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【改稿版】最強最悪の魔女に転生してしまったので巻きで呪いを回収いたします  作者: マダム良子
第二部 賢者と砦のドノヴァッテン魔法王国編

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後れ居るきゅうり





「ラース、ネズミじゃなかったのか。」


振り返る二人に、オーゲルは

ラースのふんどし姿を見て笑顔を浮かべた。



オーゲルの後ろには、隊列を組んだ翔煙隊がいる。

先ほどアルファイに倒された隊士を含め

みんな何事もないように揃っていた。

ラースは無傷の彼を見て、半分諦めている。

「(アレは“お遊びだ”ってことか ー)」

アルファイもまた、実力の違いを見せつけられていた。

「(・・・確かに意識を失っていたはずで

  あと一時間は起き上がってこないと踏んだのだが)」

アルファイの視線に気付いたのか

倒された隊士はこれみよがしに首を回し

ラースに向けて空気を払うように手を振った。

“遊びはもうおしまいだ”

一言も口を開いていないが

まるでそう言われているような気分だった。


倒れていたはずの男より、気にすべきだったのは

「(なぜオーゲル様はここにいるんだ・・・。

  じゃあ、魔女はどこに・・・)」

アルファイはこの状況が信じられない。


オーゲルはアルファイに微笑む。


「我が翔煙隊、単騎であったが

 一戦を交えた感想は?

 アムラン。」

「ーっ、さ、流石というべきか

 速くて、強かった、です ー」

勝てたものの、楽勝ではなかった。

自分で言いながら稚拙な回答で、真っ直ぐで

こんな感想しか言えなくて、恥ずかしかった。

オーゲルは腕を組んで、満足そうに大きく頷いた。

「そうだろうっ!

 翔煙隊コイツらは精鋭部隊だ。

 並の人間じゃ太刀打ちできないぐらいには

 日々、鍛えているからな。

 まぁあの()

 だいぶ吃驚びっくりしただろうがー。

 この地下であれほどの爆発音は

 誰の差し金か・・・」

ピリ、と空気が刺さるような気配が張り詰めた。

アルファイは心当たりにドキッとする。


()()()()()()、魔女はどうした」

ラースだ。話を断ち切った。

「あ?魔女?

 あぁ、ジョセフィーヌを上に置いてくか

 連れてくかで揉めたから魔女ごと置いてきた。」

「じょせ、ー?」

「ー。ロブズレーのことだ」

アルファイは小声で言った。

「は?ロブズレー?

 アレはこの王国では生息してないはずだ。」

「魔女が手なづけている。」

「?!っ

 (今度はロブズレーを拾ったのか?!

  ()()変な名前を付けて!)」

あの魔女が色んな意味で

逸脱していることはわかっていたが

ロブズレーを手なづけるのはまた、事情が違う。

「(あの生き物(ロブズレー)は、

  原生的な生き物でそもそも個体が

  生息していること自体がー。)」


でも、あの魔女だ。

なんかいろんなことがモヤモヤする。

「(あいつ・・・

  また(ろく)でもないことに頭を突っ込んで

  あちらこちらで油売ってるんじゃないのか?

  大体この短時間で、オーゲル(英雄)に出会い

  ロブズレー(天然記念物級)に会うなんて

  そんな、出来すぎた偶然があるわけ・・・)」

考察チュー(元おネズミさまの現人間(男))は

エレーミナルス王国から続く、違和感に疑問を生じる。


模擬戦(抜き打ち)であろうが一人倒せりゃ

 大したもんだ。ーな?」

オーゲルは後ろの翔煙隊をちら、と見れば

倒された隊士は頭を振った。

”あんなのノーカンっすよ”


オーゲルは頭を掻いた。

そしてまた、

眉を下げて申し訳なさそうに笑った。

「ラース。

 お前にはまだ、ここにいてもらわなきゃいかん。」

「ーっな、何故ですか、オーゲル様!」

アルファイはオーゲルの前に出た。


ラースはオーゲルから視線を外さなかった。

「(まだ何か足りないのか・・・?

