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【改稿版】最強最悪の魔女に転生してしまったので巻きで呪いを回収いたします  作者: マダム良子
第二部 賢者と砦のドノヴァッテン魔法王国編

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東の塔 ②' 寄り道






アルファイは自分のことを

運がいいとは思ったことはない。

アルファイの思う運がいいというのは ー


「うぉおおおおおりゃああああーーーっっ!!」

ドゴーーーンっ

「うわああっっ」バゴーーンっ

「たったすk」ヒュルルル〜〜っッガ「やっやめ」

「おっオーゲル様っ」ッゴ!「ゔベっ!」

ガラガラっズゴーーーンガラガラっっ

「ヒイイっっ」

ドォオオンっっ!!!!!

「ぃイイヤアッッハアアアぁああーーー!!」

ズドーーン「ぐえっっ」ゴイーーーン

ビヨーーーン「おかあさ〜〜〜んっ」


こんな状況に巻き込まれないことだ。


そしてこんな状況とは

「オーゲル(英雄)が一人

 何百人もの騎士を

 ちぎっては投げてるついでに

 王城関係ないのに壊してる」

だ。


「(・・・英雄の“お導き”・・・とは)」

英雄、体現中。見とけよ、見とけよ。

ズゴーーーン!!

アルファイの目には()()()みたいに見える。

「(王城に恨みでもあるのか?)」ゴゴゴっっ

あるね、絶対あるよ。


オーゲルが暴れるこの十数分前まで

霧の静けさが漂う王城を見上げてたはずだ。



「へぇ、お前秋に来る予定だったか」

「はい、しかし今はもう・・・」

アルファイ(勇者アムラン)は

叶うことのなくなった未来の続きを飲み込んだ。

地下を歩く足音が響いていたから

アルファイの声は先細って

オーゲルには届かなかったかもしれない。


だって、オーゲルはこんなこと言う。

「おおっ勇者が

 魔法魔術アカデメイアに入学ってなりゃあ

 王国内だけじゃねえ、外からも

 押し寄せるみてえに来るだろうな。

 こりゃ忙しくなるぞ!

 お前は顔もいいしな!」

オーゲルは嬉しそうに言う。

「!そ、そんな

 私は入学も叶わないと思います」

「あ?なんでだ?」

「大罪を、侵しました」

英雄、キョトンとして立ち止まる。


ちょっと考えた後 ー

「・・・あー、んー・・・

 いい、いらん。

 そんなものは学者に任せろよ。

 あー、そうだ。あれがいい。

 魔女のせいにしちまえよ。」

「!?まっ」

英雄のくせに他責思考をすすめてくる。

ちょっと〜、ひどくな〜い?

