表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿版】最強最悪の魔女に転生してしまったので巻きで呪いを回収いたします  作者: マダム良子
第一部 5月の森 エレーミナルス王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/53

女神ディアナ






『うん、おっけーおっけー。

 お前の名は何て言う。』

変わらずノリが軽い。女神とは・・・。

女神ディアナは、蜘蛛を見つめたまま

ギーズルに問う。

「ーは、私の名は “ギーズル・マロー“ 」

若干の“この人ほんとに女神かよ”も

おくびに出さないオネエに

『よし、ギーズル。

 チャチャっと片付けるよー。

 あれ、ちょうだい。あ、あと勇者。

 お前はここでステイ。』

早口で言うから、正直者ディオは

こんな女神に目をパチクリしつつ

「あ、はぃ」

と言ったきりちゃんと直立不動でステイ。


「ギーズル、早く。雄牛の角と灰で

 作っといてくれたんでしょ?」

そういうと、手を出し催促する。

「こちらに」

女神ディアナは瓶に入った液体を手にし

『うん、これこれ。ちょっと行ってくる。

 ギーズル、お前は祭祀の祈りを捧げて。』

「は」

一直線に蜘蛛に向かって走り出した。


走り出した、とは語弊がある。

走り出したかと思えば


飛んだ。飛んで、蜘蛛の頭上。

『おい、()()、どけ』

シャルラッハロートは大剣を抜き

風のようにいなくなった瞬間 ー


ビシャアアッッ


瓶の中の液体をぶっかけて

蜘蛛の頭を踏み台にして

くるりと体をひるがえし

元の位置に戻っていた。


『さあ、()()を見せなよ』


ヴヴヴっギィアアァァァっっ!!


硬直した蜘蛛は、一転小刻みに震えた。

蜘蛛の下に広がっていた魔法陣は

黒い煙になって消えていく。

シャルラッハロートによって刺された頭が

煙を出しながら溶け、パックリ割れた中から

上半身裸の男があらわれた。

預言者アルファイ、その人であった。


『哀れな・・・』


女神ディアナは焼け爛れたアルファイの姿に

つぶやいた。


『お前は預言者とは言えないな。

 人の身であるお前がやったことは

 罪深いぞ。気でも狂ったか。』

「・・・」

アルファイはうつむいて答えない。

下半身は蜘蛛に完全に埋まっていて

意識があるのかは怪しいが

手には大きな黒い鎌を持っていた。


『“呪い”に取り込まれたか・・・』


女神ディアナはアルファイから立ち上る

黒い霧を見上げた。

祭祀王(ギーズル)、私があいつを仕留める、

 だけど今はこの手に弓も弓矢もない。

 弓はこっちで何とかするから

 弓矢をお前、つくれ。』

「は?!」

『できるって。お前、祭祀王じゃん。

 森の声を聞け。

 アンデリダの森の弓矢でも十分だから。

 ”お前が紡ぐんだ”

 あと、森の加護の光を敷いといてね。

 そして、勇者、お待たせ〜。』

「っはっ!!」

ディオは思わず片膝をついてディアナを見上げた。

女神ディアナはキョトンとして

困ったような顔をした。

『あー、そういうのいらないから立ってよ。

 勇者、お前の名は何というの?』

「ディオです!!」

『ディオか。そう、よろしく。

 お前の役目は、そうだなぁ。

 私の助手をしろ、勇者だしできるな?』

「ーっ!が、頑張ります!!」

『ふふ、いい返事だ。

 あ、ちょっと待ってて』

指を交互に組んだ手の中から光が溢れ

その手が開けば

光の塊はギーズルの祈りの光を集め出した。

光の粒子は渦となり光の鎧をまとわせた。


美しい金の光は女神ディアナを 狩人にした。


女神ディアナはディオの胸当てに

そっと人差し指を沿わせ

魔女の血痕をなぞり、何か口の中で呟いた。

胸当てが輝き、薔薇の模様になった。

「?!」

ディオは何が起きているかわからない。

口元に微笑みを見せた女神ディアナは

『加護を与えただけだよ。

 女神に仕える()()()()()()()さ。

 さあ 始めよう。』

女神ディアナは鼻歌まじりにアルファイに向かって歩き出す。


『その前に、お前が隠した

 アンデリダを返してもらおうか』

女神ディアナは

『吹き上げろ!!』

床一面の蜘蛛の糸が竜巻に巻き取られていく。

腰に差していた短剣を抜き

天井まで達した竜巻を横一閃、切り裂いた。


ドテっ

『おかえり、アンデリダ』

女神ディアナの声に、精霊アンデリダはー


『ばうっっ!!ばうううっっん

 あお〜んっ

 わぁおおううう〜〜んっわぉ〜ぉうっ

 わぁお〜〜〜ぅう〜〜っぅ〜〜』

(意訳:待ってたんだからぁっ!!もうっ

    ほんとのほんとに、もぉっ

    寂しかったんだからねっ!!!

