東の塔 ①
*
シク・ナム・ワカ ー
ー 神は 死ぬ か
ムバ! ムバ! チェ!! チェ!!!
ー そんなことはない、あっては ならぬ
オーダ! オーダ! ー
ー 口に しては いけない
口に しては いけない
ー シク・ナム・ワカ
ー 神 は 死んだ のか ー
(呪術師による『死の追放儀礼』)
*
肩掛けかばんを整理し終わった魔女は
霧の空へ向かって、背伸びした。
座り込んでいたからか、お尻と腰がちょっと痛かった。
「(そろそろ行こっかな)」
魔女は一人脳内作戦会議で思案した。
「(基本的にはゲームの攻略と
おんなじ動きで行けばいいよね)」
東の塔を回る順番と、アイテムの回収。
「(月香草、飲んだほうがいいかな〜
“昼の緑花芽草”と〜
・・・あ、ボスがどっちになるかだ。)」
さっきまで自信があったはずの記憶に
不安を覚えた魔女は、大学ノートを開く。
大学ノートには注意事項で溢れてる。
何せ、この場所で気をつけることがあった。
「(そうだったそうだった。
ここってアイテムの回収で
出現するボスキャラ変わるんだった)」
魔女は手首に巻いていた輪ゴムで
髪を一つにまとめ始めた。
「(アイテム回収については、と)」
その1、ロートスの実は確実に全て回収すること。3階
その2、ゲラルドの短剣を手に入れること。4階
その3、老賢者の装備 一番先に手に入れる。3階(超重要!!)
その4、ー煤の誘惑粉を手に入れる。4階
その5、最上階の石鉄箱を開け、第一物質回収)
髪を結いながら、大学ノートに目を落とす。
「(この老賢者の装備、ぶっちゃけ
今着てるローブと何が違うのか
わかんないけど・・・
これがないと駄目なんだよね。
一階でやることは、と、
あ、レバーか。
入ってすぐ部屋を右回りで
レバーまで行って、タイミングよく
レバーを引ければ 無傷で二階。
よしよし。)」
一本に結われた髪の根本を
しっかり頭皮につけるように引き絞った。
魔女は気を引き締めた。
「ー っよし!
最初のエリア、突入開始しますか〜。」
気分はもう、プレイヤーだ。
視点が三人称視点じゃなく
一人称視点になったから臨場感がマシマシ。
三人称視点とは:操作するキャラクターを背後や斜め上から見る
カメラモードのこと。
キャラクターの全体像が見えるため
周囲の状況や距離感を把握しやすい。
画面酔いしにくい
一人称視点とは:自身の体や全身は見えず
画面には武器や手元だけが表示される。
キャラクター自身の視点。
視点が定まらないと画面酔いする。
おすすめは常に画面中心を見る。
肩掛けかばんの肩紐をギュ〜っと握りしめ
東塔の霧の先の見えぬ先を見上げた。
「(ラース、待ってて、助けるからね)」
*
さあ、諸君。
お待ちかねの(要らない)説明だ。
この東塔をできるだけ省略化し
バーンとズバッというなら
『溶鉄所』どーん
だ。
ただの溶鉄所じゃないのが
ファンタジーでゲームの世界なのだ。
仕掛けや罠などあるし
当然、敵も出てくるだろう。
出来得る限り、簡潔に説明をする。
覚えていて欲しいのは、ここは”塔” だということ。
『東塔 溶解室 一階』
塔の一階は、大きな円形のホールである。
ホールの真ん中には
円形の溶鉱炉の耐火レンガが敷き詰められている。
塔の中の溶鉱炉の一番下の部分だが
魔法で制御されているのか、暑くはない。
塔内に風を送り込むために
発せられるファンのような音が
ゴウゥン、ゴウゥン、と部屋中に鳴り響いていた。
説明おわり。
魔女は塔に入った瞬間、すぐに目線だけ動かした。
「(ーよし、一緒だ。すぐにっ)」
ゲームと同じ配置であることを確認後
ささささっっと壁伝いに右へスライドした。
イメージしたのは、クノイチ忍者だ。
本人のイメージだから見た側のイメージは一切無視だ。
コケてないだけ、合格点だろう。
「(まだ、大丈夫。ここからだ。)」
呼吸を整える。
「(真ん中にあるレバーを引かないと
階段が出てこない・・・)」
塔のホール半分に位置する壁のレバーだ。
そのレバーを上に上げれば階下へ
下に下げれば上階への、階段が現れる。
ルート分岐だ。
「(下にレバー下げるのはわかってる。
わかってるんだけど、
問題はレバー下げたら、敵が出てくる、と)」
レバー操作によるルート選択は、
上下どちらかを先にするかで
出現する敵も変わる。
「(レバーを下に引いたらバッ!