  この地下に私がいなければならない理由と

  同様に ー)」

ラースにもわかっていた。

ー 自分がここに居る理由 ー


「(・・・エレーミナルス王国で

  予言された新月から今日で二日だ。

  次の満月にまでまだ時間があるはずだ。

  なのに、ー )」

ラースはまだモヤモヤしてる。

「今は、まだ、そのときじゃないからだ。」

オーゲルは地下牢を見回しながら言った。


オーゲルは人差し指と中指をくっつけたまま立てて

前に二度振った。

ラースは翔煙隊に両脇を抱えられた。

アルファイは鎌ってちゃんに手をかけるー、

翔煙隊が身構えた。


「アムラン、やめておけ。

 お前にゃ まだまだ無理だ。」

オーゲルはアルファイを見据えた。

その目は、静かにアルファイを制止した。


ラースはため息まじりにアルファイを見る。

「アムラン、いい。ここは納めるんだ。」

ラースもまた、言った。

アルファイは鎌から手を離した。


「牢へ連れて行け。

 ・・・鍵は開けておいて構わない。」


黙ってラースはオーゲルを見つめている。

歩き出し、オーゲルを横目に

一言、言った。


「あなたはそうやって、また繰り返すのか」


オーゲルの表情は動かなかった。


アルファイは非難がましくオーゲルを見た。

物悲しくもあり、その理由も告げられず

また牢に入れられるラースの背中を

ただぼうっと見送る自分に

腹が煮えくり返るかと思うほどだ。

「(ー なんで・・・)」


気付けば奥歯を噛み締めていた。


オーゲルは宙を見て、つぶやいた。

「・・・強いヤツなら生き残れるんだ。

 そうだろ・・・。」







「んっも〜ぉ〜!

 ジョセフィーヌ、ひどいと思わない?!

 オーゲルさんを踏んでたのは

 そりゃ悪いけど〜!

 私がやったんじゃないし〜!!

 置いてかれるし〜!

 ここどこだかわかんないのにさあ

 あれ、やば、迷った?

 ?え、合ってる?こっちでいい??」


ハッと気づけば、

魔女はオーゲルを踏んづけていた。

すごく微妙な空気のあと

オーゲルは魔女をどかして

「後から来い」

そう言って黒ずくめの男と消えた。


「(なんかオーゲルさん・・・

  雰囲気こわかったけど

  ・・・踏みつけて私、何したんだろ。)」

覚えがないから余計に気まずかった。


「(ステータスは出るのに

  マップって出ないのかな〜)」

うろうろしながら魔女はキョロキョロ周りを見渡す。

ジョセフィーヌの触覚は揺れた。

今は頭の中にあるゲーム上の地図が頼りだ。


「(ゲーム内で研究棟は

  上階からは入れなかったんだよね。)」

お決まりだが扉を開けようとすれば

“扉は閉じられている”、だ。

西の星見塔の地下から

この研究棟への地下へ入ったことは

ゲーム内なら、ある。


魔女は研究棟に着いてから

ジョセフィーヌを連れて行くと

断固言い張ったが

体積・容積的に、無理だと

オーゲルに言われた。

それに腹を立てて、

ちょっとした言い合いをした。

絶対おにぎりをあげなかった。


「でもさ〜、

 ジョセフィーヌも

 こうやって入れたじゃんね〜。」

魔女はジョセフィーヌを撫で回す。

ジョセフィーヌは今

()()()()くらいの大きさになっていた。

「(ちっちゃくなれる?って聞いただけで

  ちっちゃくなったもん。

  オーゲルさんのば〜か。

  謝るまでおにぎりあげないもんね。)」

ジョセフィーヌが小さくなる瞬間を

一部始終見せてやりたかったが

あの脳筋野郎、いなくなりやがって!

