あらまほしき力
*
目が涙でぼやけて、よく見えない。
耳に入った涙が音を塞いで、よく聞こえない。
シャルの姿も
ラースの姿もよく見えないのに
”助けに来てくれた”っていうだけで
両手両足の鈍い痛さは
本当は痛いけど
本当はわめきたいけど
ぜ〜んぜん、気にしないもんね。
だから
鼻をすすって
息を思い切り吐いたら
揺れる地面に飛び交う
ずっと煙たい空気の隙間から
大きな影とちょこちょこ動き回る小さな影が
彼らだって、分かったら
あれ・・・なんか私・・・
ヒロインっぽくね?(魔女だけど)
お姫さまポジションじゃね?(魔女なのに)
そういうゲームだったっけ、これ(死にゲーですが)
誘拐して襲ってきたのは変態だけど
助けに来たのは
でかい犬(聖獣バロン)とネズミ(使い魔)だけど
「(わっ私のために
戦わないで〜〜ぇ!)」
声に出せないなら
一生縁の無い台詞を
口パクで言ったって良いじゃん。
どうせ聞こえてないだろうし。
「(聞いて〜〜!!
変態がここにいま〜〜っす!!
なんかおっ勃ててま〜す!
シャルとラースが戦ってるけど
私に気付いていませ〜ぇ〜ん!
あと寒いで〜す!)」
ブオッッ!
「!?」
や、ややややばっっ!
なんか飛んできたっ!
あっぶな〜!
寝ててよかったぁ〜。
寝てたから頭の上通り過ぎて
かすったぐらいでよかった〜!
絶対本棚的なやつだったけど
飛んでったわ〜。
鎖痛いし、もうちょっと寝とこ〜。
あともうちょっと呼んどこ〜。
「(ここだよ〜〜!!
ここにいるよ〜〜ぉッッ!!)」
声にならない声をあげる。
たとえ
届かないと分かってても
たとえ
ドゴーーーンっ
バイーン(無効)
ガラガラガラーーっ
ガシャーンッッバゴーン!
バイーン(想像だに無効)
私のことなんてそっちのけで
ガン無視されてたとしても ー。
ー違う、違う
あ、あばれすぎ〜〜〜ッッッぃ!!!!
あばれすぎだろう!
”バイーン”って何?!
なんか弾いた?
寝てるからわかんないよ!
え?
助けに来てくれたんじゃないの??
私のこと呼んだの一瞬だけ??
探すフリぐらいしろよ。
涙、返せよ〜ぉ!
あまりにもそっちのけな私は
相変わらず煙たい空気が
外気に触れて、風に運ばれる瞬間を
「(え・・・?
か、壁が・・・ない?)」
涙でぼやけた目のまま
不穏な気持ちで見た。
ヤベーよ。
*
と、いうことは諸君。
シャルラッハロート(聖獣)とラース(使い魔)は
魔女を助けに来たにも関わらず
本人を差し置いて
変態と戦闘している、というわけだ。
「(どど、どうすんの、
こ、ここ最上階でえ、あ
あの壁、壁が、もうないよ?
本棚が壁をぶち抜くの見たのって
私ぐらいじゃないかな。
すごいな〜。
風が吹き抜けるよねー!
寒いはずだよね〜!
あ、あっぶなっ、)」
目の前に落ちる瓦礫を、すんでのところで避ける。
かすめた瓦礫の欠片が頬に熱を与えた。
「!!っ(こ、こわっ!あっっあぶねっ!
ひっひょっあっっぶねええーーっっ!!
当たったら死んでたよぉーっっ
ひぃーーっ
そ、空が見えるよぉ〜〜!
曇りだよぉ〜〜!!)」
ドォォ・・・カラカラ・・・
ガゴッッ!ーズゥゥーッン・・・パラパラ
「(これはもしかしなくても
そのうちここは崩れるんじゃ・・・)」
魔女は我が身の置かれた状況を
冷静に判断した。
「(崩れるってことは落ちる。
落ちるってことは・・・)」
地響きが体感を通して確かに揺れる。
「やっやばっ・・?!
あっ声出るッッ
声出てる!!声出たああッ」
声が出るならやることはそう。
「ラース!!シャル!!こっここだよ〜ぉ!!」
ドガーっっっっ! ゴッッ!
