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【改稿版】最強最悪の魔女に転生してしまったので巻きで呪いを回収いたします  作者: マダム良子
第一部 5月の森 エレーミナルス王国編

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新月の予言②





魔法陣に取り込まれたのは

魔女、ディオ、ギーズル、ゾイ。

あいつら、どうなったのか。



「ーーっっあ?」

「ゾイっもっとちゃんと持ち上げなさいよ!」

「ちょっ」

「待っー、!みんなっいる?っ!」


転移魔法の良いところは

術師の力量次第で()()()()()()

立ってようが座ってようが走ってようが寝てようが

魔法陣をくぐれば、瞬間移動が可能なところだ。

着地点は決まって“地”と相場は決まってる。

地面を移動先にしたほうが

余計な障害がなく、比較的安全だからだ。


だが ー


術師が陰湿で()()()()だったら ー

出口はもちろん


結構な高さ()からの()()()を狙うわな。

ヒュルルルル〜〜〜〜ぅっっ!!


「おっ、おt (またかよ!!!)」

既視感(デジャヴュ)の魔女。

「わーーーっっ」

ディオ、なんか楽しそうだね。

「落ちてるよぉーーっっ!!」

魔女、事実陳列語。

「ゾイっアンタ落としたらタダじゃおかないわよ!!」

なんだろね、オネエ語は第二言語かな。

「ギーズル様っもう落ちてますーーーっっ」

そうだね、ゾイ。ひと思いに先に落としたれ。


ドンっっ!!

「おもっっ!!」「っう!」「ゔえっ」「いだっっ」

それほど衝撃がなかったのは

ここが石畳だったり、ダイレクトな地面じゃなく

王城のフッカフカな芝生の上だったからだ。

よかったな、お前ら。おや?


「魔女さまっ無事ですか!!」

ディオは()()()から叫ぶ。

「ちょっとゾイ!重いっどきなさいよ!!」

下から()()()といえど

芝生だって虫はいるよね。

「すみませ〜ん、えっと

 魔女さま、どいてくれますか〜?

 僕はこのままでも全然いいんですけど

 ギーズル様が潰れちゃうと困るんで〜」

()()()、ゾイ。

なんか美味しい思いでもしてる?


なんだ?、どんな状態なんだ。説明求む。

「!!あっごめん!すぐどくから!」

魔女が腰を強打せずにいられたのは

折り重なる野郎どもの

頂点に君臨したおかげでもある。

どこうとしたにも関わらず

「あ、あれ」

長い髪が折り重なる何かに引っかかり

ついでに肩掛けかばんが

野郎どもの間に挟まってる。

「ごめんっ髪がなんか引っかかって

 ちょ、ちょっと待ってて」

魔女は髪の毛が、ディオのマントの留め具に

引っかかってることを視認。

「(抱っこしてくれた時にくっついたんだ!)

  すぐ取るからね!」

イケメンにお姫さま抱っこされたことを

内心気持ち悪いぐらいニマニマしつつも

澄ました顔して、一所懸命に作業中。


魔女が髪の毛をとってる最中、小競り合いが起きる。


「やっやめろっ!こっち向くなって!」

男同士の吐息がかかる距離はまじ勘弁。

ディオは顔をそむけた。

「照れなくてもいいわよ。ふぅっ

 こっちもどいてやりたいのは山々だけど

 動けないのよね〜。ごめんね〜」

ギーズル、魅惑のほほえみ。


お?

ディオとギーズルは重なって向き合ってるし、さらに

()()()()()()してんのね?

「(最悪だ・・・股間になんか当たってるし)」

大丈夫だ、ディオ。それは肩掛けかばんだよ。

かばんはパンパン、中には

硬いものも、棒状のものも、多分入ってる。

ディオはギーズルと一緒なだけでもストレスなのに

現時点で実質、組み敷かれてる状況に気を失いたくなった。

「髪の毛とれたあっ!」

魔女は喜んで次の肩掛けかばんに取り掛かる。

「(あれ?紐のとこがねじれててわかんないな。

  そこがディオの首に引っかかってるのかな?