オーゲルはカラッとした笑いを連れて言う。

「魔女が“拾った”んだろ。それ

 全部魔女のせいにしとけよ。

 どうせ何言ったって

 あいつらは魔女を世界の厄災だって言うんだ。

 つまらんことにこだわるな。

 なすりつけとけ。ふははははっっ」

泥臭い人間味の強い男だ。

だがアルファイは、胸がツキン、とした。

「(“あいつらは魔女を

  世界の厄災だって言う”?・・・)」


ちょっと前まで確信してたし

今もちょっと思うアルファイは

頭を殴られた気になる。

せき止められていた思いが口に出た。

「オーゲル様、・・・魔女は

 本当に、・・・呪いを世界に・・・

 いや、世界を呪ったんでしょうか」

オーゲルはアルファイをじっと見た。

「?(な、何かいけないことを聞いただろうか)」

アルファイは居心地が悪くなる。

オーゲルの強い眼差しが、アルファイを刺す。

「お前の目で確かめたらどうだ、勇者。」


オーゲルは歩き出した。


「お前さあ、その腕

 テイアーに落としてもらったんだろ?」

オーゲルが前を向いたまま言った。

「は、はい、そうです!」

アルファイは俯きかけた顔をあげ、聞こえるように

少々声を大きくして言う。

「ふ〜ん・・・」

オーゲルは立ち止まった。

「?(何か不味かったか?)」

アルファイも立ち止まる。

「オーゲル様?」


押し殺したような声が聞こえた。

「あいつの唐揚げ、食ったんだな・・・」

睨むなよ、英雄。

なんだよ、恨めしそうな顔すんなよ。

「 ー はぃ・・・」

アルファイ、死にそうだったし

唐揚げ一個しか食ってねえよ。

梅干し食わすぞ、脳筋。


「(英雄も唐揚げが好きなんだな)」

と、魔女に似た思考がいつのまにか身についた。


「(テイアー殿との関係は・・・)」

ふと口にしようかとも思ったが

余計なことは言うのを憚られた。


オーゲルはアルファイより少し前を歩いている。

マントに落ちた地下水の滴が、ポロ、と滴り落ちた。

英雄のマントは防水加工。

雨ガッパみたい。


「ふむ・・・ 

 そろそろか・・・」

地下通路の行き止まりの手前に止まると

オーゲルは上を見上げ

嵌め込まれていた鉄柵を持ち上げ、横にずらした。

少しだけ頭を出し、目線をキョロキョロ見回す。

「出るぞ」

ヒョイ、とオーゲルは地上へ出て

アルファイを軽々と運び出す。


「まだ誰もいない、か。

 ふむ、これを好都合と取るか・・・

 おい、アムラン」

「はっ!」

「お前、羅針盤は」

「ここに!」

「行き先をセットしろ。

 “北門、ヘムズワス像 下”だ。」

魔女から手渡された羅針盤を取り出した。

何の変哲もない、銀と木で作られた羅針盤は

東西南北を指す針だけで、現在その針は北を示す。

「(これだけでも十分、だとは思う。

  あの魔女に使い方を聞いた手前

  絶対使いたくないんだが・・・)」


確か、“砦塔”へ行くにはこれが必要だと

魔女は言っていた。

「(“砦塔”なんて、

  本当に存在していたのか)」

ラースが昔、言っていた

“賢者の住まう塔” 

この王国内のどこにあるかさえ、知らない塔。

魔女は知っているような風だった。

魔女がそこへ行くためには

この羅針盤が必要だと、言ったのだ。


そしてこの羅針盤を使うためには ー。

『行き先を口に出すこと』

目的地を言うだけで

何か特別なことができるようにはとても思えない。

「(・・・やるしかあるまいな・・・)」

本音は“やりたくないよーだ” 、と言いたい。

だが、アルファイは羅針盤に向かって声に出した。


「北門、ヘムズワス像 下」

手のひらの羅針盤がオレンジ色に光だした。

ピコーン、ピコーン!


「?」

ピコーン

『羅針盤ナビシステム、()()()() 起動

 この音量でご案内します。』

羅針盤から音声が聞こえた。

本当に要らない機能だが

音声が魔女だった。           


「・・・」

やっぱりだ、やっぱりだった。

魔女あのやろうっ!

という期待を裏切らない仕様に

アルファイはラーナビ投げたくなる。


『行き先は 北門、ヘムズワス像、下 ですね?

 良ければ “はい” を

 目的地の変更を行うなら ”いいえ” を』


答えたくねぇー。魔女の声だと尚更。

だが英雄の前だ、紳士に振る舞わなければ

と、学級委員長は思うわけだ。

「は、はい ー(いいのかこれで?)」

『目的地を セット しました』          

羅針盤からオレンジ色の光が点滅した。


『目的地へのルートガイドを開始します。

 実際の王国内交通規制に従って走行して下さい。

 気をつけてね〜。』

「・・・(王国内交通規制?)」

それまでじっと見ていたオーゲルは

感心したような声を上げた。

「すげえな、それ!魔女の声で

 連れてってくれんのか!うぜえなあ!」

おっと〜、心の代弁者オーゲルよ。

一言多いぞ〜。


光の中に矢印が出た。


『この先しばらく道なりで〜す。

 およそ七百メートル先

 聖魔法騎士団 通称 青騎士

 見回り中 四 名がいま〜す。

 注意して、走行してくださ〜い。

 青騎士についての情報を知りたいですか〜?』

「いっいらないっ!」

アルファイは咄嗟に答えた。

「なんだそれ!!