までが魔女の本心である。


研究棟の地下の階段を降りる前の石碑に気付いた。


「あ、これ見たことあるけど

 なんて書いてあるのかわかんないな〜。

 注意!とかかなー。

 画面じゃ文字が潰れてたし

 ねえ、ジョセフィーヌ、

 このびっくりマークの逆みたいなのって

 どういう意味なのかな?」

立ち止まり、しゃがみ込んで石碑を見ながら指は文字を辿った。

ジョセフィーヌも魔女の横に付いた。

「私さあ、

 ここに書いてあることわかんないけど

 ここが大事なとこだって、

 知ってるんだよ、ジョセフィーヌ。

 えへへっ、すごくない?」


魔女は頬杖をついて

読めもしない石碑の文字をなぞった。

「ー、あの・・・」


声が聞こえていないのか

魔女は文字をなぞりながら

指がすっぽり文字の大きさに合って嬉しい。

「あぁ〜、ジョセフィーヌがさあ、

 おしゃべりできたらさあ〜

 もっといいのになあ〜!」

「あのっ」

「今みたく雰囲気で喋るんじゃなくて〜

 ラースみたいにおしゃべりできると

 すんごくいいのに〜ぃ。

 何食べるのかな〜、知りたいな〜。」

ジョセフィーヌの触覚の間をなでなでしながら

とうとう座り込んだ。

完全に行く気がないか、寄り道気分である。

こういう人を()()()()()()()()()()、ともいう。急げ、魔女。

お前、何しにここに来てんだよ。


「あのぉっ!!」

ようやく気付いた。

「わあっ!」

魔女は振り返った。


そこに立っていたのは

焦茶のローブを着た中肉中背の青年だった。

形の美しいマッシュルームカットされた髪型で

髪には天使の輪がくっきり出ていた。

さらに、なぜかきゅうりを握りしめてる。

「え、だ、だれ・・・

 (きゅうりの食べかけ?・・・カッパ?)」

声をかけてきた割には、魔女を見てオドオドしている。

視線が合わない。

魔女は(特にきゅうりを)見上げたまんまだ。


「ぼ、僕はアグリッパと言います。

 あああああの!!!

 あの!

 アルファイルス君を探しているんですよね?」

「?あああっっ!!」

「わあっ!!」

魔女の思い出しにびっくりして

青年も驚きの声を上げた。

互いに見つめ合った後

「っそ、そうでした!

 (きゅうりに気を取られて

  わ、忘れてた・・・)」」

まったくの赤の他人に

目的を言い渡される稀有な例である。


「ええっっっとあの!

 魔女さま、ですよね!

 ぼ、僕があの!

 えっとま、魔女さまにえっとお願いっていうか

 言いたいことっていうかあってその!」

「アルファイルスって

 アルファイさんのことですか?

 え、何、アルファイさんがいる場所とか?」

オドオドしたアグリッパという青年は、

横を向いたっきり

遠くを見て深呼吸した。


小さな声で何か繰り返しつぶやいていた。

「大丈夫だ、大丈夫、(魔女はこわくない)」

「(え?・・・ひょっとして

  私が(きゅうりを)取って

  食うと思われてる?)」

魔女は口半開きで、その青年の動向を見ている。

「(何、いきなりこの人、何)」


アグリッパは息を吸い込んだ、

と思ったら


「あの!!

 僕にはどうしようもないんですけどっていうか

 あ、わかるにはわかるっていうか、

 わ、わかってる、ていうのかな。

 わかったところで

 どうしようもないっていうか、それはもう

 この状況見たらわかるだろって

 突っ込みたくもなりますけど

 まあまあ、ある意味今もこ、この状況も

 危機的状況なわけなんですけど

 僕にはどうしようもないんですけど

 とりあえず来てみてから考えようって

 そしたらその、魔女さまいたし、

 とりあえずちょっと話してみて

 でも、アルファイルス君にはそのっ

 無事でいて欲しいというかいや、あの

 深い意味はないんですよ?

 あぁなんて言ったらいいのかな。

 深い意味はないんですけど、

 助けてもらった恩は忘れないのが信条というか

 助けてもらったかどうかも

 ちょっとよく判定が曖昧なんですけど

 なんていうか僕的には

 助けてもらったんじゃないのかなあって

 勝手に思っていて

 あれを助けてもらったって

 言っていいのかわかんないですけど。

 でも彼は僕の仲間だし、あ、秘術師(マグス)として

 そういう意味では仲間的に?

 あ、仲間っていうのは

 僕だけがそう思うだけであってですね

 別にアルファイルスくんと直接的に

 喋ったこととかはないんですけど

 助けてもらったことは

 一度だけあると思っていてそれでその

 僕みたいなのを助けるために、

 あ、助けようって思ったかは別ですけど

 結構無理させちゃったな〜

 なんて思うところではあるんです。

 だから今こそこういう時だから

 やっぱり借りは返した方がいいかなとか

 カッコつけてるわけじゃないけど

 そう思ったりもして、えっと

 カッコつけてるんじゃないです!

 僕みたいなのってそんなの似合わないし

 たまたまあの、

 英雄騎士が地下へ降りて行くときに

 あの、ほんとにたまたま僕も居合わせてて

 あ、もちろん隠れましたよ、

 隠れて聞いちゃったんですけど

 アルファイルス君の名前を言っていたので

 あ、これはきっと

 なにかしら、行動したほうが

 いいんじゃないかって、ぼ、僕の

 勝手な思いなんですけど仲間だしって

 思ったわけでして

 僕もこうして今あの

 こうして、ここにいるわけなんですよね。

 っふぅー。」

 

諸君、読んだ?

