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【改稿版】最強最悪の魔女に転生してしまったので巻きで呪いを回収いたします  作者: マダム良子
第一部 5月の森 エレーミナルス王国編

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27/30

考察中






さて、ラースである。

おネズミさまはここに至るまで、考察を立てていた。

考察()()()(ネズミ)だ。


「(こんなの(魔法を使わないの)が魔女だとしても、だ。

 私の知る魔女では、もう、ないだろう。

 なんらかの方法で中身が入れ替わったか

 どちらかが消滅したと考えて差し支えない。

 私がいない間に何かがあったのは確かだ。

 あの魔女はもう死んだか、違う(肉体)に移った、と

 判断した方が蓋然性が高いと見ていい。

 あの魔女のことだ、・・・きっと

 禁書(スクロール)にすら載らない魔法を使ったのだろう。

 しかし、そうだとすると別の問題がある。

 この(目の前のポンコツ)魔女の魔力は桁違いだ。

 古代の黒竜を召喚変化できるような力を差し置いて

 あの魔女が新しい器に()()するなんて真似をするか?

 意地汚く、抜け目のないあの魔女だぞ?

 “金枝”が欲しければ、あの魔女一人でも入手可能なのに

 こいつである必要はない。そばで観察していたが

 魔法は使えないし呪いすら解けるのかあやしい。

 錬金術に近い術を使うが、それ以外は未知数だ。

 アイスクラピウスはなぜ一時的な解除を知っていた?

 『魔女がきた』とは、なんだ?暗喩が過ぎる。

 だからあいつと話をしたくないんだ。

 ・・・3分の魔法発動に何の誓約がある?

 くそ、あいつは何をどこまで知ってるんだ・・・。

 まさかドノヴァッテン魔法王国も関わってるのか?

 関連するような何か、見落としがあるはずなんだ。

 エレーミナルス王国の神話、三つの神器と

 5月祭、祭祀王、歌・・・、そういえば、こいつ)」


そこまで考えていたら

「ラース!!聞いてる?!」

頭の中の話題の人、魔女がめちゃんこ目の前にいた。

「ぅわっ」

小さな叫び声が出た。

何かと思い、魔女の向こう側を見れば

ギーズルはゾイに手伝ってもらい、緑の法衣を脱いでいた。

魔女がラースに耳打ちする。

「ねぇねぇ、ちょっと困ってるの。」

「?何を」

「あー、・・・えっと〜ぉ」

煮え切らない言葉尻にかぶせてきたのは ー


「魔女っ!!いや、祭祀王!!

 お前にもう一度決闘を申し込む!!!」


シャツにパンツ姿の楽な格好になったギーズルが

魔女を指差した。


「え?」

魔女を見る。

「あ、あれをさっきから言われてて〜・・・」

「あれって、()()を?」

「それもあるけど、私が決闘に勝ったから

 ()()()()()()()だっていうの。

私やりたくないって言ってるのに〜ぃ。

 あ、でも私、女だから祭祀女王になるの!?

 あ、違う、祭祀女王魔女?祭祀魔女王??」

呼称を気にする場合じゃないが

確かに。新たな祭祀王は今、魔女になった。

そして、今度は魔女がギーズルから決闘を申し込まれる立場になった。

魔女だってなって半日なのに祭祀王なんだって。

使いこなせない肩書きだけが増えていく・・・。

「どうしよ〜、ラース〜ぅ」

「・・・」

そんなもんほっとけ、というのが正直な意見だったが

ラースはギーズルの前に出た。


「ギーズル・マロー。魔女は祭祀を行うには

 アンデリダの森の密儀を知らない。

 なにせ、“魔女”だからな、畑違いも甚だしい。

 一子相伝の密儀を魔女に教えていいのか?」

ラースはギーズルを挑発している。

簡単にいえば、

“お前らが必死こいて守ってるアンデリダの森の

祭祀王をあの魔女にやらせていいのかよ?