レバーを下に引いたらバッ!・・・)」
今、魔女はレバーを下に下げるイメトレ中だ。
なお、ここでレバーを下に下げると
出てくるのは
『 聖魔法騎士(赤騎士)三体 』
である。
「(東塔に出てくる赤騎士は炎耐性がある。
・・・それより赤騎士は
索敵範囲が広いから倒せなかったら
ずっと追ってくる。
確実に一階で倒しておきたい。)」
魔女はポケットの中を確認した。
「(ちゃんとアイテムは入ってる。
多めに入れといたし・・・ふぅー
赤騎士倒しても休む暇ないぞ〜。
がんばれ、私。)」
魔女のイメトレは続いている。
レバー操作と同時に
壁から火の玉がホール中央に飛来し
その脇から聖魔法騎士達(赤の騎士)が
時間差でまたしても出現する。その数、四体。
赤騎士合計七体。
絶対殺すマン。わお。
聖魔法騎士(赤の騎士)の使役する魔法は“火”である。
彼らが放つひとつの火は
大きな炎へと増していくことを考えれば
こちらもまた、素早く対応する必要がある。
「(レバー引くまでは
敵も出てこないのが救い。)」
・・・じゃあ入ってすぐ壁に行ったのって
なんだったん?え?練習?
・・・合格取消し。
だがレバーを引いたとて
すぐに階段を駆け上がらないと
時間経過でレバーが元に戻り
階段は消えてしまう。
火の玉と騎士達の襲来をかいくぐり、
素早く二階へ行くことが大事だ。
正攻法の攻略は、常に盾を構え
赤騎士にスタブを取るか
ちまちま倒すのが推奨されている。
だが、魔女は ー
「(ここからレバーのあるとこまでは
歩いて行ったって無事なんだけど
その後だよ・・・。赤騎士出てきたら
ダッシュで逃げるってわけにはいかない。
でも私は最強、だから ーふ、ふふふ)」
不敵な笑みを浮かべた。
「(まずはひとつ目のレバー)」
魔女は深呼吸して
ホールの真ん中まで歩く。
レバーに手をかけ、
「レバーを下にぃ〜っっ」
ガゴンっ!
「ー チートで ごめん。」
つぶやいて、バッ!としゃがみ込み
ポケットから
月香草、緑花芽草、そして
水筒を取り出し、「急げ急げ」
口に詰め込んで「もゔぉ」
茶と一緒に飲み下す。「ゔげっ」
同時に壁から階段が出現し
赤騎士三体が転送されてきたのか
あらわれた。
ホールの中央に向かって火の玉が向かってくる。
魔女は階段の位置を確認し
床に体を伏せ
階段に向かって横に、ものすごいスピードで
転がる。魔女、横スクロール。
ゴロゴロゴロゴロ〜
(格段の)意味はないが、両手はバンザイし
両手をくっつけたとんがりスタイルだ。
体の上を炎が行き交う。
ゴロゴロゴロゴロ〜
魔女は地上、五十センチの隙間を
転がり、ー
「いでっっ」
階段にぶつかって止まった。
赤騎士らは
まさか魔女が転がってるとも思わず
キョロキョロ辺りを見回す。
下だよ、下にいるよ〜。
その瞬間 ー
「ジャミジャミじゃああ〜〜〜んっっ!」
言いながら
床一面に向けて壺の中身をぶちまけ
さらにもうひとつ、壺を宙に向け投げた。
「?!な、なんだ?」
「行動阻害だっ!注意しろ!!」
「な?!お、音が聞こえない!!」
赤騎士三体がわちゃわちゃしてる間に
他の赤騎士四体が、宙からあらわれると ー
つるんっ。床がツルツル。
「ぬわっっ!!」
「すっすべっ」
つるりんっ。壺の中身はなんだろな。
「ばっこっちくんなっ」
「目が〜〜っ」
ガシャン!!ガシャっゴっ
あ、三体倒れた。ラッキー。
「ヌラヌラするっ!なんだ!
