OKONOMIYAKI前夜祭(後編)
人間の【愛】こそが限界を超え……神をも打ち倒す……
鑑賞用BGM(お好み焼き屋):https://www.youtube.com/watch?v=04RQ6uLSf64
鑑賞用BGM(平取町・国道237号沿い):https://www.youtube.com/watch?v=J-hw0nGiwCM&list=PL3BBD1419F042A01B&index=8
鑑賞用BGM(平取町上空から):
~NY市内・ブルックリン通り~
~お好み焼き屋・MIZUNO改めSHEMHAZA~
【ケンザキ氏】
折れたお好み焼きをエスティアに食べさせて貰っているクエイドを尻目に、ラロシェルは二枚目の生地を鉄板へ流し込む。
『何や?』
【【神】は実在すると思いますか?】
『……居るかもしれへんな』
【それは何故です?】
『超常的な上位存在が、私らの人生を苦しめて笑うとる』
『そうとしか思えない事があるからや』
『ソイツが偶々【創造神】と呼ばれてるか、自称しているだけやろうな』
【卓見かと】
【それが偶然や確率の産物であれ、意図的な動きがあるように私も錯覚します】
【我々はかの孫悟空のように、如来の手の中で藻掻いて居るだけかもしれない】
【ですが──】
レイカはビールを呷る。
ラロシェルは具材を生地からはみ出す程に転がす。
【我々人類は何時までも釈迦の掌には収らない】
【収る気もありません】
【私は【創造神】と戦い、そして勝つ積もりです】
エリシェバはラロシェルの方を凝視し始める。
レイカは2本目のビールを開け始めた。
『ほー!大きく出たな!仮面の兄ちゃん!』
『でもそれぐらいの気概が無ければ、あんなデカイ企業の経営なんてやってかれへんわ』
『自分の運命は自分で決める……それが人間や』
【はい。正にそれこそが人間たる条件】
【運命は踊らされる物ではなく、自分で掴み寄せる物】
『そして掴んだ運命で自分の世界を創って行く』
『詰まる所……』
【この世は【世界】のぶつかり合い】
【自分の想いを成す為に他の【世界】を叩き潰し、吸収していく】
『そして勝ち残った【世界】が……』
【【創造神フリス】を打ち倒す】
【ケンザキ氏……やはり貴女は稀代の英傑です】
レイカはビール瓶を置き、カラカラと笑う。
そして真っ直ぐとラロシェルを見つめる。
『私はな……神仏を理由に、物事や言動をねじ曲げられるのが嫌いなんや』
『だからその手の存在には消えて貰わな困るねん』
『自分の行動責任は全て自分で負うべきや』
【──】
そして彼女はエリシェバの肩に手を回す。
『なぁ……エリち』
『この神をも懼れず、更に消そうとしているこの兄ちゃんをどう思う?』
『自分の思うた事を正直に言ってくれや』
『……身の程知らずだ』
『人間の知と力には限界がある』
『限界が無いと思っているのなら、愚かの極みだ』
ラロシェルは仮面を外し、紫色の瞳と笑みをエリシェバへ向ける。
葵の嬌声が上がる。
【人間に限界などありませんよ、カウフマン】
【そして質問します。限界を超える条件とは何だと思いますか?】
エリシェバは、眼鏡の奥からラロシェルの笑顔を見据えながら言う。
『魂と執念だ』
『それが私を限界以上に駆り立ている』
【惜しい】
【限界を超える条件とは……】
【【愛】ですよ】
【人間の【愛】こそが限界を超え……神をも打ち倒す……】
『まさか【覚醒】やアイテム発現の条件は……』
【はい。【愛】です】
【そして全てを愛し、壊せる者だけが更に上の段階へ昇る事が出来る……】
【私も最近分かった事ですが……】
レイカはヘラで焦げを寄せていく。
葵はラロシェルの回りを歩きながら、顔をうっとりと眺めていた。
『──まさか生まれたんか、四段階が』
【はい。生まれてしまいました】
【私の想定より5ヶ月は早く生まれてしまった】
【私は彼にも対処しなければならなくなりました】
