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【改稿版】最強最悪の魔女に転生してしまったので巻きで呪いを回収いたします  作者: マダム良子
第二部 賢者と砦のドノヴァッテン魔法王国編

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星見の人喰い③






ー 垣間見た束の間の夢は、幻であった

彼はその深淵に飲まれ、

また恐怖しながらも

星をおもう心だけが闘った ー




マンイータが二体。

同時に相手にするのはかなり厳しい。

「!!っ」


上空から降りてくる二体目のマンイーター(後発)の目は

すでに魔女を見据えていた。

壁にめり込んだはずのマンイーター(先発)も ー


「っっ(最悪なパターンだ)」

マンイーターは魔女を挟み撃ちにすべく

飛んできた。


魔法は三分もたなかった。

「(やっぱり食べかけのきゅうりじゃ無理か)」

逃げ場もない。

「(けど一発ぐらい・・・)」

目は閉じたくない。


こんなとき、思い出すのが

()()()恐怖で動けなくなって

目を閉じた自分だった。

こんなとき、すべてがスローモーションに見える。



迫るマンイーター(先発)に

“タダで殺されてたまるか”という

気持ちだけで振り返れば ー

マンイーターの目が黄色に光った。

「(ここで体力強化すんのっ?)」

“ちょっと心がめげそう。”

マンイーター(先発)の腕が衝撃波をまとって

“ちょっと泣きそう。”

マンイーター(後発)も腕を振りかぶった。


「(おわっt)」

心臓のすくみ上がる感覚に

魔女は ー


ガゴォッッッ!!!

「?!いだっ」

頭を何かがこすれながら

「ぶっっ!!」

同時に頬にタイヤのような感触を受け

それは通り過ぎた。

魔女は衝撃に床を転がった。


「!?(あれ?攻撃されて、ない?)」

急いで体を起こせば

頬の痛みを忘れるほどの、信じられない光景だった。


「ま、マンイーターの()()()()・・・?」


ゲーム上ではあり得ない構図だ。

「(マンイーターがマンイーターを

  私の上でタックルしてった・・・。)」

ちょっと待て、魔女。

マンイーター、二体出ちゃってるから。

どっちがどっちかわからないのはアウト。

せめて

マンイーター(先発)とマンイーター(後発)って

仕分けておいてくれないと。


マンイーター(後発)がマンイーター(先発)の

尻尾を握り、魔女の方へ行こうとするのを引き戻し

マンイーター(先発)床に叩きつける。

マンイーター(先発)だってやられっぱなしじゃない。

尖った爪をマンイーター(後発)の顔面向けて

斜め引っ掻きすれば、マンイーター(先発)はさらに

正面からマンイーター(後発)の腹を蹴ったが

マンイーター(後発)はこれを阻止し、尻尾で応戦だ。


どうだ、マンイーター(文字)が

()()、暴れまくってるだろう。

最低三回は読み直すことを推奨する。


「(同士討ちなんてゲームで

  一回も見たたことないけど

  今のうちに・・・)」

魔女は立ち上がり、回廊の真ん中にある

大きな香炉の前に走った。

香炉からは絶えず、煙が立っていた。

「(香炉(ここ)がとりあえず立ち回りとしては

  安(全)置(帯)だから・・・)」

香炉の煙に隠れるように、魔女は身を屈めて

肩掛けかばんをゴソゴソ。


マンイーター(判別不可)がギャッッと声をあげた。


いよいよマンイーターが飛行モードに入り

香炉に隠れた魔女に向かおうとした。

「(っあれは、えっと、仮面が割れてるから)」

サンキュー、魔女。

仮面が割れてるのはマンイーター(先発)だ。

魔女に向かってこようとしている。


マンイーター(先発)は黒い翼を広げ

短い唸り声を上げた。

が、その唸り声は叫び声に近くなった。

魔女に向けられたものではなく

その背の黒い翼が無惨にも

ひきちぎられた痛みによるもので

マンイーター(後発)が

その翼を食いちぎったものだと


魔女は、ー 見る。


黒い翼は、ボタボタと血のような液体を流し

回廊に落ちた。

羽交締めにされたマンイーター(先発)は

怒りに暴れるが

マンイーター(後発)は離さず

咆哮をあげた。


高周波の、耳を塞ぎたくなるほどの

不快な音に混じり

マンイーター(後発)はマンイーター(先発)を

抱え、飛行モードに入る。



とき同じくして

マンイーター(両名)に向けて

弓をかまえる男がいた。

 

