第26話 七宝具戦争
白の黒5号の話
「ここ?は?」
布でぐるぐる巻きにされ身体の自由が効かない様に縛られてる。
近くで立ってこちらを見てくるガタイの良い大人がびっくりした様子で声を出す。
「おっ起きたぞ!クレリー坊ちゃん!村長を!みんなを呼んで来てください!」
「おじさん!落ち着いて!わかった!!」
少ししてドタドタと
足音を立てながら沢山の村人が僕を睨む様に囲んだ。
「お、お前が神父様を殺した所をたくさんの者が見た。」
村長?そんな奴いたのか。
「俺が?・・・あ、・・・あぁ、殺したな。」
体が妙に軽い。焼け焦げて無くなった足は痛みもしなくなるのか?
「俺たちも同じ様に、神父様や殺されていった村人のように殺すのか?
力を持たぬ者達を殺して何を得る?」
「誰だ?」
足先を無くして逃げれるのか、この場の皆を魔法で殺めてそれからどうする?
「私がピー村の村長だ。以前何度か来られた司教様とお見受けするが、もはや本物の中央教会の司教なのか、疑いしかない。
言葉を交わせるものならば、亡くなった者たちが浮かばれる説明をしてくれないか。」
俺はなんでこんな村に来たんだ?
思い出しながら声を出す、
「お前たちの村の神父が【洗脳】を村人達に施している様子を見て失敗している事がわかった。」
「???洗脳?何の洗脳だ?」
誰かが質問してくる。
「もちろん教会の言う事を信じて疑わない様にする洗脳だ。」
「そんな。」
「失敗の場合、軌道修正するか否かを白の黒達が判断する権利を持つ。
中央教会にて保管されている七宝具のうちの1つ
【与奪の宝具】によって刻まれた鐘に生贄の持つスキルを唱えると同じスキルの効果を持つ魔道具が完成する。」
「七宝具?」
「よだつのほうぐってなんだ?」
周りがざわつく。こいつらは何も知らないんだな。
村長が
「何だ白の黒達とは。」
「たとえば俺だ。俺は白の黒5号。中央教会の飼い犬だ。」
自分で発した言葉に疑問を抱く。
そんな思想、許されないとばかりに頭痛が起こる筈なんだが。
「白の黒5号が名前で良いんだな?」
「あぁ。」
依然多くの者達に睨まれながら寝そべった俺は、敵対者に対して躊躇いなく殺していた頃の自分を忘れたかの如く、戦闘する意思を無くしていた。
「この村はもうすぐ消される。」
囲まれた外からの声が聞こえてくる。
「ピスタ君を起こしてきた!!」小さな女がやってくる。
見覚えがあるぞ、昨日俺のウォーターカッターを受けた筈だが生きていた女だ、なぜこんなに元気な姿で生きている?ポーションか、いや、優れた治癒術師が隠れていた?
トコトコと歩いてくる人物を見て思い出した。
あの子供だ。
「ピスタ君こっちだ。気をつけて。」
「ピスタ、無理するなよ。」
「ありがとうクレリー、ドゴル。」
まさにその子供が目の前にやってくる。
「お前は、僕の家族を殺した。」
異様なまでの殺意が低い声を持って背筋まで這い寄る。
ゴクッと思わず唾を飲む。コイツは俺よりも強いのか?
「村の人をほとんど殺した。」
拷問を受ける前と同じ緊張感があたりを包む。
「全てを話す責任がある。」
この歳の小さな子供から出てくる言葉かどうか疑問に感じる。
ただ。今更何も怖くない。
白の教団は失敗に対して死を持って償う義務がある。どのみち裏切れば死ぬよりつらい脳を手掴みされる様な頭痛が一生付きまとう。
いっそ殺すなら殺せばいい。
「何を話す?殺意の理由か?それともこの村の存在理由か?」
なぜか無痛のまま会話が進む。
「どう言う事だ?」
「・・くなんだよ。」
「なんだって?」村長が聞き返してくる。
今まで思っても口に出せなかった方を声を荒げながら吐く。
「・・・家畜なんだよ!俺もお前たちも全員!!!」
「!!!!」
村人達にどよめきが走る。
「お前達のピー村 南のオー村 北のキュー村 山を超えたアール村。全てが七宝具戦争に駆り出され、前線で使い捨てにされるだけの歩兵を養殖するだけの家畜村なんだよ!!!」
こんな話なぜ?
いつもなら痛くなる頭痛も無くペラペラと言葉が出てしまう。何か自白のスキルを喰らってしまったか?確認を!
何かしらのステータス変化があるはず!妙な確信が開くステータスを見て納得に変わる。
「ステータス。」
【魂の束縛】→解呪
「ウソ だろ。」