あっ歩けなっ」
「ミミガーっっ」
ジャミジャミにやられたのは二体。
「おいっ!くそっ睡眠煙か!?」
「ね、ねむ・・・」
「オーゲルさm・・・の、せぃ・・・」
バターンっっ!
二体がお眠りあそばした。
もう、バタバタよ。
その間、魔女は猛ダッシュで
二階に到着。
あれ?でも赤騎士あと、一体残ってない?
「待てごるぅあああああっっっっ!!」
(意訳:お待ちよ、そこのジャミジャミガール)
ものすごい勢いで赤騎士が追いかけてくる。
「(やばいっっっ!!こうなったら、)」
魔女はポケットに手を突っ込み
ダガーを手にし、勢いよく抜いた。
何かが一緒にポケットからこぼれ落ちる。
ほわ〜〜ん、ぱふ。
「?!」
赤騎士の兜にふわっと乗ったのは ー
そう、落ちたのは おぱんちゅでした。
「?!?!?!?!?」
兜の隙間からのぞく
白いフリフリは、赤騎士の視界をふさぎ
混乱し振り払うその体は
バランスを崩し、床をつるっと
すってんころりん、からの、頭部強打。
最後の一体は、兜におぱんちゅ乗っけて
動かなくなりました。
「(替えの下着一枚しかないのに!!)」
でも、二階に着いたよ。
よかったね。
使用アイテム:油壺(油が入った壺)
睡眠壺(空へ投げると煙になり
睡眠作用を催す。ボスには効かない)
アルファイが口付けた水筒
(間接接吻の作用で魔法が使える)
*
二階の踊り場、目の前には
これみよがしにレバーがまたある。
魔女は確認だ。
「(やり込んだゲームの攻略イメージで行く。
そっちの方が、絶対、うまく行く。)」
屈伸して、足首回して深呼吸を3回。
目を閉じた。
レバーに手をかけ、思いっきり下に、おろす。
重い金属が擦れ、鎖が引きずられる音。
一階の部屋が小さく揺れる。
閉められていた鉄格子は地面から少しずつ持ち上がる。
持ち上がる度に、金属の軋む音がして耳障りは良くない。
鉄格子に付属された鎖が
天井にかかる滑車に
無機質な金属音と共に巻き取られていく。
ゆっくり閉じた目を開けた。
乾いた鉄と土埃の匂いが、辺りに広がった。
この瞬間を、ゲームで幾度となく
それこそ何百回と見た景色だ。
「(場面をスキップできずに
強制的に見せられていた、とも言う)」
だからだ。
ー だからこそ。
「(タイミングだ。
タイミングよく!いーーっち、)」
滑車に巻き取られていく鎖が
二回転ほどしたことを確認し、ー
「(にーーぃぃっ)」
滑車の特徴ある錆が十二時の方向を示す。
「っせ〜ぇっのっっ!!」
魔女は走り出す。
「(ここから!上階まで28段!)」
歌い出す。
「あんたっがっった〜ぁ どっこさ〜ぁ」
走りながら
ひとつめの階段に右足がついた。
「(ー2ぃ、っ3!)」
裏拍子は心でいう。
「ひっっごっ」
階段を一段抜かしで飛び上がる。
「さっ!」
着地と同時に合いの手だ。
「っあっそ〜れ」
合いの手は口に出すタイプ。
左足が次の階段目掛けて 飛び上がり
一段ごとに
「ひっご」ホップ
「どっっこ」ステップ
「 さ〜ぁっ!」ジャーンプ
着地と同時にしゃがみ込む。
同時に耐火レンガの穴から吹き出す火の玉。
火の玉、ではなく噴き出す火の塊が飛んできた。
火の熱が頭上をかすめていく。
ゴォォォっっっ!!!!