その姿は すでに空気ではない。







アグリッパは手にした弓矢を弦にかけ

星見の弓を構えた ー。


「(本当は 知らない。

  弓なんて持ったこともない。

  弦に指が食い込んで痛くって

  どこまで引けばいいのかわからないし

  どのタイミングでこの弓矢を離すのか

  全部 知らない。

  けど、けど ー!)」


弓を構えていた。


アグリッパはマンイーターが

飛行モードに入ることを阻止するために

弓に手をかけた。


「(僕が弓矢を取りに行っている間に

  何があったんだ?!

  マンイーターが二体だなんてっ!!

  ミケラもいない、どこだ、

  どこにいる、ミケラ ー!!)」


ちょうどミケラはよろよろと

魔女の肩掛けかばんから這い出てきた。

「(酸っぱい匂いで意識戻るなんて

  サイテーやで、ほんま。)」

アグリッパはその姿にすぐに気付いた。

「(ミケラ!返事して、ミケラ!!)」

『お、なんやにいやん、

 弓なんて構えてどないしたん。』


見上げれば、

マンイーター(二体)に向かって、

アグリッパが弓を構えてる。


「(ないよ!!ないけど

  これは僕がやらなきゃいけないんだ!!)」

『はあ?なんて?!ちょっ

 ちょい待ちぃっっ』


ミケラは魔女が

回廊から足を踏み外そうとしている瞬間に居合わせた。

ー お前が勝手に落ちてどうする。


『どっどないしたん、魔女はんっっ

 おっ落ちんで!!あっっあぶなっ!魔女はんっ!

 気ぃ付けやっっ!!』

魔女を勢いよく引っ張ると

体は引き戻され、両手をついてその場に座り込んだ。

「ご、ごめ、ん、あ、あの、なんか

 めまいがして」

真っ青な顔してる魔女に

『?(めまい?)それより

 魔女はんっ!にいやんがゆ、弓を』

言いかけた途端


ー キョッン ー


『なんやその音』

その間の抜けた音源を見た。

アグリッパは自分の弾いた弓矢が

思いの外の動きだったからか

びっくりしたような顔をした。


同時に、回廊の通路の端に何かが落ちて

そのまま転がるように地下へ落ちていった。

『は?・・・ま、まさか・・・』

矢尻がきらり、と光った。

星見の弓矢だ。


あの”アグリッパが、弓を弾いたのだ。

『あんの()()()()()()()()()()()がっっ!!』

アグリッパの行動に舌打ちし

ミケラはマンイーターを見あげた。


マンイーター(後発)は

マンイーター(先発)を羽交締めにしたまま

飛び始めた。

そして、もう一度空に向かって

咆哮をあげた。

耳を塞ぐミケラは

『ーっっっなんつーっっ?あ?』


ビシャーーーンっっ!!!


マンイーター(二体)が

壁にめり込んでいた。

石壁はバラバラと落ちていく。


『じょっジョセフィーヌはん・・・?』


ジョセフィーヌが(マンイーターに)

白いベットベトの粘液をぶっかけてた。






『なあっ魔女はん!

 アンタァ、大丈夫かいな?!

 顔、真っ青やで?

 変なもん食うたんか?

 ちょっとここで休んどきぃ。

 マンイーターはジョセフィーヌはんが

 壁にくっつけといてくれとるさかいに

 わい、にいやんとこ行くで!』

「あ、ーう、うんわかった」

魔女は力なく香炉に背を預けた。


そうしてる間にも、

アグリッパは矢筒から弓矢を抜き

性懲りもなく、弦を引いていた。

『あかんあかんっ!!、やめえて!!