    寂しかった〜〜ぁ〜あ〜ぁ〜〜)

アンデリダは狼だ。

「わかった、わかったからちょっと落ち着こう。

 アンデリダ、落ち着け』

女神ディアナの制止も聞かず

『くぅ〜〜んっんふっんふっ』

(意訳:興奮につき、読解不可)

精霊アンデリダは女神ディアナの顔、ベロンベロン。

ベロンベロンして、クルクル回り出す。

女神ディアナは精霊アンデリダを撫で回し

満面の微笑みでこれに応えた。

『よぉーし、よぉーし、いい子だね。

 寂しかったね、ごめんね。

 よくがんばったよ。さあ、アンデリダ。

 弓をちょうだい。』

『うぉわんっっっ!!』

(意訳:まだ足りんが、いいよ!!)


女神ディアナと精霊アンデリダ(狼)は

金の光に包まれた。

金の光で満たされる中に、漆黒の霧が闇を呼ぶ。


『っはははっっ!!

 これだっ!私はこれを待っていた!!』

男は狂気に笑う。

『まさか女神ディアナ自身が

 ()()()()を超え、”冬”からやってきた!!」

アルファイは鎌を女神ディアナに向け

黒い魔法陣をあらわした。


『女神ディアナよ、いや、魔女でもいい。

 ()()()()を 終わらせよう』







『かかってこいよ。』

女神ディアナの立つ地面から風が吹き出し始める。

同時に、女神ディアナはディオに言った。

『構えろ、ディオ。』

「はい」

ディオは剣を水平に両手持ちに変えた。

刃から覗くアルファイはディオを指差した。

『勇者ディオ、お前には失望させられた。

 魔女に寝返るとは勇者の栄誉は地に落ちた。』

だが、ディオだって黙ってない。

二度目だし、ムカついたから言い返す。

「お前が次の勇者だろ。

 俺、魔女さまに指名されるの見てたし。」

しれっと言い返してやった。

『!!違うっ!私は預言者だっ。

 あれは何かの間違いでーっ』


『ぷっ』

吹き出したのは、女神ディアナだ。

『なに、お前、預言者辞めて勇者になるのか?

 いや、やってることは秘術師(マグス)だから

 秘術師(マグス)の勇者か。

 魔女もなかなか面白いことをするな。

 でも、お前今下半身蜘蛛だな。』

茶化すような女神ディアナの態度に

 

『ーーっ黙れっっ!!!』

アルファイは怒鳴った。

黒い魔法陣からまがまがしい黒炎が

うねるようにアルファイの体に

巻き付いていく。

アルファイの体から立ち上がる黒い炎は

鎌を持つ手にも巻きつき、蛇になった。



『へ〜、()()()()()()()のか』

女神ディアナは鎌をじっと見た。

女神(あなた)(ほふ)るには必要でしょう』

不敵な笑みを浮かべたアルファイは

鎌の刃をなぞった。

『持ち主が見たら、泣けてくるだろうな』

女神ディアナは皮肉を込めて言った。


黒い鎌は

曲がった枝の柄に長く細い刃だ。

もう、ボロボロに刃こぼれしている。


「(黒い大蛇みたいだ)」

ディオは剣を自分の顔の前に斜めに構えた。

アルファイが瞬間、消えた。

「(消えたっ!?)」

黒い霧の中から切り裂かれた風に

光る白い目は

「!(こいつ目がっ)」

アルファイが振る鎌の斬撃だ。

鎌が宙を横切り

「っ!!させるか!」

ディオの剣身は鎌先を

こめかみ寸前で止めた。


『勇者というのは”名ばかり”ではないらしい』

ディオは鎌の刃先を剣で防ぎながら

アルファイを睨みつけた。

「俺は ー。

 お前が俺にしたことを 俺は許さない。

 エレメーラにしたこともだ。」

()(対)()(さない)勇者、ディオ。


一度目の蜘蛛との戦いを思い出していた。

「(悔しいけどフルボッコだった)」

そこで、ディオが死を迎えたことも

鮮明に覚えてる。

「(ぜってーっ許さねえ)

