第55話 福音教の目
「あ、そうそう!福音教の経典【福音の書】が届いたみたいなの。書庫の机にあるから好きにお読みになって下さいね。わからない文字は一緒に覚えながらお聞かせします。」
「ありがとうございます!あっ!そうだ王様の言ってた福音教の目を盗むってのはどう言う意味なんですか?」
「あぁ、それは私も気になったのだけれど、
福音教会はかなり昔から活動していて、今の3国で対立するよりずっと前からあるらしいのです、そして今も世界各地に存在して戦争に対しては中立的な立場でいます。
王は宝具プレータのあると言われているナーガ大森林にて、探し物が見つかる。或いは成功を収められるとの予測に従って行動しようとしております。」
「つまりオムグ商業国家として王が二つ目の宝具を手に入れれば、争いが始まるのではないか?
そしてその事を、いち早く察知するのはどこにでもいる福音教のひとたち。って事?」
「そうです。」
「まぁ今のところ福音教に良いイメージもなけりゃそこまで悪いイメージも無いしねぇ。敢えて言うならヒールのスキルオーブ返せって感じかな?」
「私は返してほしい!あのヒールのスキルオーブ、お店で買うと20000金貨くらいらしいよ!やってしまったー!」と頭を抱えるミアちゃん。
ラジルさんは
「まぁまぁ。」と苦笑いしながら
「王様への返事は暫く待って貰えるみたいだし、これを機に福音教の経典を読みつつ、理解を深めましょう!」
あまりにも僕らは文字が読めな過ぎてラジルさんは愚かエンドゥさんにまで教えてもらいながら、そしてミアちゃんは屋敷のお菓子を食い漁りながら、滞在する事5日間、ついに本を読み切った。
「意外と面白かったね!」
「途中途中に聞いたことのある御伽話があったのが良かった!!オーガとかヌーラっていう怪物との死闘がカッコよかったね!」
「うん。僕も正直言ってもっと早く見たかったよ。昔の伝承本が500年も残って市民に広まってるって言うのも凄い。」
福音教の教典は前半に簡単なしきたりや規則が記載されていて隙間に冒険譚の様な物語。後半は生活スキルや初級スキルの取得のススメ、ポイントの割り振り例、ステータスの出し方、仕事別の上級スキルのヒントが書かれていた。
「この経典があればステータスについて誰かに教えてもらわなくても困る事ないよね?私達のピー村には無かったからなぁ。」
とミアちゃん。
でも決定的な間違いがある。
LUKの認識だ。そりゃ全世界で売れてるこの本にこんな事書いてあったら普通振らないよな。
福音教、第一章 第三節
【VITは体力を
POWは力を
INTは魔力を
SPDは速さを飛躍的に成長させる。
LUKはジュールの法則のlに似ている
Q=RtI^2
運の良さ、悪さはその時々で変動しやすく、抵抗力に影響を受け、その時の流れによって大きく変わる。
汝、心して割り振るべし。】
って書いてるなぁ。僕はこの一文を読んだ時なにくわぬ顔でラジルさんに説明を仰いだ。
「ラジルさん!ここはどうゆー意味なの??」
「えっ?あーこの部分は有名ですね、印刷ミスじゃないかと言う意見も多いですが。
LUKをあげるのは不規則性に賭けるギャンブルの様なものだからポイントを割り振るなら覚悟しなさいよっていう教訓じゃないかと言う説が濃厚です。
ただ詳しい内容はわかりません。
中には5年分ものポイントをLUKに振った人もいるらしいのですが、25ポイントで得られた実感はごくごく稀に魔物の急所に攻撃があたった。
とか、たまーに攻撃を避けられた、とか。何か微妙な恩恵だった様で経典の内容の真実味を助長させる結果になったそうです。」