あの魔女だが、こいつだぞ?ほんとにいいの? ” だ。 


「ーっ」

ギーズルは本当は迷ってる。

祭祀王には何の未練もないが

アンデリダの森がぐちゃぐちゃになるのは

絶対避けたい。しかも魔女にぐちゃぐちゃにされるなんて

絶対嫌だと思ってる。

「(歴代当主が守ってきた森だ・・・。

  俺で潰したら・・・)」

「ではギーズル。こうしよう。」

おネズミさまは、微笑んだ


「君たちが隠してきた密儀のひとつである

 建国神話の、」

「あッッッ!!!!」

魔女が叫ぶ。

「っ何だ、魔女、せっかく秘密が知れたのに」

「違う違うっ!!それじゃないっ!」

そう言って、魔女はギーズルに近づいたが

「ギーズルさんっ!」

「っひ」

ギーズルはゾイを前に差し向けた。

「あ、ども、魔女さま」

ゾイは鼻を軽くすすって、お辞儀した。

「あ、さっきはどうも。」

だから魔女もつられて軽くお辞儀した。


「ギーズルさん、あの!!」

ゾイの後ろに立つギーズルに魔女は話しかけるが

ギーズルはそっぽ向いていた。

「あの〜」

もう少し柔らかく言うがギーズルは返事をしない。

右に左にゾイを避け、魔女は話しかけたが

そのどれにも反応してくれなかった。

「魔女さまっごめんなさいっあの

 ギーズル様は女性が苦手で、そのっ

 聞こえてるんですよ?聞こえてはいると思うのですが」

ゾイが申し訳なさそうに、ギーズルの壁となっていた。


「(〜〜っっもぉ!!めんどくさいなあっっ!!)」

魔女はゾイをどかして、ギーズルの前に立ち

両手でギーズルの顔を持ち、自分に向けた。


()祭祀王のギーズルさんっ!!

 私は、祭祀王になんてなりたくないけど

 決闘には勝ったので言うことを聞いてもらいます!!

 今、私は祭祀女王ですけどっ、えっと

 祭祀女王辞めます!!!やっぱり、ていうか

 魔女として呪いを解かなきゃいけないので

 ギーズルさんを祭祀王に指名します!」

決闘からおよそ三十分も経ってないが

祭祀王になってから最短で辞任しさらには

みずから、次期祭祀王をご指名だ。

「は・・・」

ギーズルの驚いた目が魔女の目に映った。

若干、顔がひきつっているようだが

魔女は続けた。

「いいですね!!」

断定的な魔女の物言いに

“有無”、とは言ってないが

魔女は両手で持ったギーズルの顔を

半ば無理やりうなずかせた。

「い゛っ」

ほら、痛がってる。

首大丈夫?

「す、すみませんっっ」

両手をパッと離して、魔女はモジモジする。

「で、あの〜ぉ

 勝ったからゾイさんに“ありがとう”って

 言ってくれたのは〜ぁ、ほんとに感動して〜ぇ

 あ〜、よかったなぁ〜って思ったんですけどぉ〜。

 けどぉ〜、なんていうか〜、私もここまで来るのに〜

 結構大変だったっていうか〜ぁ、苦労してるっていうか〜。」

全然苦労してるようには見えない。

ゲロ吐かれただけじゃん。


ギーズルは首を揉みながら

「つまり、()()()()()()を寄越せ、と?」

魔女の言葉を慎重に汲み取る。

「い、いやっ!そのっ

 対価っていうか!や、やだな〜ぁ。

(ゲームなら、アイテム落とすじゃん!!

 あれが欲しいんだけどな〜っあれ。)」

魔女、しどろもどろの声がひっくり返るが

内心アイテムクレクレマンだ。

ギーズルはポケットから何か取り出し

魔女に放った。


っポイ!