 っっ!!!」

ディオが鎌を弾き返せば

女神ディアナは自分に巻き起こった風を


samrad(サウィン)、凍てつく風を呼べ』


持ち上げるようにして息を吹きかけた。

キラキラと結晶のようなものが風の中に現れた。

そしてその風をアルファイに向けて投げつける。

アルファイの鎌の刃に命中し、鎌はピキピキっと音を立て

凍りついていった。


『ー 冷気か...』

アルファイは鎌を見ず

刃先に向かって手を滑らせた。

凍った刃先は黒い霧に

溶かされるようにして消えたが

指先に感覚がない。

『(これが最後でも・・・)』

アルファイは黒く(ただ)れた指先を見た。


「よそ見すんなよ」

ディオはアルファイの間合いに踏み込んでいた。

『!』

ディオの剣はアルファイを斬る。

アルファイを斬ったつもりだったが

全く手応えがない。

『これは惜しいことをした。

 お前がここまでの力を秘めていたとは

 つくづく、()()()()には驚かされる』

鎌の先を人差し指でなぞりつつ

アルファイは傲慢にも眼差しを送る。

「(めっちゃムカつく。なんなんだ、

  あいつ・・・どうやって移動したんだ)」

秘術師(マグス)の力を使ったんだろ』

女神ディアナは言いながら左手を水平に前に伸ばした。


『もうお気付きになってしまわれたか。

 ー っくっくっくっ』

「何が可笑しい!」

ディオは剣を握る手が

怒りで震えていることに気付いてない。


『その力を使えばどうなるのか

 お前は知らないわけじゃないだろう。』

女神ディアナは腕をなぞった。

左腕に浮かび上がる呪文字が

(つた)の刺青に変化して

素早く回転しながら指先まで達していく。

何かを確かめるように手を軽く何度か握った後

女神ディアナはアルファイを見て言った。


『黒く(ただ)れたその体・・・、お前は

 ()()()()をその身にやつしたんだな。

 秘術師(マグス)

 お前はなんて愚かなことをしたんだ』


ディアナは静かに

悲しみの表情を浮かべた。

アルファイは無表情だった。

まるで、そこに意志なんかないような顔だった。


宇宙そらの意志だ。

 さあ、おしゃべりは終いにしよう』

アルファイは鎌を振り上げ、つぶやいた。

『食いやぶれ ー』


振り上げられた鎌は

大蛇が口を開けるような

歪な牙2本を突き出しながら

ディオに向かって上下に蛇行し

飛びかかってきた。


ディオはその場で

剣を両手に持ったまま待ち受ける。

「来い」

『ふはははははは!

 のまれてしまえぇっ!!!』


黒炎の大蛇はディオを呑み込んだ。





ヒュンっっっ!!


飲み込まれたディオから

まばゆい光が飛散し

黒炎の大蛇は跡形もなく消えた。

両手を交差させ身を守るディオと

赤い炎をまとったつたの弓矢が落ちた。


『間に合った〜、

 ちょっと、遅すぎぃ。ーっふう』

「女神ディアナ、申し訳ない。

 ー 対話が久しぶりで。」

ギーズルは手を空にあげ

手首を何度か捻りながら

糸を紡ぐようにその手をひらけば

弓矢は女神ディアナの矢筒に入っていく。


『ディオ、大丈夫か?』

「問題ありません」

女神ディアナはちょっと面白かった。

だって、“問題ない”って言ってるけど

額に青筋の血管が浮かんでるのだ。


『(こいつ、静かに激怒しとるやん。)』

黒炎の蛇にのまれたからじゃない。

一度目の戦いで

無力だった自分を思い出し

さらに今、女神の弓で助けられたことに

正直情けなさでブチギレそうだ。

 

「(何とかこいつの動きを止めなきゃ

  ・・・魔女さまのことだって)」

ディオの不安と焦る思いに

女神ディアナは微笑んだ。

『(若いなぁ〜)』

女神ディアナには考えがある。


『よし、アンデリダ!!』

『ワオワオ〜〜〜ぅッッッ!!』

(意訳:何じゃい、ご主人!!)

