第11話 白の黒5号
僕たちが影でコソコソしてる間にとうとうお祈りの日、いや、言い直そう。
集団洗脳デーがやってきてしまった。
「兄ちゃん!これで薪は全部?」
「あぁ、ピスタの作戦は効くのかなぁ?」
「わからないけど、色々やらないと!洗脳されちゃうのやだよ。」
「私も父さんみたいになりたく無い!」
思春期の娘を持つ父親が聞いたらショックを受ける言葉No.1をサラッと言うねミアちゃん。
僕ら3人は【洗脳】に対する忌避感が強いせいか話が盛り上がりいつの間にか仲良くなっていた。
そして学校のというか村の教会の1番偉い神父が来てキャンプファイヤーみたいな組み方の薪に火を着火する。
きっと【火属性】の初級魔法だな。
「ファイヤ!」
乾き切った薪ではない為か思ってたより火力は弱い。がその炎はじわじわと他の薪に火を伝播し出した。
暫くして
「皆さん隣同士、手を繋ぎ合い円を描きましょう。これから豊作を祈願したお祈りを捧げます。
今日は特別に中央教会から司教様がこのお祈りの為においで下さいました。
我々の豊作に対する思いをより一層強く確かなものにしてくださいます様、心から感謝を込めましょう!
くれぐれも司教様に粗相のない様に努めてください。」
そう言われて神父が頭を下げた先には子供の様に見える人物が佇んで立っていたが、真っ白なフードマントで覆われてよく分からない。
コイツが司教。白の教団の幹部なのか?まだ判断するには早いか。
「それでは火を囲んでみんなで手を繋ぎましょう。」
隣同士で手を繋ぎ合い、僕と兄ちゃんとミアちゃんが並んだ横にクレリー達がわざわざやって来た。
今ならみんなと手を繋いでるから間接的に触れてる人全員のステータスが覗き放題だ!今まで見ようとしなかった分、しっかり目に焼き付けてやる!
どんなステータスでイキッてるんだ?INT10のクレリー君!
クレリーは近づくと
「さぁミアさん僕と手を繋ぎ合いましょう!」
と言いだした。
ミアちゃんは
「ぇえ。やだ。」と小さく漏らす。
クレリーに好かれたんだな、あの時の赤い顔を思い出してようやく僕もようやく気付いたけど、兄ちゃんがミアの場所とサッと入れ替わり、
「俺でいいか?」とミアちゃんを挟む形の陣形になった。
「やだなぁ君たちバカ兄弟は。空気も読めないのか?」
「早く、いいから繋げよ!始まるぞ!」
「知力が高いと、こうも不便なのか、バカに説明するのは!!」
「はいはい。」
と兄ちゃんが手を差し出した時、白いフードコートが
「輪を乱したな。」
と呟きながらスッと横切ったかと思うと、ステータスが一瞬チラッと見えた
【・・・5号】??
直後、
「うわぁ!!!!!!!!」
「あ、ああああ!!!!」
と叫び出した。
クレリーと兄ちゃんの2人の手に一本のナイフが貫通して刺さっていたんだ。
「なっ!何するんだよ!!!」
僕は咄嗟に攻撃を仕掛ける体制を取る!だけど兄ちゃんが痛みに耐えながら首を振る。
「ピスタ!やめろ!俺は!!だ、大丈夫、大丈夫だっ!!」
「カシュウ君!!」ミアちゃんは涙を流して心配している。
「ほぅ。VITを上げた分、まだ痛みに耐えられるか。使えるな農民達は。おいっ!祈りを続けろ。」
とナイフを抜きながら言われた。
バタンと倒れたクレリーに向かって飛んできた先生達が止血している。
1人の先生は
「司教様!おやめください!農民とはいえ大事な兵、」
話途中で神父が形相を変えて声を出す。
「おいっ!!黙れ!」
と嗜められる。
一方、兄ちゃんは脂汗をかきながらフーフーと息をしてアワアワしてる隣の奴と手を繋ごうとしていた為、僕が場所をまた入れ替わり傷の部分の手を取りつつ隣の奴と手を繋いだ。
そして小さな声で
「キュア」と呟く。
触った感じだと傷は完全に消えてる。
良かった。
どれくらいの深さの傷まで治せるか試した事が無かったんだ。
【光属性】は軽い傷の手当て魔法エイドが使えたけど、
LUK 50で【光の加護】に変わり治療魔法のキュアを取得できていたからなんとか助かった。
兄ちゃんは脂汗が引いて、何とかお祈りが出来そうだが、どうしてこんな酷い事をするんだ!!
僕の怒りの矛先は白いマントの奴に向いていたんだ。
よくもやってくれたな、【白の黒5号】!!