  あれ、違うな、あー、ギーズルさんの腕に

  引っかかってるのか。で、え、ちょっと待って。

  どうやったら、そっちにいくの?!・・・

  絡んでる感じしないんだけど

  この紐ってこんなに長かったっけ。)」

魔女の肩掛けかばんの紐は長さ調整自由だ。


だが魔女は男二人の甘美な視覚情報に、思う。

「(ディオとギーズルさんの絡んでる感じは

  見てる分にはいい。二人ともイケメンだし。

  ・・・ギーズルさん、苦しそうな顔して

  ディオに体重かからないように、

  腕立てしてるし。う〜ん・・・これは

  見ちゃいけないような気になるっていうか)」

「魔女っ!早くしなさいよ!!おバカ!!」

腕、プルプルしてもう限界。

「はっはあいっっ今すぐ!!」

本当は丁寧なお仕事したかったが

オネエに怒られて、魔女は中腰でー


「えいっっ!!」


思いっきり紐を引っ張った。

「っぐ!!」

「お゛っ」

肩掛けかばんは勢いよくディオとギーズルの間を抜け

魔女の顔面に当たった。

「っぶげっっっ!!」

肩掛けかばんはいい仕事した。


ディオの首に引っかかった紐は抜け、勢い余って

そむけた顔を真正面に向かせた。

ギーズルの腕に引っかかった紐は

なけなしの腕の筋肉を嘲笑うごとく取り崩しながら

ディオの発達中の胸にギーズルを落とした。

今、男と男の間をすり抜けたのはー


魔女のでかい肩掛けかばん(中身パンパン)と

二人を絡ませた、運命のいたずら紐。

もう、二人を阻む障害はない。


つまり、ー ナイスドッキング!!

イエイ!


「あ」

ゾイは彼らを一瞬ちゃんと見て、見ないようにした。

見てはいけないものは、確かに存在する。


魔女は顔面に打ちつけた肩掛けかばんの衝撃に

鼻を強打し、目はしぱしぱ。

「いた〜あぃ」

ディオとギーズルの方を見れば

いつのまにか二人は離れていたが

どちらも目を合わせることなく、なんとなく虚無顔。


戦闘してないのに、どっしり疲れてる。


「大丈夫ですか〜?」

魔女は言いながら立ち上がり、肩掛けかばんをかけた。

「 ? 」

返事がない、ただの生きた(しかばね)のようだ。


「さっ、さあっ行きましょうか!!

 ね、ね!魔女さまっほらっギーズル様も!