「せんばさっっ!」
即座に立ち上がり、
階段を跳ねる。跳ねた足は拍子を取った。
「(1、2、ーっ)」
しゃがんで火の玉をやり過ごす。
ゴォォ「(3、4!)」ォっっっ!!!!
火の玉の途中から拍子を取ったら
“四” で立ち上がり、一気に駆け抜け
フゥッと息を吐き出し、
鼻で吸い込み、声を張り上げた。
「せん〜っばっ やっまに〜ぃはぁ!」
リズムよく階段を飛び
「たっぁぬっき〜ぃがっ おってさ」
“さ” でしゃがむ。
ゴォォォっっっ!!!!
「そぉれを りょ〜ぉっしがっ
ってっぽで うってさっ」
しゃがんだ。
ゴォォォっっっ!!!!
「(2ぃ 3、 し〜ぃっで!)
すぐ立ち上がり、猛ダッシュだ。
ー 上階まであともう少し。
諸君は気付いたか?
二階から三階へは
そう、音ゲーのようなタイミングゲー。
火の玉をタイミング良く避けながら登ればいいだけだ。
ただし、魔女のタイミングを合わせるは童謡だ。
かなり癖はある。
「にってさ」(しゃがむ!)
ゴォォォっっっ!!!
「やいてさっ」(しゃがむ!!)
ゴォォォっっっ!!!
「くってさっ」(しゃがめ!!!)
ゴォォォっっっ!!!
リズミカルに大股で上がっていく。
「そぉれ〜っを こぉっの はっで ちょいと 」
魔女はすかさず振り返り
一歩後ろへ下がりながら右手を階下へ向けた。
赤の騎士達が追ってきていた。
「か〜ぁ〜ぶぅ〜せっ!!」
魔女の手から赤騎士たちに向かって
投げられたのはー、 大量の葉。
投げられた、などと言えば聞こえはいいが
実際は直線でぶつけられた、という表現が正しい。
点でぶつかるんじゃない、
面でぶつかっていく大量の葉。
とにかくデカイ葉っぱが投げられた。
結果、見た感じ、里芋の葉のようである。
里芋の葉の特徴をご存知だろうか。
あれらは葉の一枚がとにかくでかい。
そして、水をはじく。
なぜ魔女がこの葉をチョイスしたのかは謎だが
一枚あたりの葉の大きさが約幅40cmで 長さ60cmだから
これが大量に重なるようにぶつけられると ー
「っっっぶっ?!ゔぇっ!やっ!!やめっ!」
「い゛っ!?」
「みっ見えん!!」
「お゛ぶっっ!どけっ!」
「すっ滑るっ」つるっ
『わぁぁっっっっ!!!』
全員、階段から聖魔法騎士団一丸となって
落ちていく。
見事、聖魔法騎士団(赤騎士)らは
里芋の葉に包まれるようにして
階下へ落ちて行った。
そして大量の大きな葉は
彼らをその衝撃から守ってくれた。
ー 無傷だよ、ラッキー。
あ、また床にすべって転んでる。
鎧だからね、すべり良いと止まれないよね。
「やっぱり、かぶせるって言ったら、葉っぱだね!」
へ、へ〜。
魔女は満足な顔をして
赤騎士達に小さく手を振り
消える階段を見守った。
魔女の額には汗が光った。
「(た、タイミング合ってよかった〜
やっぱあの曲じゃないと
合わないんだよね〜。)
音ゲーをしているわけではない。
何百回と階段を登り、レバーを引いて
敵と対峙しているうちに
タイミングと曲の一致を思いついたのであった。
ー ゲーマーあるあるである。
魔女はそれ以外にも色々な曲で試してみたが
どうやらこの童謡が一番しっくり来て以来
その箇所では必ず歌いながら攻略していた。
「(火の玉、あっつかったな〜。
髪、焦げてないかな)」
気になって結いた髪のてっぺんを触りつつ
思い起こしていた。
現実で火の玉を喰らえば
大火傷を負い
迫り来る騎士たちに囲まれたら最後 ー。
それこそリアルなゲームオーバーだ。
魔女はその現実を思うと、ちょっとゾクっともした。
「(ここの騎士ってま〜、
魔法が全部 “火”なんだよね...。
全部相手してたらアイテムも無くなるし
こっちがやけどしちゃうよ。)」
階下からガサガサと物を退ける音と
やいのやいの言う声が聞こえた。
「なんだっ?この葉は!」
「ジャミジャミしてたけど
女だったな!」
「これ誰が片付けるんだよ!!!」
「ローリ様にご報告を!!」
「めっちゃでっけー葉だな〜」
「おい!聞いてるのか!?」
「燃やした方が早くね?」
「上階にいる術師に連絡を入れろ!すぐにだっっ!」
「魔女だろっ!目的はなんだ!」
「ミミガーっ!」
「茎、ふっと!しっかりしてるな!」
「お前は黙れ!!
