第21話 ドロップ
兄 カシュウのお話
「カシュウ。あなたは今日からお兄ちゃんよ!」
俺はその日生まれ【落ちてきた】血がついたお腹の紐をハサミで切られたばかりの生き物を目の当たりにしていた。
痛みを気にしていたけど、キレイに洗われたあとクリーンを受けた赤ちゃんは、憎めるところが一つもないくらいにかわいかった。
「お兄ちゃんかぁ、お兄ちゃんだぁ!!!」
それから毎日毎日お兄ちゃんをした。大きくなるピスタを1番知ってるのは俺だった。かわいくてかわいくて堪らなかった。
言うことなす事おかしくて、たまに変なこと言うけどだんだん賢くなってきて、友達の弟なんかほんとにクソガキだったけど、ピスタは物分かりもいいし僕に懐く猫みたいだった。
それでいて突拍子も無いバカをしでかしたり、思いもよらない発見をしたりするから天才だと感じたんだ。
そんなピスタが10歳でスキルを授かるその日
「どっちも0だよ。」
びっくり仰天だった、ただなぜか悲観的にはならなかった。だから、父さんが固まってる時に
「あははははは!!!!!」
めちゃくちゃ笑ってしまった!こうでなきゃピスタは!
何かと話題を欠かないピスタは次に、タポポンと言う植物の種を植え始めたのだが、何と成長速度2倍だそうだ。
聞いたことない花だったけどきっと珍しいんだろう。毎日2人で観察していた。
ピスタがいじめに遭ってるそれを知った時からイライラが止まらなかった。実力を隠してるせいでいじめっ子を調子に乗らせてしまう。
歯痒い気持ちがあったけどピスタが自分で解決できると思っての行動だと考えて口出しはしなかった。
本人はそんなに気にしてないのかな?
タポポンの花が枯れあっという間に綿毛になった。
ステータスを使ってどういうものかを調べたところ
【タポポンの種】【成長速度2倍】
と変わらずだったがたまたま全体を撫でる様に触ったら一つだけ。
たった一つだけ違うステータスを持った種があったみたいで差し出してきた。
「え?!スキル【ラ】取得しますか?って。なんだろうこれ?」
「種なんかでスキルが!?スキルが手に入るなら取っとけよ!」
「え、やだよ、【ラ】だけ上手く歌えるしょーもない宴会芸だったら取り損じゃん。兄ちゃんどーぞ。」
「もーピスタわぁ。じゃ遠慮なく。」
と訳のわからないスキルまで貰ってしまった。
ある日、強大な敵ウルボアを討伐した。
ブレーンのピスタがいなけりゃ助からなかった。
INTもPOWもVITもSPDも、何一つ無いLUKだけのピスタが1番賢く立ち回り、格上の敵を倒す。
そこで人生初の魔物討伐によるポイントを得た俺は
スキル【DP交換】を得た。
これが、いや、これら全てが運命のスキルになる。
スキルの説明を読んで違和感を感じ、何度も読み直した。
DP交換・・・ドロップポイント交換
ドロップとポイントを交換できる。
違和感は
ドロップをポイントに変換
では無く
ドロップとポイントを交換
だった。
俺の中で一つの疑問が生まれる、つまり
「俺のポイントをドロップに交換もできるのか?」
きっといざとなった時ポイントを上手に使えるのはピスタだろう。
そんな事を考えてニヤニヤしていた。
「そん時は兄ちゃんかっこいい!って言われるかな?」




