為にあるいはそれを下支えする事に協力する者達を大事にして大きくなりました。私は王として更にこの国を発展させる事を誓います!宝具 ファラの名にかけて!!」
戴冠式は大盛況の内に幕引きをした。そのまま貴族達は城へと続き王の部屋に進む。
「ラジルさん!お久しぶり!」
「あらっ!ミアちゃん達、ごめんねちょっと離れるわ!」
ラジルさんは昔の友達に会ったのかウキウキと僕らから離れていってしまった。
「僕ら浮いてない?」
「絶対浮いてるよ。10歳だよ?どこ見ても居ないよ。」
「帰ってポップの魔導具講座聞きたい。」
「私はクッキーのお店を聞いたので・・・。」
「「では、ここらで」」2人の意見が揃い
帰ろうした瞬間、見た事のある服装で尖ったフードを脱いだ大人2人とその間に歩く大人か子供がわからないくらいの若い年齢の男子とすれ違う。
睨まれた時2人して背筋が凍る。
「なんか、福音教の服装にみえるけど。ウル系の強敵に遭った時と似た感じがする。僕らより強いんじゃない?」
「私もなんかビビってます。ちょっと様子をみようかしら?」
と一直線にグラスさんとサンドラ新国王の元へ歩いて行く3人。それを見て流石に警備がそれを止める。
僕が最大に警戒している真ん中の男を注視しているとポケットから入るはずの無い大きさの物が出されようとしていた!
「アイツ、ポケットから何か出て来てないか!?」
と隣の背の高い人物が諌める様にそれをすぐに戻させた。
「これは、これは!そちらの方々は通してください、ようこそお越しくださいましたフレイ様!」
グラスさんの顔色が少し悪い気がする。
「グラス王、サンドラ新国王、この度はおめでとう。では質問だ。退位する真意を問いたい。」
半ば高圧的に元王様に質問する子供、あんなに失礼なのはミアちゃん以来かもしれない。
「誰だ?」「なんだあの子供は。」なんて声が聞こえてくる。
グラスさんは大きな声で
「鎮まれ!こちらの方は福音教会、最高司祭フレイ様だ!」
こんな人が最高司祭?!