 敵のことも教えてくれんのかっ

 すげえ便利だなっ、うぜえけど。

 その魔女の声、なんとかなんねえのか?」

一言多いだけじゃない、音声変えろときた。

オーゲルが覗き込んでいた。

「・・・すみません、ちょっと無理ですね」

哀れ、アルファイ、悪くないのに謝ってる。

アルファイが一番(音声変更したいって)思ってる。


羅針盤。

ゲームでは行き先を決めただけで

行ってくれるお助けアイテムだが

場所を羅針盤の針が示すだけで

魔女は、それだと不親切だな、と思った。

「(もっとさ〜、便利機能ほしいよね)」

親切心が仇となる瞬間だ。


「だから、

 ナビゲーションシステムにしてみました。

 走るスピードに合わせてくれるし〜

 途中でアイテム落ちてたら

 教えてくれるんだよ!!すごくな〜い?!

 しかも〜!目的地に近づくと〜?

 めっちゃ光りま〜す!!」

ありがた迷惑系魔女。

アルファイはそれ聞いただけで

使いたくない、って思ってた。


羅針盤の矢印は直線を指し示している。

オーゲルは北の方角を見て

「七百メートル先か・・・、

 青騎士四人ね・・・よし。

 アムラン、いい練習台になる。

 っ来い!」

「?(いい練習台?)っはっはい!!」


オーゲルは走り出した。

「(はやいっ!)」

勇者と言えど、片腕なし、魔力なし、の新米勇者は

それでもオーゲルの背に必死でついていく。


ピコーン

『およそ三百メートル先

 聖魔法騎士団、で〜す』


王城前の大扉前から城壁沿いに走れば

その先には聖魔法騎士団が四名ほどが集まっていた。

何か話し込んでいるようだ。


「あ、」

ーと、彼らが気付いたときにはもう

走り出したオーゲルが

あっという間に幅跳びするみたいに

「(この距離から跳んだ?ーっ)」

空中を行く英雄の背中を、アルファイは追う。


「お前らあああっっ!! 

 抜き打ちだあああああっっ!!

 ひゃっっはあぁぁーーっっ!!!」

ヒャッハーだって。世紀末の悪党かよ。


よく通る声と同時に ー 


オーゲル、聖魔法騎士団

青騎士に


どごおおおっっっ!!!「ぐあっっ」「ッブヴェ!」


華麗なる飛び蹴りかまし

二名、強制ログアウト。

「ーーっっ!!」

他青騎士二名、唖然と立ち尽くす。


「ふはははははっっ!!!

 おう、鐘鳴らせや」

英雄は挑発するように、笑っている。


「お・・・オーゲル様・・・」

オーゲルの向こう側から

黒山の騎士だかりが

魔法転送されてくるのを

目の当たりにして

アルファイは、運がいいとは思わない。





さて暴れん坊英雄のオーゲルは

二名の聖魔法騎士を吹っ飛ばしたわけだ。

その時の状況を、レポートにまとめる。


若手騎士その1の証言

『えぇ、ほんとうにいきなりです。

 たまにオーゲル様は

 ああやって抜き打ちしに来るんですけど

 オーゲル様が“罪人”で手配中だって

 あの時は報せを受けて

 まさかそんな訳はないって

 話してたんです。

 だって英雄っすよ。

 いつものだ〜って感じです。

 僕ら言うて、新人ですよ。

 青騎士二年目です、はい。

 ふるさとじゃ負け無しの

 エリートですけど

 オーゲル様の前では赤子です。

 勝てると思ってないっすよ。

 僕、吹っ飛ばされましたしね。

 あの人、人間じゃないって噂ですもん。

 オーゲル様は神がかって強いです。

 モテないっすけど、憧れます!!