女神ディアナは呪文字に巻かれた左腕を

肩と同じぐらいの高さに水平に伸ばした。

『わふっ』

(意訳:フォーメーション "B" だな。)

・・・女神もそれやってるんだ。


アンデリダ(狼)は

呪文字から滴る光の下へ行く。

降り注ぐ光を浴びて

美しい赤の毛並みを持つ狼に変えた。


『フォーメーション “B” よ!!

 アンデリダっっ!!』

『ばぉうッッッ!!!』

(意訳:そっちいけ “B” だな!!)


今、女神ディアナの手には

磨羯(まかつ)の弓が握られていた。

狩人の姿をした女神ディアナは

赤毛の猟犬アンデリダを従える。


ディアナは猟犬アンデリダの頭を撫でた。


『楽しい狩猟(狩り)の時間だ。

 アンデリダ、追い込むよ。』

そう言うと、焦る勇者ディオを見た。

『ディオ、狩猟(狩り)の経験は?』

「あ、あります、けど」


女神、ご満悦。

『エレーミナルスの男は

 狩ぐらいできなきゃ

 森に生きる資格はないね。

 ね、アンデリダ。』

猟犬(アンデリダ)は甘えるように鼻を鳴らした。



『ディオ、私は弓を射る。

 お前は自由に動いていいよ。

 あとは、小狡くて有能な祭祀王の友が

 何とかしてくれるだろう。』

女神ディアナはウィンクをする。

後方で咳き込むのはー

ゾイだ。


ゾイは、ヘラッと笑って手を振った。

「すみませ〜ん、僕、これぐらいしかできませ〜ん」


だが、ディオはまだ不安だった。

女神ディアナはそんなディオを肘で小突いた。

「いたっ」

『大丈夫さ。もう一人有能なのがいるだろう?

 ちっちゃいのがウロチョロしてる。』

ラースだ。

何かを一生懸命探すように走り回ってた。

「(何をしてるんだろう・・・)」

『ごほんっっ!はい、こっちに集中!

 勇者、お前の見せ場だぞ。

 いいとこ見せてよね ー』

「は、はいっ

 (そうだ、ラースさんも頑張ってるんだ。

  こんなところで不安になっても仕方ない)」

ディオは女神に感謝した。

「(感謝します。女神ディアナ様)」

嘘じゃなかった。

女神ディアナの気遣いですごく落ち着けた。

深呼吸しながら静かに目を閉じた。


そのとき、同時にアルファイの黒魔法が展開する。


女神ディアナは

肩幅に足を開き矢筒に手を伸ばし

左手には3本の弓矢を指に挟み

右手を弦にかけ、構えた。


『 ”冬”よ、凍てつく 大地の 静けさよ

  眠る種の 業の芽を ひらけ 』


磨羯まかつの弓が青白く光った次に

金色に光り出す。

女神ディアナの目線は標的”アルファイ”を捉えた。

引き絞られるキリキリという音。


アルファイが地面を蹴るような動作をしたー

飛び上がる。


『死ねええッッッっ!!!!』

アルファイの声は

蜘蛛の足が風を切る音と一緒にやってきた。

鎌を下から振り上げ飛び上がる。


「ーっふぅー、はぁーーっ」

細く長い息を吐きながら、ディオは両手持ちした剣で

回転斬り上げを弾き返した。

反動で振り下ろされた鎌の刃先は

あさっての方を向いてしまう。


『それ、返してもらうよ』

ディアナは鎌を持つ手に、弓を放つ。

「ぐあっっっ!!」

鎌はアルファイの手から落ちた。

『アンデリダ!!』

『ぐうーーっ!!』

(意訳:任せろっっ)


アンデリダの口に咥えられた鎌が

女神ディアナの手にもたらされた。


『さぁ、仕上げだ』

ディアナは弓を引き絞る。







シャルラッハロート情報:ラースに言われて

            動く。


ラース情報:有能ネズミだからな。

      三手先を読んで動く。


ゾイ情報:女神に小狡いって言われた。

     僕、なんかしました?


ギーズル情報:慣れない魔法と

       祭祀でイライラするから

       一服行かせてほしい。


ディオ情報:よく考えたら

      女神様と共闘ってすごくないか。

      アンデリダ、狼だったんだ。

      俺には犬に見えたけど・・・。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