きゅうり持ちながら熱弁。

すんごい、読むのだって大変だ。

長い。長いなあ、アグリッパ。

長い割には中身のない話である。


だが魔女は

アグリッパの早口を意外にもしっかり聞いていた。


「あー、つまり、

 知らないってことでいい?」

「?何をですか」

「いやだから、アルファイさんの居場所。」

「えあの多分、ここだろうってぐらいです。

 地下にいるかなって。

 えっと、とても強い人がいます。

 核はないですけど、そのそばにいます。

 多分それがアルファイルス君です。

 その周りにも五名、強い人らがいて

 ・・・魔力がない人もいますね。

 僕、秘術師マグスなんですけど、

 ちょっとだけなら

 魔法も使えたりするんで、

 アルファイルス君の“核”がわかるっていうか」

「え!あんなにちっこいのにわかるの?!」

「?えぇ、まあ。

 僕んち実家、八百屋なんですけどその関係で

 養蜂場もやってて、

 その、生物の“核”がわかるので ー」

「すごい!八百屋さんってすごいね〜!

 ミツバチも飼ってるの?」

魔女の食いつきは別に移動した。

「ま、まあっ?僕としては?

 養蜂場の拡大を狙っているというか?!

 八百屋でも十分なんですけど?

 どうせなら自分の力を使いたいなって」


アグリッパ、声が大きい。

自信があることには声が大きくなるタイプ?

「おー、すご〜い。

 え、じゃあ、

 ジョセフィーヌが何言ってるかとかわかる??」

アグリッパはジョセフィーヌを見た。

「(?!な、なんだこの生き物・・・)」

気付いてなかったんか〜い。

結構、でかいんですけど。

ジョセフィーヌはアグリッパに向けて触覚を揺らした。

“ゆんゆんゆら〜ん”

「・・・え・・・」

しばらくアグリッパは

ジョセフィーヌと何かを交信しているようだったが

次第に彼はダラダラと変な汗をかき

わなわなと小刻みしたかと思えばー

震える声で言った。

「ーーー、ひゃヒュ、ひゃっ」

「?ーなんて?」

魔女は顔を傾げた。


「あああああのっ!

 こ、ここはあのっい、いいのでっ

 え えっと、あの、地下のっちがうっ

 あえ、と」

ジョセフィーヌの触覚が

ゆらんゆらんと大きく揺れるのを

アグリッパはチラチラ目線で追いつつ

怯えたように言った。

何をしたんだ、ジョセフィーヌ。


「ま、魔女さまは西の星見塔へ

 い、行ってくだしゃい゛っ!

 いだだっっ」

アグリッパは舌を噛んだ。


「?なんで?

 え、だって私、ここにラース迎えに来たし

 アルファイさんにも会ってないし

 オーゲルさんだって、えぇっっ?!!」

「ゔわあっ!?」


魔女とアグリッパは

超大型犬の大きさのジョセフィーヌの触覚に持たれ

宙を舞ったかと思うと背に乗せられた。

「え、じょ、ジョセフィーヌ?!」

「ぼぼっ僕はカンケーなっ!」

ジョセフィーヌが高速で足を連動し始めた。

触覚は機敏に動いている。


「なっ、なんでえ〜〜〜っっっっ!?」

「ひいっ!僕はカンケーないのにいっっっ!」

ジョセフィーヌは地下への階段を降りて行く。

階段途中の石壁を

ジョセフィーヌは尻尾のような尾で叩きつける。

ドォイーーッン!!


「え、え、どこ行くの?ジョセフィーヌ?

 ちょっと、どこ行くの!」

「ほ、星見のと、塔です〜っ

 ぼ、僕は下ろしてー!!」


そこは壁のはずだったが

ジョセフィーヌが尾で叩いた途端に

通用路が現れた。

ジョセフィーヌは出現した暗いその通路を走り抜けていく。

「へ?!何これ!隠し通路?!ーすご〜い!!」

もう“なんで連れて行かれるんだ”という思考回路はない。

“どうせやらなきゃいけないんでしょ”、という思考だ。

「ま、魔女さま!ー 前!!」

「?っっふぇぶぇっっ!!!」

蜘蛛の巣に魔女は体全体で絡まった。

蜘蛛の糸を両手で剥がしながら

アグリッパに魔女は聞いた。

「んも〜っ!なんだよ〜!いきなりだよ〜ぉ!