バイーン(魔女の声をかき消す無効)
「もおいいよぉっ!
バイーンって何だよぉぉ
ラースぅぅっ!シャルぅうぅーー!
聞いてッてばあっっ!!!!」
バシュンッッ!!
バギィッッ!ッゴっ!
威厳のない魔女の声に誰が耳を傾けようか。
「(そ、それなら)
きっ聞くがいいっお前らッッ
私の声に耳をすますのだあっっ」
三流のへっぽこ悪役みたいなことしか言ってねえよ。
「魔女だよぉ〜〜ッッ?!
ここに魔女がいるよぉ〜?!
せ、世界の厄災とか言われてる魔女だよ〜!?
早く止めないと
トイレに入るたびに
トイレットペーパーがない呪いをかけちゃうよ〜?
うんこの時大変だよ〜?!」
地味だが、地味に嫌な呪いだな。
最強の魔女にかけられる呪いが
トイレで用を足すたびにトイレットペーパーないのは
確かに呪われているとしか思えないだろう。
下痢の時はどーすんだ。
絶望しかねえ。
そんな呪いをかけられちゃう変態と
デカい犬とネズミときたら
あいつらマジ聞いてねえ。
変態はまぁ多分、そんな呪いをかけられたとて
喜んでしまうかもしれないからほっといて
シャルラッハロートとラース。
聞いていない、というよりは
聞こえていないが正しいだろう。
「(聞こえてないとしたら
なんとかしてこっちに気付いてもらわないと。
だって・・・器物損壊レベルが
ドラゴン尻アタックレベルになり始めてる。
このままじゃここも崩れるのは時間の問題・・・)」
魔女は万歳したままの両腕を胸へ引く。
「!(ラッキーだっ
壁がなくなったから
鎖は途中で切れたんだっ)」
ズルズルと胸に引き寄せた腕は痺れていた。
「いたた・・・」
机の上にどうにか起き上がると
足元の鎖も切れていることに気付き
ほっとするのも束の間、魔女はギョッとする。
「!!」
魔女の座る机の横から壁に向かう一面はなかった。
下から吹き上がる風の中は暗闇だった。
「(ゆっ床も半分無いんですけどぉっ)」
自然、動きはビビるし、慎重になった。
「(どうしようっ
無闇に動いたらバランス崩して落ちるし
けど今肩掛けかばんないし
魔法も使えない、感じだし・・・)」
前かけエプロンのポケットを探った。
「(こんな時に触媒あったって
武器がなかったら意味ないのに〜
せめて武器になるようなものがあれば
・・・ん?)」
残った床のシミに気付く。
濃紺のインクのシミに混じって
何枚かの書類のようなものを目にした魔女は
「(?・・・重要機密?
こんな状況になっちゃったら
もう意味ないし、半分以上は瓦礫と一緒に
飛んで行っちゃっただろうな。
・・・変態野朗め・・・
もう少し踏んづけちゃえ、
えいっ、えいっ。)」
つま先でグリグリしといた。
グリグリしながらふと思い立つ。
「(この北塔で取れるものと
なんかイベントあったかな〜・・・
この部屋で取れるものって
指輪くらいか・・・
多分、変態が持ってた木箱の中に
指輪が入ってるはず。あとは
魔術書とかの解読と応用のスキル。
炎の最上級魔法だったっけ。)」
グリグリしながら重要機密の後に書かれた文を読んだ。
「(”火をおこす 深淵に熱を”?・・・なになに
あれ、これって・・・)」
グリグリしてたつま先を上げた。
「ほ〜ぉん・・・。へえ〜・・・」
*
「(キリがないな・・・)」
エフェラルは聖獣バロンから繰り出される暴風を
魔法でどうにか凌いでいる状態だ。
「(勝算がないわけではない・・・が)」
だが今のところ、正直、防戦一方。
なにせ、相手はあの聖獣バロン。