 一生ついて行きます!!』



若手騎士その2の証言


『オーゲル様は

 まじ手加減しない。

 英雄のくせにやることがゲスい、

 あ、違います、実践的です。

 だからあの時も、まぁ空気読んで

 いつものやつだ〜って

 すぐ剣を抜きました、実戦です。

 え?斬りますよ、ガンガン斬ります。

 薬草とか回復あるんで死にはしないけど

 痛いですよ。オーゲル様はあんま

 剣抜いたの見たことないです。

 素手でいっつもやっつけられます。

 でもたまに実戦演習が長引くことあって

 その日、デートの予定だったんすけど、自分。

 めっちゃ迷惑っすよ。遅刻するか

 ダメになるかの瀬戸際ですから

 こっちだって本気っすよ。

 オーゲル様って自分暇だから

 何でかそういう日に限って

 来るんすよね、まじ勘弁してください。』


代表二名による、オーゲルの

技術促進のための演習についてのレポート。


補足:部下のデート予定すらぶち壊す






アルファイは緊張した。


オーゲルを前に

剣を抜き、盾を構えながら

二人の騎士のうち一人が、

「ピュィっ」

と口笛のような短い音を出した。

音と同時に、一人はオーゲルに向かい

もう1人はアルファイに向かってきた。

「!?(こっちに向かってくる?!)」


オーゲルはアルファイに背を向けたまま叫んだ。

「アムラン!!!

 お前が相手しろっっ!!」

「!!」

アルファイの頭上

剣を構えた騎士が降ってきた。


「!!!!!!」

ガッッッッッ!