 弓はそう引くもんやないぃっー!!』

アグリッパに向かいながらも叫ぶが

悲しくも弓矢は、

アグリッパの足元に跳ね返って落ちた。

べヨン、ペンっ。


目の前のミケラは怒りを隠さない。

『何しとるん、自分!!

 ええかげんにせえよ!?

 祭の弓ちゃうんやで!?

 なんや、そのへっぴり腰!

 笑かしに来とるんか!

 笑われへんわっアホ!

 ど素人がむやみやたらに弓引いて

 上手くいくわけないやろがっ!!

 どうにかなるもんちゃうんやで!

 したことないのにやろうと思ったんかっっ?!』

「う、難しいことはわ、わかんないよっ

 でも、僕がやらなきゃっっ」

にいやんの()()()()()()とは

 ワケちゃうんやでっ!?

 それよこしぃっ!

 わいが魔女はんに持ってたるわ!』


ミケラが星見の弓を引っ張った。

アグリッパは弓を離さなかった。

『あ?離せぇて』

アグリッパは回廊にへたり込んでいる魔女を見た。


「ーっ魔女さまはもう少し休まないとだめだ」


『たいがいにせいやっ!

 にいやんには無理やって!

 弓は練習しとったって

 当てるんは熟練の技なんやで?!

 にいやん、やったことないやろ!?

 見たことないもんっほれっ

 さっさと手ぇ離しぃなっっ!』

「やだ、僕がやるんだ。」

『無理やって!』

「できる、無理じゃない!」

『なっっ何をいうてますのんっ』

「ジョセフィーヌ先輩だって言ってたんだ。

 僕が、“やれ”って』


きのこ(アグリッパ)、頑固モード発動。


『はああああっ?!

 こんの強情っっぱりがあっっ!

 今はゴネる時ちゃうやろがっ!

 アホぬかすなやっ!いてまうで!』

アグリッパは一歩も引かない。

関西弁風の脅しにだって、屈しない。

「ミケラー、()()ならできるよ。

 ー、うん、できるんだ。

 だから、ミケラ。

 僕にミケラの力を貸して」

『ーった、』

引っ張っていた弓から手を離したのはミケラだ。


ミケラにはその顔にもその目にも、覚えがある。

アグリッパが腹を括った顔だ。

『(あー、もぉあかん。

  こら、もうやるしかないなぁ。)』

アグリッパが一度決めたら

それは鋼鉄の意志だ。テコでも動かない。

ミケラに“核”を分け与えた時に

女神ディアナから言い渡された契約の条件も


『アグリッパの魔力は

 ミケラしか使えなくなるのよ?』


アグリッパは全部、受け入れた。

「はいっ!それでもいいので

 ミケラを絶対助けてください!!」

あの日のように。


それに。

アグリッパには聞こえていた。

ジョセフィーヌの声と

ー もうひとつの声が。


『アグリッパ、弓を引け』






魔女は動揺していた。

「(そんな ー

  ここでサブイベントが回収されるなんて

  ・・・そんな・・・)」


ゲームの本編とエンディングに大きく左右する

サブイベントは、魔女の考えでは

“この世界では起きなさそう”だった。


だが

サブイベントはすでに起きていたのだ。

「(・・・思えば、あれはサブクエの

  依頼の手紙だったんだ。

  エレーミナルス王国の王さまが

  私にくれた“契約の薔薇”。

  ゲームでは王さまじゃなくて

  ()()()()()が持ってくるはずだった。

  その手紙を持って東の塔へ行くと

  分岐イベントが発生する。

  ・・・“溶朽の毒蛇(エンヴィ)”じゃなく

  ロブズレーを呼ばれたことも

  なんか意味があるの・・・?

  え、召喚した騎士の中にいたの?