魔法が効かないのは周知の事実。バイーン。
「(相変わらず出鱈目な力だ。
あれをなんとかしなければ先がない。)」
エフェラルは聖獣バロンの力を
苦々しく思っていた。
だが ー。
余裕ぶっこいて言った。
「ほぅ、聖獣バロンがお目見えとは。
お前の相手は私ではなく
魔女はあちらに ー」
エフェラルは魔女の寝ている机をわざと見た。
『黙れ 小童が』
唸るような声に怒りがにじんでいた。
床に聖獣バロンの爪がめり込み、砕けた木材や石材が宙を浮き
風に巻き込まれていく。
聖獣バロンの白銀の毛は逆立ち
その四肢から剥き出しの爪は振り下ろされるたびに
この塔の壁という壁をすでに吹き飛ばしていた。
唸るごとに風は強くなり、紅い瞳はより燃える。
聖獣バロンの熱気は、頭の上のおネズミさまも同じ。
否、より我を忘れたのは
ラースの方だった。
塔の壁を壊し、目に入ったのは
男に組み敷かれた魔女の姿だった。
引き裂かれたようなローブから覗く
細い両手首は血を滲ませ
あらわになった足に食い込む鎖が ー
何より、あの魔女が噛み締めた唇から血を流し
涙をー
ラースの心の何かを、振り切った。
「(ー なんてことを )」
その感情は動揺に似ていたが
怒りに近かった。
体中の血が引くのを感じながらも
明確な指示を出した。
「シャルラッハロート、やつを叩き潰せ」
そして現在に至る。
エフェラルの魔法は彼自身に防御のバリアを張ることだ。
二重構造のようなバリアだ。
上層では対魔法を弾き
下層のバリアでは物理攻撃を弾く。
非常に使い勝手は良いようだが
魔力の消費が著しい上に、この魔法を使えば
しばらく大きな魔法は使えなくなる。
「(さっさとヤってしまえばよかった・・・)」
サイッテーなことを考えているが
現状を思えば、その通りだろう。
「(仕方ない・・・)」
忍ばせていた短剣をローブの袖口に隠したまま
この先タイミング次第では
向かってくるであろう聖獣バロンを見ていた。
「(まさか聖獣がやってくるとはな。
・・・これも魔女の仕業か。)」
巻き上がる風の中の
聖獣バロンの背が丸くなり、尾が一段と膨らむ ー
エフェラルと、 聖獣バロン、ラース。
両者の空気が止まる。
「(くる)」
獣が喉元めがけて ー
「?!」
ッッッドォッォォ!!!!!!!!
両者の間に、炎をまとった雷の柱が立ち上がった。
炎の熱風が両者の壁になった。
「なんだ?」
エフェラルは目を細め、その力に見入る。
炎が蛇のように動いた。
「(・・・あれは・・・)」
炎を動かす鎖が地面を大きく波打つ。
「鎖?」
地面を這う炎が雷を発した。
瓦礫や残った床に衝突するたびに
ガギャーンッッ!
鉄がぶつかるような音を出した。
「?!っ」
「!」
聖獣バロンの牙は静かになる。
ラースの目は鎖の先を追い、同時に
エフェラルは身震いした。
「(なん、なんだこれは、
ま、魔法か?ー、ちがう、これは)」
三者が柱の向こうに立つ、人影を見た。
「っっいっ、いい加減に
しなさああああっっっいっ!!
私はここだよって言ってるでしょうがッッ」
激おこ(ってる)魔女だった。
炎をまとう鎖を手に持ち
雷を起こす鎖を足に持つ魔女だった。
「ま・・・魔女」
ラースは息を忘れ、瞬時に我を取り戻した。
エフェラルは、その魔法ではない力を目の前に混乱する。
「(あれは触媒か?
二つの触媒を足と手に起こしたのか?
どうやって・・・いや
自分自身を触媒元として受けているのか?