間一髪、

アルファイはこれをローリングで回避。


「ッチ!」

騎士から舌打ちが聞こえる。

石畳に叩きつけられた剣との間に

火花が散った。

騎士はすぐ姿勢を取り直し

剣を横一線に振り払い、盾を構え

アルファイとの間合いを見ているようだ。


「(どうする)」

背負ったままの鎌を出すべきか、迷っていた。

もし、使えば ー

自分の命はまた喰われる、

と思ってしまった。


ー その思考の隙が ー


騎士に伝わった。

「ッッシュッッ!!」

「!!っ」

吐き出す呼吸が

剣の太刀筋を残したまま

間合いに踏み込む残像となる。

「(危ないっ)」

左下から振り下ろされた剣は

アルファイの右胸になぎ払い、胸をかすめた。


「っ!チっ」

二度目の舌打ちは

口惜しがるような音。


「(危なかった・・・)」

アルファイには騎士の太刀筋は見えていた。

そして間合いに踏み込まれた瞬間

本能的に身をのけぞり、後転していた。

緊張で呼吸が浅くなって荒い。

「(見えていた、だけどあれを

  避けなかったら・・・

  自分の胸は十字に斬られていた。)」


心臓がけたたましい音を立てる。

乱れた呼吸が、思考を邪魔する。

「っはぁーっ、はっ、はぁっはっ」

無い肩でも息をしなければならない。

騎士の技量が高い上に、速い。


必死で呼吸を整える。

目線は騎士を向いている。


「(落ち着け、)」

じゃないと自分の心臓の音で

騎士の鎧の擦れる音ですら

聞き逃しそうだ。ー 

「(まずい・・・)」

そして、自分の体力の限界に気付く。

「(次は 避けられない。)」


体力はもう尽きそうだ。

以前の半分もないだろう。

たった2手、

攻撃を仕掛けられただけで上がる息。


回復されたとて

技術も、その体力も、

何ひとつ追いついてなど、いない。


今は互いに、隙を狙っている。

互いの距離を一定に保ったままだ。

騎士は無い腕を死角と見て

回り込んで斬りかかるつもりでいる。


「(情けない・・・

  一手も返せないとは)」

そのとき、声を聞く。

『抜け、我を抜き 振るえ』

「?!(な、何だ)」

『我の力を欲するならば 振るえ』


心臓が、ないはずの“核” が震えた。

「(黒炎の鎌か?!)」

『  ー 違う』

確かに聞こえる。

『新しき主よ、真名を名乗れ』


アルファイは答える。

「アルファイルス・ヴォン・アムラン」

『力を欲するなら 我を振るえ ()()()()

「!」

手が震えていた。

背にした鎌に人差し指、それから中指をかけた。


『恐怖か・・・

 あぁ、お前は恐ろしいのだな』

「?!っ」

『その恐怖はお前を喰うぞ』

鎌がビリビリと痺れるような感触になる。

「(何だと?)」

『それが望みか、いいだろう

 お前の恐怖ごと、喰ってやる』

命が吸われるような、脱力感に似たような

あの時と同じ ー

「(あぁ、私はまた同じことを)」

意識が黒く染まりそうになる。


「起きろ!アムランっっっ!!!」

引き戻したのは大きなオーゲルの声。


『勇者 アムラン、ー 心を 打て』

手から抜け落ちそうな鎌に ー

『立て その 心を  打て』


黒炎の鎌にかけた手に力がこもる。

アルファイは鎌を握りしめ、目の前に出していた。

気付けば、

鎌を前にアルファイは睨みつけていた。

睨みつけながら、両足で踏ん張っている。


気を抜けば、倒れてしまいそうだ。


ずっと、ずっとイライラしてた。

逆立つ苛立ちは自分で処理しきれなくって

爆発しそうな感情も

自分の踏ん切りの悪さも、片腕のない不便さも

周りからそしられることも

自分の無力さもすべて 白日の元に晒された。ー

悔しいと、腹が立つ、と言えなかった。


「(負けたく、なかったんだ)」

こんなときに 聞こえる 魔女の声 も

「(ありがとう、とすら言えないなんて)」


アルファイの中で、何かが吹っ切れる。

「言うことを 聞け!!」

鎌を握りしめ

アルファイは鎌に向かって怒鳴りつけた。

『何だと?ー 愚かな』

鎌にアルファイは負けない。


「言うことを聞かねば、

 そのリボンを取ってしまうぞ!!!!」

おおっと、アルファイ。

禁じ手だ!!

『ー !! それは卑怯だ』

「リボンを取って欲しくなければ、

 言うことを聞けっっっ!」

『何をいう、青二才が』


アルファイは迷わない。

「そうだ、青二才だろう。ー だが ー!!

 聞け! 聞け、ー 諦めてたまるか!!」

アルファイは鎌を強く握りしめていた。

「聞け! 私は勇者だ!!!」


初めてだ。

こんな腹の底から大声出すのだって

こんな必死に伝えようとした。


イライラじゃない、ー 胸を張っていた。

「(お前なんかに 負けてたまるか)」

そうだそうだっ!

リボン、ブチ切ってしまえ〜〜!


アルファイの“核”が心臓の音より

大きな音を立てる。

自分の中を駆け巡る血液のようで

心臓へ巡って新しい酸素を得てまた巡る、ー。

まるで、ー 

生まれたての 光る珠の よう。


新しい、気持ちだった。


「私はっ

 私の名は 勇者アムラン!!