「わっ」

魔女は急な行動にびっくりし、両手でキャッチし損ねて

見事落とした。


「っプっ。どんくさっそこは受け取れよ」

ギーズルは呆れたように笑った。

「えっ へへ」

魔女は薄ら笑いを浮かべたまま、拾い上げた、ー 


『王城 地下の鍵』 


「ー!?

(え、蜘蛛ボス戦の鍵...?

 どうして?ゲームでは王城にあるはず・・・

 そして祭祀王が落とすアイテムはー)」

魔女は首を傾げてしまった。

コレじゃない感、丸出しで。

「王城の地下の鍵だ。

 呪いを解くなら、そこに蜘蛛がいる。」

「(知ってる・・・)」

「“金枝”もそこにある」

「(それも、知ってる)」

「俺の杖は、預言者に持ってかれたから無いけど

 祭祀の剣は王の間にあるはずだ。」


「え(それ、欲しかったやつ)」


魔女が欲しかったもの。

それは、()()()()だ。

ゲームでは祭祀王を倒すと、杖が手に入る。

「(・・・杖は預言者に持って行かれた?

  え、どういうこと?

  だって、王城の地下の鍵って

  王城入らないと、入手できないのに??)

  まっ待って!王城って確か魔女の呪いで

  入れないのにどうやって入るの!?」

「?何言ってんだよ。魔女はお前だろ。

 この祠の地下は王城地下へ繋がってる。

 直通だ。」

ギーズルは目線だけ、向こうを見た。

ゲームで見たことのある岩扉の向こうは

魔女の知ってる場所ではなかった。

「(・・・岩扉の向こうは

  地下水脈があって、休憩安置だった。)」


魔女は確信した。

「(やっぱり、ゲームの中の状況と

  ズレてる。・・・てことは)」

岩扉を見た後、魔女はギーズルに言いかけた。

「それならあの杖はー」

ギーズルは前髪を両手で撫で付けるようにして

かきあげながら魔女を覗き込む。

散々良いようにされたから、ちょっとやり返したれ、

ぐらいに思ったのかも知れない。

ゾイからもらったチョコを一粒食べたし

今なら五百メートルは全力で走れる気がしたし

たとえ今決闘は無理でも、意地悪したくなった。


()()()()()()杖か?」

意地悪く言ったつもりだ。

なんなら魔女の顔を両手で持ってやろうかとも思ったが

それはやめた。気持ち悪いから。

「っ!」

逆に、魔女が両手でギーズルの顔持った時は

一生懸命だったからあんまり気にしてなかったのに

近くで見たら、この祭祀王の顔面。

「ぅわっフォイ!」

イケメン直近耐性のない魔女は

オネエ(にわか)に思わず変な返事をした。

少々痩せてるが、憂いを帯びたイケメンだ。

魔女、ドギマギ。

ギーズルはしれっと言う。

「あの杖はドンちゃんが食った」

「え?!く、食った??」

「それでお前にゲロ吐いた。」

「・・・」

それはもう、仕方ないことだから

魔女もどうしようもない。ツルツルになったし。


「“祭祀の杖”は、()()()が持ってる。」

二度目、同じことをギーズルが言ったとき

ラースは魔女の肩にいた。


「祭祀王、ギーズル。

 教えてくれ」


引っかかってたのは、“預言者”だ。

()()()だから。




ラースが頭の中で考えていたのは

このエレーミナルス王国の神話だ。


「(三つの神器にまつわる神話。

  獣人のサンザシは、森の女神ディアナを守る

  獣のことだ。ディアナは森の女神でありながら

  狩猟の女神でもある。

  獣人は女神の神殿を守る“力”の象徴だ。

  ・・・サンザシを付けて。

  そしてー。

  咎の雄牛、これは森の沼地にいずれかの時代

  ()()()()が棲みついたことからはじまった。

  この蛇の怪物は、“貪食の大蛇”のことじゃないのか?