 ディオも、な?!僕、何も見てないから!な!?」


ゾイがなんかすごく気を使ってる。






王城内。



「ここは、王城内の城門番の庭です、ね」

ディオは自分の体の変化がないか確認しつつ、

魔女に言った。変化っつったって、ギーズルとの

あれやこれじゃない。

転移魔法による怪我をしてないか、だ。


そこは王城内の城門番の”庭”というより

森の延長上のように木々が生い茂っている。

木々の下を縫うように、行き先を示す石が敷き詰められていた。


魔女は感動していた。

「(す、すごい..ゲームでも見てたけど

  ここってこんなに広かったんだ。)」

下から上へ見上げるように景色を見た。

そびえ立つ木々とよく管理されている庭は

圧巻の美しさだった。

ディオは道案内を続ける。

「この城門番の庭を抜けた先に、

 王城の進入口が続くんですけど

 ーと、魔女さま、体調に何か異常はありませんか?」

「鼻をさっきかばんでぶつけたけど

 鼻血出てないし特に変化はない、ーかな」


ディオは小さくほほえんだ。


「ラースさんたち、大丈夫でしょうか。」

「・・・大丈夫だよ。きっと。

 ラース強いもん。あの、でかい人もいるし。」

名前を覚えてない。

シャルラッハロートだよ、魔女。

「そうですよね、スージーもいるし。

 俺、あの冷たい霧みたいなの

 前触ったことあるんですけど

 その時はー 今日みたいのじゃなくて

 触ると、ビリってきたんですよ。」

「うん、うん ー? 前?前って?」

魔女は、きょとん。


「ーあ、言ってなかったですっけ」

「? 何を?」

ディオは魔女を見た。

「俺、前も勇者やってて、これ、二回目です。」


魔女、ギーズル、ゾイ、凝固。


「お、?おう?、え、どういうこと?」

ギーズル、飲み込んだはずの言葉が出た。

「う、うそ、え? 転生、ちが、

 記憶が、あるの・・・?」

「はいっ!多分、そうです!」

にこやかに頷く、イケメン農業勇者。

「へへ、あるんです。ーごめんなさい、黙ってて。」

「そ、そうなんだ。へ、へえ〜・・・」


魔女は叫びたい気持ちだ。

「(私も私も!!)」

だが、別のことを思い始めた。


どうして今までディオは黙っていたのかと思う。

だが、これまでを振り返れば

納得できるようなことがあった。

「(ひょっとして一度目の勇者の経験は

  二度目への布石だったのかも。

  だからレベ上げもすんなり

  受け入れてくれたし上達も早かった。

  でも。

  一度目、魔女に殺されてるはずのディオが

  なんで二度目、魔女()の助けを求める?)」


ディオとギーズルは二人で何か話し込んでいたが

魔女は、もう少し考え込んでいる。


「(このことってディオに聞いてもいいものか。

  祠に行かせたのだってわかってたからで

  そうだとしたら、アンデリダの精霊の

  イベントぐらいだけど。

  ドンちゃんの二回目はもうないし

  そうなると・・・

  いやいやいや、もうゲームの内容じゃない。

  でもゲームでは転移魔法を使えるのは

  二つ目の国からだったし

  もう王城の地下の鍵もらっちゃったし

  あとはボス戦ぐらいなんだけど

  サブイベント、全然回収できてない。

  あれ?・・・そういえばディオの

  魔女()にお願いすることって何?

  接ぎ木のこと、なのかな。

  お姫さまの呪い?

  それとも・・・魔女()に復讐?・・・)」


立ち止まっていたら

ゾイが話しかけてきた。

「どうしました?疲れましたか?」

「ん?あっ、大丈夫だよ!」

魔女が歩き出すと、先にいたディオは待っててくれた。

ディオの横にいたギーズルは魔女と入れ違いに

後ろのゾイの横に行った。

歩きながら、ディオは説明してくれる。

「ここの庭の木もまた

 女神ディアナの木立ですから

 いくら王の住まいといっても

 勝手に切ることはできません。」


考えはまとまらないままだが

ゲームからズレた部分について

これ以上悩んでも意味がないと判断した魔女は

さっさと気持ちを入れ替えた。


気分は観光気分だった。

「(確かこの辺からゲームなら

  骸骨不死人(スケルトンアンデッド)出るんだよね)」

だが、ゲームとズレても

変わらない王国の慣習みたいなものについて

これから起こるであろうことを含め

聞かないとダメだと、思った。


木々から夜の風が抜ける。


魔女は立ち止まる。

「ディオ。あのさ」

「はい」

「そのっえっと

 神木マルムのことどう思う?」

ディオは木立の間から空を見るように顔を上げた。

「ー、わかりません。」

上げた顔を少し下げつつ、珍しくため息をついた。

「以前の俺なら、森の女神ディアナを守る存在だと

 思っていたけれど、今はちょっと違うかな。

 この王国の話を聞いたら、その ー」


突然木々の下からボコボコッと地面を盛り上げて

骸骨不死人(スケルトンアンデッド)が出現し始めた。


「え」

「(そこはゲームどおりかよ!!)」

「ちょっと何それ!」

「ギーズル様っ!逃げましょう!!」


剣を抜いたディオの後ろから

そっとマントを二回ほど下へ引っ張り

ギーズルとゾイを小声で呼ぶ。


「そのままで聞いて。

 動かなければ、あいつらは

 こっちに来ないから」

「?」

「作戦があるから従ってね」 

魔女は小声で言う。


「なんだ、作戦て。あほらし。」

ギーズルはアテにしてないみたいだ。

「今は俺たちしかいないんだ。

 ギーズル、話を聞けよ」

ディオは骸骨不死人(スケルトンアンデッド)を見ながら

ギーズルをたしなめた。

「ギーズル様、ここは聞きましょう」


魔女は深呼吸だ。

「ギーズルさん、五百メートル走れますか」

「?は、馬鹿にしてんのか?