 あー、ベトベトする〜ぅ

 ね、ねえ、なんでさっき

 ジョセフィーヌがなんて言ってるか聞いたのに

 “西の星見塔へ行け”って言ったの?

「そっそれはー

 ジョセフィーヌさんがその ー」

「?」

「ジョセフィーヌさんが

 すぐにでも行かなければならないと

 おっしゃったからです!!!」


高速連動中のジョセフィーヌは

触覚をゆんゆんさせた。



「うそ!すご〜い!

 ジョセフィーヌが言ったの?!へえ〜。

 私もさ〜、話したいんだけどどうすればいいの?」

「え、魔女さまならすぐにできますよ。

 あぁ、でも妖精の契約がいるんですよこれ。」

「げ、妖精〜?

 あー、それはなんかもー厳しいなあ。

 私、嫌われてるしっ!」

「ふふっ、そうみたいですね。

 けど、前よりは嫌ってないみたいですよ?」

「え、そうなんだ。()()()()くんてすごいね〜ぇ

 そんなこともわかるの?!」

「(ツッパリ?ー 名前違うんだけどな)

 えぇ、秘術師マグスですから。」

「へえ、秘術師マグスって

 もっと怖いことしてるかと思ってた。」


アグリッパの顔が少しだけ暗くなった。


「前はそんなこと、なかったんですけど

 オラフィス様が・・・!あっ」

言いかけたアグリッパは

声をやや小さめにしたが何かに気付いて

すぐに声を大きくした。

「ジョセフィーヌさんが!えっとこの先には

 マンイーターがいるって!!」

「まっマンイーターぁあ??」

魔女は硬直した。

ジョセフィーヌは変わらず走ってる。



「(え、え?えええ???

  マンイーターぁぁ?!え、てことは何。

  この通用路って、

  あの星の回廊に繋がってるの?)」


正解。

魔女、マンイーターに向かって目下

激走中である(主にジョセフィーヌが)

そして気付く。


「(まずい!

  私、何にもアイテム拾ってないし

  補充もできてない!

  ・・・第一物質(プリマ・マテリアル)持ってきちゃったよ。

  どうすればいいの・・・。)」

何もかもが順序が逆転した。

「(アルファイさん困ってないかな?

  ラースに会えたのかな?)」

第一物質(プリマ・マテリアル)はゲームでは

すぐに使用することはないが

魔女は最初から気がかりがあった。

「(・・・元々、地下坑道ってゲームじゃ

  第一物質(プリマ・マテリアル)を使うと

  ()()()()()()()んだよな・・・)」


現時点のドノヴァッテンには

ないはずの場所、それが地下の牢であった。

「(それが今出現してるのはなんでだ・・・

  それに、マンイーター・・・。

  早すぎんのよ。出てくるのが。)」


西の星見塔で手に入るアイテムを使用して

マンイーター戦では戦う。

魔女は肩掛けかばんをゴソゴソし

大学ノートを開いた。

アグリッパが後ろから覗いてるよ?


 マンイーター戦に必要なアイテム

 星見の弓(二階、星図室の箱)

 星見の弓矢(二階、星図室の箱)

 火炎壺(西塔三階 机の横)

 触媒(西塔に入る前の庭で入手。炎属性)

「(触媒はもう諦めよう・・・

  まだいっぱいあるし大丈夫。それに

  今から取りに行くのは無理)」


研究棟から星見塔へ向かっているのだから

入手できてなくても無理もないものばかりだ。


しかし魔女は焦る。ー、


「(どうしよう!

  マンイーターってアレ、

  飛ぶやつじゃん。

  まさかもう出現?

  早くね?またこのパターンかよ。

  よりによって星見の弓が一番重要なのに

  回収できてないって、どうしよう。)」


魔女の大学ノートをガン見していた

アグリッパが言った。


星見の弓(それ)、必要なんですよね?

 僕取ってきましょうか?」



大丈夫?

アグリッパ(そいつ)、なんか魔女の次に

頼りなさそうだけど。

きゅうり、まだ握りしめてるし・・・。








ラース情報:翔煙隊が揃ってんの

      はじめて見た。すげー。

      

アルファイ情報:明らかに力不足で

        自己嫌悪。


翔煙隊情報:ローリ様を見てない?

      おっかしいな〜。

      ずっといたんですけど

      わかりませんでした?


アグリッパ情報:一般人寄りの常識人。


ジョセフィーヌ情報:いい翻訳機(アグリッパ)を見つけた。

          





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