まさか自分自身を武器にしたのか・・・)」
エフェラルの推測は正しかった。
魔女は重要機密に書かれていたことを元に、というより
ゲームのテキストメッセージを思い出していたのだ。
魔法スキル:炎の業(最上級魔法)
“火をおこす 深淵に熱を
炎の柱を吹き上げるとき
燻りは今を燃やす”
周囲に幾つもの炎を吹き上げる。
また同時に攻撃時に
異なる触媒を二つ使用可能。
両手剣や盾が望ましい。
もしなければ己の肉体を使え。
お前には両手両足があるだろう。
両手両足から伸びる炎と雷は
その先の柱になっていたのだ。
「魔女!!何を!」
ラースは聖獣から飛び降りて魔女へと向かった。
瞬間的に、ラースもまた理解していた。
「(自分自身を触媒にして
力を引き起こしたのかっ
なんて無茶なことをっ)」
瓦礫を飛び越え近づくほどに
魔女がひどく怪我をしているようだった。
「ラース!!」
魔女の足元からラースは手を先に見上げていた。
「魔女、手はっ」
「バカっっっ!怪我したらどうするの!」
「は ?」
「もうっ!
ここは塔なんだよ?!
あんなにバッカバッカ壊してたら
落ちちゃうじゃんッッ!!
ラースなんてちっちゃいんだから
足元ちゃんと見てないと落ちるんだよっ?!
ほら床見てよ!穴ボコじゃん!!
落ちたら即死だよ?!危ないんだよ??」
血まみれの魔女、ご立腹。
「ちが、ー、魔女、お前の方が」
「そんなのどうでもいいのっ!
私が呼んでたの聞いてた?!
何回も呼んだんだからッッ
あっっ!!!シャルっっ
シャルもこっちにきて!!!
ここに来て座って!早くッッ
ちゃんと話を聞いて!!お座りッ」
魔女の気迫に正座ネズミと
スゴスゴと聖獣バロン、魔女の前にお座り。
反省犬。
なお、プンスカ魔女(以下同文)。
「シャルも怪我してないね??
シャルは空飛べるかも知んないけど
瓦礫に当たれば痛いし
やめてって言ったらやめて!
クッキーあげないよ?!
もう、“終わり”って言ったら
“終わり”!!わかった?!」
「ーっ」(絶句ネズミ)
「っ・・・」(腹減り犬)
「返事は?!」
「は、はぃ・・・」(意気消沈ネズミ)
「わかった」(即答犬)
助けに来た、のだが
ラースとシャルラッハロートは ー
“怒られている”、と感じた。
「(何でだー。
助けに来たのに怒られている。)」
なんか腑に落ちない。
これだから男ってや〜ね〜。
夢中になると、こっち無視とかサイテー。
たまにはちら、とこっち見とけ。
「ー 魔女、これ以上は体を傷つけてしまう」
魔女の手を覆うように変態は手を置いた。
「ふぇ?」
「おいっ何をするっ!!」
ラースとシャルラッハロートは身構える。
口元だけ微笑むエフェラルは
魔女を見下ろし小さく頷いた。
握られた手は氷のように冷たかった。
頬をそっと撫でられると、熱が引いたような気がした。
「え、ちょ、ちょっとっ」
ぶっちゃけ、変態に触られたくない魔女は
顔を引き、手も引こうとしたが
エフェラルは魔女の両手首を持ったまま
口の中で何かをつぶやく。
「?!」
エフェラルは炎と雷を消した。
そしてそのまま魔女を前に片膝をつき
回復魔法をかけた。
「え?なんで??」
これには魔女が一番驚いた、ーが
悪意の無いその所作に
思わず自分がされたことを棚に上げ、言った。
「!あ、あの、あ、ありが、とうございます、」
「いや、礼を言うのはこちらだ。
あなたの介入がなければ
私は聖獣に頭を飛ばされていただろうからな。」
エフェラルがちら、と
シャルラッハロートを見た。
さっきまでこの塔をぶっ壊す勢いだった聖獣バロンは
まるで置物のように静かに魔女の側にいる。
「(へえ・・・あの聖獣がね・・・)
魔女、やはりあなたのあの力は素晴らしい。
錬金術と、魔法の新しいー」
エフェラルが言いかけた。
「魔女の手を離せっエフェラル!」
ラースは魔女の手を握るエフェラルの手に
タックルするようにぶつかりつつ
「!っ」
ラースはエフェラルの袖口を蹴り上げた。
「お前の魂胆はみえみえだ」
ラースは短剣を持っていた。
「!ラース!その短剣は」
魔女は驚いた顔をして短剣を見た。
「ー 油断も隙もないな、エフェラル」
「・・・バレていたか。」
エフェラルは、無表情だった。
「絶命の剣だ。
・・・お前、これを魔女に使う気だったな?