ローリ様にすぐさま報告をしろ!!」
「ロブズレーを召喚しろ!」
魔女は、ピタ、と動きを止める。
「(ロブズレーだって?
なにそれ、ここで出てくんの?!)」
なんだかとっても嫌な予感がして、悪寒がした。
もっと言えば ー、 それはずるい、である。
アイテム回収する前に、ボスが決まった。
「(仕方ない、そうなったらその時だ。)」
二階へ上がると、円形の鉄製の壁が部屋の真ん中を
上階へ突っ切っているが、
相変わらず何かが激しく燃えながら
風を送り込むための音がゴウゥン、ゴウゥンと鳴っていた。
ここは敵の出現はない。
言わば、一階での負傷をした場合の回復をするか
アイテムの整理か装備の見直し、付け直しの
安置場所となっている。
が、魔女はその部屋のとある場所を見た。
見た、と言うのは
プレイヤー時代の名残とも言える癖で
意識して見たわけじゃなかった。
「(ない、よね・・・)」
ゲームの中で、王国の紋章旗が掲げられている部屋には
“契りの使い”という光が現れる。
これは、このゲームの中でも特質な存在で
光に触れると
次のボスキャラでの戦闘で共闘してくれる存在だ。
(戦闘が終わると、いなくなる)
この仕組みはネットに接続した同ゲームをしている誰かが
オンライン上でランダムに選択され、
助っ人として参戦してくれるが
この仕組みを転生前、一度も使用したことが、ー ない。
「(だってさ〜、
オンラインで会うこともないとは言っても
知らない人だよ。
無理だよ、
そんな知らない人と一緒に戦ってさ〜
こっちがボスにやられて
負けたり死んだりしたら迷惑じゃん。
けど、・・・
一回ぐらいはやっておいた方がよかったかな〜
いやっでも私はソロプレイ好きだし!)」
完全無欠のオフラインソロプレイヤー、である。
おい、誰だ、ボッチって言ったの。
残念だな、その通りだ。
魔女は肩掛けかばんの中をゴソゴソし
大学ノートを開く。
「(あの騎士、
ロズブレーを召喚とかって言ってた。
やばいな。
ゲラルドの短剣は、あそこで
傀儡の鎧と〜、占星術師。)」
魔女は少し、考えた。
肩掛けかばんの中から、何か取り出した。
それをじっと見ながら、作戦を練っているようだ。
いつのまにか
かいた汗は引いて、部屋の音だけが
ゴゥン、ゴゥンと無機質に響いているだけだ。
肩掛けかばんに入れ、上階への階段を見た。
「はあ〜っいけるかな〜。」
歩き出していた。向かうは、三階 ー。
通り過ぎた壁にかかる紋章旗に、光が瞬いた。
*
赤騎士情報:炎魔法特化型の聖魔法騎士、
攻撃力自体はそこそこだが
炎魔法を併用すると強い。
オーゲル情報:わははははは!!!!
アルファイ情報:誰かこの英雄をお止め差し上げろ。
ラース情報:そこそこの時間、困ってる。
チョコレート食べたり
飴舐めて、悩んでる。