 全力でいってやるよ。」

「ふふ、お願いしますね。

 じゃあゾイさん、そんなギーズルさんに

 ついて来れますか?」

「もちろんです。」

「信じてますね。ディオ・・・

 一度目では見れなかった景色を

 見せてあげましょう。

 勇者だから、できるよ。」

「は、はい? 」


ゆらゆらと揺れる骸骨不死人(スケルトンアンデッド)

魔女たちにまだ、気付かない。

が、魔女は注意深く

一体の骸骨不死人(スケルトンアンデッド)の動きを見てた。

それが木の影に隠れた瞬間、ー


「ここは 逃げるから 走って!!!!」

思い切り走り出す。

「ついてきて!」


王城のマッピングと敵の配置も、完全暗記済み。

骸骨不死人(スケルトンアンデッド)に対策するためのアイテムも把握済み。


「(骸骨不死人(スケルトンアンデッド)は聖属性の武器で倒さないと

  何回も蘇る。それはもう、執念深く。

  しかもあいつらは

  エリアチェンジという概念はない。

  ここで無駄な戦いをするわけにはいかない。

  聖属性の武器じゃない限り、斬っても斬っても

  砕けた落ちた骨が元通りになるし

  疲労困憊かアイテム枯渇で死を招く)」



ディオの今持っている武器はブロードソードで

なんの変哲もないただの剣。

この武器は無属性だから、無理だ。

一生追われる。


「はあっはあっ!」

「もう少しだよ!!がんばれ!」


残り、百メートル。

お城の庭を抜け、角を曲がれば

煌々と燃える松明が辺りを照らす”王の道”がある。


「あと少しだから頑張って!」

「魔女さま、でも!」

「今は逃げるが勝ちっと!」

「ギーズルさまっだいっじょっぶで」

「っるっさっいっっはあっはあっ」

ギーズル、ここでも色々限界。


お城へ通じる通用口へまでなんとか走った。

息を切らし、後ろを見れば

骸骨不死人(スケルトンアンデッド)はついてきてない。

「はあっはあっひーっ疲れたあっ!

 (よかった、ー 作戦、成功。)

 みんなっはあっ大丈夫?っふーっ」

いい汗かいた。五百メートルって長いよね。

ディオを見た。

「えぇ、俺は平気、ですけど

 魔女さまは汗かいてますね」

うそん。

イケメン全然汗かいてないじゃ〜ん。

ギーズルはー

「(あ、死んでる・・・)」

殺すな、倒れてるだけだ。

ゾイは額に汗しつつも、ギーズルをお世話してた。

「大丈夫ですか〜、ギーズル様ぁっ

 チョコ食べますかあ〜?!」

「・・・水持ってこい・・・」

魔女は水筒を手渡した。


ディオはズボンのポケットからハンカチを取り出し

魔女の額にあてた。

「!?えっ」

ディオは顔をちょっと近付け

魔女の汗を拭う。

「よかった、あの俺、最初魔女さま見た時

 この辺、赤くなってたからー。

 痕にならなくてよかった。」

「(ファ?)」

それは汗、関係ないやつ。

「(あ、あわわわわわわっっそ、それは

  黒竜になって、デコピンされた時ので

  もぉだいぶ前にーっ)」

口だけパクパク。魔女が説明しようとしたら

覗き込まれた青の目に、近付かれたイケメンに

心臓が喉にいるような気がした。

「(く、口からなんか、で、出る)」

おい、吐くなよ。

「魔女さま?」

「!な、なんでもない!!」

魔女は開けるつもりもなかった肩掛けかばんを開け

水筒を取り出した。


「(顔が熱い!ディオって

  そんなこと覚えてるのか・・・

  イケメンってすごい・・・)」

ドギマギしつつ、水筒を開け飲んだら


「? まずっ!!ゔべっっお゛えっ」

紅茶を飲んでた。

すんごいぬるいし不味くて

(夢見心地だったのに)現実に引き戻された。

はじめてアイスクラピウスに感謝した。


「お゛え゛え゛っまっっずっ!!」


向こうで、ギーズルもおんなじ反応してた。

ギーズルは回復茶を飲んでた。






ディオ情報:女の子は蝶々とか花みたいに

      扱うんだよ。知ってる?


ギーズル情報:喉乾いてる人にチョコ渡すな。


ゾイ情報:ディオとギーズルさまの関係?

     仲は悪くないと思いますよ。

     僕ほどじゃないです。ふふふ。

     僕を超えることはないです(真顔)


ラース情報:シャルラッハロート、・・・

      お前、方向音痴だろ。


シャルラッハロート情報:勘で生きてきた。







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