 聞かぬか!()()()()()()!!!」


金色のリボンが、はためいた。

『 ー んだな 』


アルファイの核が、強く反応した。

大きく弾ける、太鼓が叩くような衝撃だ。


「(なんだ、何が、起きた

  核が、ー  戻った?)」


『 ー 我が名をんだな、主よ』 


リボンが、白く、光った。

『リボンは取るなよ』

そう、聞こえた。ー 次には

眩しくて目を塞ぎたくなるほどの大きな光の柱が立った。

光の柱は鎌へ集まり、吸収したように見えた。

金色のリボンが白く、金色の光の粒をまとった。


「!」

『さあ お前の心、 見せてもらおう』

鎌ってちゃんは、光輪を描きながら

純白の長い枝に金が縁取られた鎌になった。

「ああ、見せてやる」

無意識に鎌を持つ手は半円を描いていた。

光の跡が粒となって、周りを明るく照らし出していた。

ドクンー、

核が大きく波打った。

騎士が斬り込んできていた。

「?!」

騎士が宙に投げ出されるー


アルファイは、突っ込んできたの騎士を

避けて、鎌の鈎柄(持ち手のこと)でいなしただけだ。


騎士は落ちながら、

剣に触媒を付与した。

剣が、青白く光った。


「(ー、あれは!)」

アルファイにはすぐにわかった。

()()()()、心を振るえ』

「心だと ー?」


『勇者よ、猛き心に宿る その信念を 我に与えよ』


騎士はエンチャントした剣を両手持ちし

詠唱しているようだった。

その青白い光は紫に変化して、

紫色の炎に成長していく。


紫の炎をまとった剣はアルファイに当たった、

ーと騎士は思った。

「(やったか!?)」

だが、アルファイはその紫の炎の中を切り裂き

瞬間的には騎士の真後ろに立っていた。

紫の炎は、鎌に吸い込まれているように

騎士には見えた。

「(何だ?炎を吸収してるのか?!)」

騎士が紫の炎が消える瞬間を見届ける、その前に

アルファイは鈎柄で、騎士の首を強打した。

「っがはっっ」

騎士はその衝撃に気を失い

ガシャンと鎧の音を立て倒れた。


『悪くない、ーが、我には応えておらぬな』

「はあっっはあっ、はあっはっはっ、はあっ」


完全に息が上がって、

アルファイは鎌を立て、膝をついた。

自分でもどうやったのか、覚えていない。

“心だ”と言われたが

ただもう、無我夢中だった。


何かに報いたかったような気もするし

何かに抗いたかったような気もした。

ただ、今は酸欠で死にそうだ。



「お〜、やったな、勇者アムラン。」

オーゲルだ。

息も切れ切れなアルファイの前にしゃがんでいた。


「はあっ、はあっっあのっー」

「いい、今はしゃべるな。ー 呼吸をしろ。」


オーゲルは、アルファイの頭を乱暴だが、撫でた。

そして立ち上がり、鎌を見上げた。

小さく、ぽつり、と言う。


「鎌ってちゃん、良かったなあ、お前。

 俺にはお前を救えなかった。」


金色のリボンが風もないのに、ふわり、

『ええで、脳筋。』

と動いたように見えた。


「!」

オーゲルは眉を下げて笑った。

「アムラン、初陣にしちゃ

 まあまあの出来だ。

 お前はここで休憩してろ。

 俺の戦い方を見とけ」

「ー?」


ドノヴァッテン魔法王国の大鐘楼の

鐘が、鳴り響く。

空気を震わせ、大地が揺れる。


「へへっ、俺はやっぱりツイてるな。」

オーゲルは息を吸い込み

騎士団に向かって叫ぶように言う。


「かかってこいやアアアアアっっっ!!!」

言いながら

自分から行くタイプ。



脳筋英雄、大暴れ。










北門にいた騎士情報:オーゲルに特攻した騎士は

          飛び蹴りバタンキュー。

          アルファイに向かって行った騎士は

          持ってる鎌がなんか光り出したので

          空気読んで、静かに待機して見てた。

          斬り込んで行ったのは、行けって

          オーゲルに頭を叩かれたから。



オーゲル情報:王城ぶっ潰す、良い機会だ。


鎌ってちゃん情報:金色のリボン、キラキラ。

         まじお気に入り。

         どうだ、似合ってるだろう。







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