  そのとき、ある一頭の雄牛が

  その怪物に立ち向かったと、神話にはある。

  雄牛の頭には黒の角が生えており

  その角をもって、蛇を仕留めたが蛇は死の直前

  雄牛の喉元を食らいついた。

  雄牛は蛇を噛みちぎったがその後、蛇の呪いを受け

  今なお、森の沼地にいる、という。

  ・・・ディオのやつ、うまくやってるのか?)」


繋がる部分と、まだわからない部分がある。

ディオはじゃんけんに勝ったのか?


「(と、話が違う、今は神話についてだ。

  蛇の怪物が “貪食の大蛇”だとしたら

  なぜ “金のナナカマド”をー・・・

  古来より“蛇”は世界のすべての植物や

  栽培に関する表象でもある。

  蛇は脱皮することから、その死と再生を意味している。

  ・・・月の満ち欠けのように・・・。

  月こそ時間の領域で作用する()()()()()()()()()だ。

  エネルギー・・・。

  獣人、蛇、雄牛、これらがそのエネルギーを

  あらわす、もしくはそのものだったとしたら

  “金のナナカマド” が蛇の性器であっても頷ける。

  男性器は()()()()()を象徴しー

  サンザシは春を告げるだけじゃなく

  “生殖機能”を高める豊穣のシンボルだ。

  子宮をあらわしている。蛇は月のー

  待て、月・・・?

  今日は()()だ、)ーだが

  それをいうなら魔女の中身が変わった理由が

  つかない。新月は、()()にとって特別だ。

  なおのこそ、あの魔女のままがよかったはずだ。

  そもそもあの()()()()()はなんだ?」


ギーズルは、崩れかけの岩に腰掛けて

手を押し込むように揉みながら、ひとりうなずく。

何かを決断したようだった。

やがて、ポツリポツリと語り始めた。


「このエレーミナルス王国の祭祀王は、建国以来

 俺の一族が引き受けてきた。

 マロー家は王族として扱われるし

 武芸に秀でた一族だったから

 祭祀王が変更されたことは今まで一度もない。

 というより、知らないんだ。聞いただけで

 本にもないし、そう聞いただけだ。

 今日負けたのは一族にとってはじめてだと思う。

 不名誉だけどな。・・・

 だけど、不名誉なことはそれじゃない。

 森の女神ディアナの神木マルムは

 もう長いこと生贄を捧げてないんだ。

 百年以上だと思う。

 生贄になる動物や、人間は完全無欠が求められた。

 ひとつでも欠点があれば、それは生贄とは言えない。

 だから

 一族の長男が、その生贄になり続けてきた。」

魔女は黙って聞いている。


「はは、おかしいと思うかもしれないけど

 完全無欠であるのは“王”、その人だけなんだよ。」

力のこもってない笑いに、ラースがつぶやいた。

「(現世と来世の境界をまたいだ完全なる存在。)

 エレーミナルス王国に伝わる“()()()()”か。」

目を伏せ、ギーズルは小さく頷いた。

「百年ほど前、どこからともなく預言者がきた。」

ギーズルは膝の上に握り拳を作っていた。


ラースのひげが、小さく揺れた。

「預言者・・・」

想像はついていた。

だが、最終的な判断をするには

まだ足りない。


「ああ。あいつは

 『新月の夜、代わりの生贄を選んでやろう』

 と、ぃって・・・」

だんだん声が小さくなって

ギーズルの小さく震える肩まで、闇に吸い込まれそうになる。

ラースは何も言えなかった。

「(結果、そうなるだろうな・・・)」


重苦しい空気に、


「おお〜〜っい!

 誰か〜ぁいますか〜あっ?」

光の差すような声が、地上から穴に向かって聞こえた。


イケメン勇者(仮)ディオだ。







スージー情報:ディオと一緒にいる。


もう一人の勇者情報:当然、一緒。

          シャルラッハロートだ。


ゾイ情報:ギーズル様がぁっ!!

     お守りしますっ!したいので

     僕が生贄になりますぅっ!グスっ


ギーズル情報:お前、話聞いてた?

       おバカ。





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