私の目の前でそんな愚行を許すはずがないだろう」
ラースは魔女の肩に乗った。
「ラース、その剣って」
「?ああ。これは絶命の剣と言って
魔法使いに使うと、核を潰すんだ。
・・・それだけじゃない。
“魔力”も奪う。
絶命に値する名を持つ剣だ。」
ラースは短剣をくるり、と回し
魔女に手渡すと
「シャルラッハロート、ヤツを見張っておいてくれ」
黙って頷く聖獣バロンは、
エフェラルの真ん前、真向かいに座る。
威圧感バッチリで睨みつける。
ー 座ったって、エフェラルよりデカかった。
眼光鋭く見下ろす、が正しいだろう。
魔女は短剣をじっと見た。
「・・・(でもこれって・・・)」
思いながら、肩掛けかばんを探す。
「何を探してる」
「肩掛けかばんどこ行ったかなって」
ラースは魔女の肩に乗ったまま、深呼吸をした。
「肩掛けかばんなら、そこだ。
あの机の下だ。」
誘導されるまま、魔女はエフェラルから少し離れた。
離れるとラースが小声で言った。
「少し話をしたい。」
若干の気遣いが込められたような声色で小声だった。
「?いいよ〜
え、なになにぃ〜?
あ、わかった。
あれでしょ。遅れてごめん〜とかでしょ。
いいよ、全然気にしてないよ。」
肩掛けかばんを見つけ、しゃがんだまま短剣をしまう。
「遅くなってすまなかった」
肩に食い込むラースの足に
魔女は動きを止めた。
「?」
「・・・起きてしまったことは仕方ない。
その、・・・魔女。
あなたは唯一無二の魔女だから
気を落とす必要などない。
そもそも使う予定もなかったもので
今更だが、魔女の純潔というのは ー」
「?ー え、え、え、なに?
何のこと言ってんの?
なに、じゅんけつって
え、どういうこと?」
ラースは気まずそうなままそっぽを向いて言った。
「純潔を犯されたことだ。
その、鎖をされ、ゴホン
・・・ローブも破られてるではないか。
エフェラルに体を穢されたのだろう?
だが心配しなくていい。
このことを知っているのは
私とシャルラッハロートだけだ。
口にするのはこの場限りだ、安心していい」
気遣いネズミ、ボロ切れのローブをチラッと見た。
おお、こりゃひでえ。
モロ見えじゃん。
「は?」
「だから
純潔を失おうとも
あなたの力に大して影響は無い。
魔女の力は一世一代のものだ。」
魔女、はたと気付く。
「(え?私、犯られたと思われてる?
そんで、気遣われてる?
・・・ちょっと待って。
“使う予定ないから心配すんな”って
言われた?・・・)」
ムカムカが積み上がる。
「じゅ?ちちっっっっ!
違いますけどぉー?!!
ま、まだ何もされ、されてませんけど?!!
た、確かに押し倒されたり、
なんかそれっぽいことをさ、されそうってか
ちゃ、ちゃんと守ったもんっ!
足だって閉じてたもんっっっ
あいつの股間だって蹴り上げたし!!
そっそれに!
使う予定だって、あ、あるかもしんないしっ
まだ処女ですからっっ!!!
ご心配おかけしましたけどっ
大事にしております!!」
魔女は顔を真っ赤にしながら大声で
言い切った後、うつむいた。
ローブを掴んだら、もっと破れた。
ーのを、
エフェラルは
「(魔女・・・。
老賢者のローブはもはや意味がない。
後ろ姿は今や下着だけだ。
つまり・・・
裸に前かけ・・・。)」
と、無表情に思い
シャルラッハロートは
「(・・・クッキー・・・)」
と、思いながら見ていた。
魔女は急に顔を上げ
「それとローブは
(特に何もしてないけど)
破れただけですうっっ!!
経年劣化ですぅぅっ!!」
否定しつつ、涙目だった。
*
エフェラル情報:裸エプロンに興味はないが
魔女がしろというなら私はする。
ラース情報:そうか。
ローブが破れただけか。
おい、なんで破けるんだ。
シャルラッハロート情報:おにぎりプリーズ。