  違うな、誰かのおねーちゃんだったっけ。

  ・・・けど、その()()()の名前は ー)」


マンイーター(後発)に奇しくも

助けられたような形に、魔女は

違和感だけじゃなく何かを忘れていることに気づく。


ゲームのサブイベントの内容が

ごちゃごちゃになって、思い出せない。

「(思い出せ、思い出せ、

  すごく大事なんだ。

  ー すごく、大事なことを

  ・・・忘れてる・・・)」

さっきから思い出そうとすれば

頭痛がして、頭が割れそうで吐き気がする。


『魔女 ー、聞こえるか・・・

 ここは星が見えない・・・』

魔女の目はマンイーターへ向けられる。


アグリッパは、立ち上がってマンイーターを見る。

羽交締めされたマンイーター(先発)は

めり込んだ下半身を出そうとしていた。


アグリッパは目を閉じ、深呼吸をした。

小さく口元で何かつぶやいたが、

静かに目を開けた。

アグリッパは正面を向いたまま背中を伸ばし

片足を半身分後ろへ引いた。

顔をマンイーターに向け、構えに入る。


自然と、踵に体重が乗った。

「ミケラ、ー 風を起こせ」

『あいよ』

頷いたミケラはアグリッパの足元に魔法陣を敷いた。

鉄壁のマッシュルームヘアが一瞬乱れるほどの

強い風が巻き起こる。


「呼吸をー」

矢筒から弓矢を抜く前、

アグリッパは弓矢を持つ手に息を吹きかけた。

「ーーっふっっ」


緊張はしていないが

「弓矢よ、ー 届け」

切実に祈りながら、弦に弓矢をかけた。

溢れるのは心を押しつぶしそうなプレッシャーと

涙だった。

目線はマンイーターの胸あたり。

「(泣くな、泣くな)」

マンイーターは片足を壁に膝立てし

なんとか羽交締めと壁から抜こうともがいていた。


上半身はすでに壁から出ていた。

「(ーまずいっ)」

弦音が、焦りの風に混じる。

その、焦りは指に伝わり、ブレが、

またアグリッパの手元を揺らした。

ビュンっっっ

弓矢は斜めに突っ切った。

マンイーターにかすりもせず、壁に刺さった。


アグリッパは涙を流していた。

ミケラはその理由を知っていた。

にいやん、

 わいが風をコントロールしたるさけ

 にいやんは弓を()()()()()()()ことだけ、

 集中しぃ ー』

今にも嗚咽しそうなアグリッパを

叱ることもしないで、

ミケラはアグリッパの頭上に立った。


「わかったー、頼んだよ、ミケラ」

大きく深呼吸して、涙を拭き

「やるんだ、“できる”」

鼻をすすった。



だがその瞬間

マンイーター(先発)はジョセフィーヌの粘液を

ブチブチと切り裂き

羽交締めしているマンイーター(後発)の腕を食いちぎり

その場でさらに飛行の咆哮をあげた。


ー バシューッッッン!!


マンイーター(先発)の飛行を止めたのは、

またしてもジョセフィーヌの粘液だった。

マンイーター(先発)は粘液に必死でもがいたが

もがくほどに粘液はベタベタし、壁に固定されるようだった。



魔女は顔を上げ、マンイーターに向かって叫ぶ。


()()()()さんっっっっ!!」

マンイーター(後発)が

魔女をちら、と見たように感じた。

サブイベントに出てきた男の名を呼ぶ以外

魔女には、どうしようもなかった。


ジョセフィーヌはそのまま回廊の魔女へと向かい

魔女を触覚で器用に掴み上げ、背に乗せた。

ジョセフィーヌはアグリッパに向かって触覚を揺らす。

アグリッパはジョセフィーヌを見下ろし、

その触覚の揺れを見た。


その揺れを見ながら、ー 口を開く。

「あぁ、もう、失敗できないよ。ミケラ」

そう言いつつも、

真っ赤な目をしたアグリッパは微笑んだ。

『何やて?』


ため息ではなかった。

無意識に呼吸を整えていた。

「足止めしてやったんだから、

 絶対 ()()()()、だってさ」

その意味を、わかっているからこそ

ミケラは黙ってうなずいた。


「( 行くよ、ミケラ )」

『 おぉ、行くで 』


視線は矢に沿い、マンイーターに向いていく。

息を吸いながら、ゆっくりと弦を引く。

キリキリと弦は伸び、

その弦は矢尻の光を弾くように光を反射する。


ミケラは触媒を矢尻に向け

手をこするようにして放った。

静かな呼吸が満遍なく吐き出される ー。


「 ()()()()()()、いきます 」

呼吸が 空気の中に 完全に染まった。

『ああ、お前ならできる』


その声に、何度励まされただろう。

アグリッパは知っていた。

マンイーターにされた男を。

自分を、魔法技術大会に推薦したのも

いつも見守ってくれていたのも


その人の声が聞こえていたから。


「(痛みを止めるのは、ー 僕だ)」


アグリッパの指から

星見の弓矢は放たれた。

同時にミケラは風を弓矢の羽から

螺旋らせんにまとわせた。

勢いは増した。

矢尻は赤く燃え上がり、星が燃え尽きながらも

最後の輝きを放つそれに似ていて ー

強くまるで本物の流星のように暗闇を横切った。


矢はマンイーター二体を貫いた。


断末魔の叫びは、射った弓の光に飲み込まれ

光は拡散した。


マンイーター(先発)は跡形無く消えたが、

口は、咆え声を上げたまま

裂けんばかりに開け放たれ

黒く落ち窪んだ両眼は見開き

何かにすがり、

求めるように、その手は空へ向かっていた。


まだ肉体が残り、倒れていた

マンイーター(デルゥェ)(後発)が魔女を見た。

『・・・名を思い出させてくれて

 感謝する。手紙は無駄ではなかった・・・』

魔女は小さく頷いたように見えた。

少し震えているようにも、見えた。

だが魔女の表情は、誰の目にも映らない。


もし見ていたとしたら、マンイーター(デルゥェ)だけ。


魔女はマンイーター(デルゥェ)の手を握っていた。

『魔女よ。

 私がこうなるのは、時間の問題だった。

 私の弱さが、

 オラフィス様を止めることが

 できなかった結果の罪なのだ。

 ー 人を喰らった罪は、

 私をこうしてこの怪物に閉じ込め

 皆を傷つけたのだ。罪は消えないのだ、魔女 ー』


魔女はエレーミナルス王国の王から

受け取った、“契約の薔薇”を

マンイーター(デルゥェ)のぽっかり空いた胸に置いた。


『遅くなって、・・・ごめんなさい』

『契約は果たされた。

 さあ、お前の星を見せてくれ・・・』


魔女は片手を空へ向けた。

人差し指はまっすぐ、空へと向かっていた。


ー 空から、一閃の黒い筋が、落ちた。 ー


真っ黒なその筋は

マンイーター(デルゥェ)を赤黒く染め上げ燃え上がらせたあと

黒い霧となって魔女の周りを浮遊し、消えた。


魔女は、静かにその場を立った。

しばらく、握っていた手を、見ていたようだった。

そして、その手をまた強く握りしめた。


握りしめたその拳から

黒い霧に混じって、

光の粒が魔女の足元へ音も無く落ちた。

光の粒は落ちて、ガラスの破片のように砕けて消えた。


アグリッパは

星の弓を胸に抱きしめ、静かに嗚咽した。

そうすることしかなかった理由も

そうしてしまった自分も

行き場のない気持ちで

ただ、祈った。


ミケラは魔女の何も語らない背中を、

ただ 見ていた。

なんとなく、本当になんとなく、だ。

近付いて、いつもの調子でしゃべる気には

なれなかった。


ジョセフィーヌだけは、

触覚をゆらゆら揺らし 魔女の肩にそっと乗せた。

触覚に気付き、はじめて振り返った魔女は


「っへへ・・・」


真っ赤な目をして

情けなさそうに 笑った。











ここまでお読みくださり、ありがとうございます!

次回から1週間に1度の投稿となります。


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