『配下達はもう差し向けたんか?』
【クライヴもファルネーゼも一騎当千の人材ではありますが……】
【あの相手は、彼等をも食い潰して大きくなってしまうでしょう】
『まだ残ってるやろ、最強の黒い鳥が』
『オマエが東京侵攻を裏で操っていたのは分かっとる』
『それについて私は何も言わんが、何とかせなアーデルハイド所やないで』
ラロシェルは投影画面を掌の上に出す。
【この方をご存じで?】
そこには顔に傷こそ付いていたが、イチカに酷似した人物が映っていた。
『いっちゃん!?……いや、顔に傷なんかついてないでいっちゃんは……』
【彼女は【死人】です】
『死人?』
【元ロシア連邦軍少佐、《アナスタシア・ハリスト・ナジェージダ》】
【通称、《ナスターシャ》】
【GRU時代のコードネームは【超人】】
『──マルファのオバハンの死んだ部下か!?』
【如何にも】
【彼女が死んでから、スタヴローギナ女史の人生は狂い始めました】
『……それにしてもいっちゃんにそっくりやな……』
『目元とか鼻筋とか唇とか輪郭とか髪の艶とか、手足の長さとか胸とか腰とか背格好とか似過ぎやろ……』
『そら生き返りだと思って、執着するわな……』
『で、これがどないしたんや』
レイやん、少し気持ち悪いぞ。
いや、かなり気持ち悪いな。
ラロシェルはお好み焼きにイカの切り身を落としていく。
【彼女の生存が確認されました】
【監視カメラに、0.02秒だけ映っていたのを解析しました】
【驚くべき事に彼女は全く歳を取っていなかったのです】
レイカは思わずヘラを落としそうになる。
『おわっととと……!』
『マ、マジでゾンビやんけ!』
『コイツが何かやらかしてんか!?』
ラロシェルはもう一つ画面を空中に出す。
【ロシア連邦空軍のリナト・ヤストレブ大尉とラーチン大統領の別荘で、接触していた事まで分かっています】
【しかし、それ以上は私でも追えませんでした】
【恐らく……彼女に追跡がバレている】
『……な~んとなく分かって来たで』
『オマエがこうやって持て成してくれたり、情報を教えてくれる理由が……』
『戦力が欲しいんやろ』
『で、このハイテンション灰色が問題のヤツやな(コイツが……第四段階に……)』
葵は画面に顔を近づけながら、ラロシェルと画面のヤストレブを交互に見る。
「うーん……温厚インテリ系超イケメンと活発系イケメン軍人……」
「探索者業界は最高ですなぁ!フォーゥ!!」
【葵さんは私とヤストレブ氏、どちらがタイプですか?】
葵は頬を押さえ、悶えながら言う。
「そんなの、ラロ君を前にしたらラロ君推しだって言うしか無いじゃ~~ん!!」
「きゃ~~~っ!!」
「ラロ君ってなんやラロ君って……」
「こうやって婚期を逃していくんやなぁ れいか」
「女の子は恋する間、歳を取らないんですぅ~~!」
「ここにもゾンビおったで」
「いつから陰陽道はブードゥー教になったんや」
【で……ラロシェル】
レイカはタバコを取り出し、火を点ける。
【私に何を頼みたいんや】
【試験小隊のテスター指揮官になって頂きたいのです】
【無論、報酬はしっかりとお支払い致します】
【額にも寄るが、妥当な仕事やな】
【で、小隊ってのは……】
ラロシェルは指を鳴らし、人間そっくりのアンドロイド少女達が出てきた。
【おいおい……】
【お人形遊びでもしてろって言うんか】
【いえ、彼女達は立派な兵器であり、兵士です】
【メンタル構造も人間に近く、感情豊かに振る舞える個体も居ます】
【無論、日常生活や家事もこなせますよ】
エリシェバは立ち上がり、凄まじい剣幕でラロシェルへ詰め寄る。
『ケンザキに何をさせる気だ!!ラロシェル!!』
『それにコイツ等をスパイとして使う積もりだろう!!』
『ケンザキ!!この依頼は絶対に受け入れるな!!』
レイカはツマミを食べながら返答する。
【大丈夫やってエリち】
【私がお人形にザクザク情報を抜かれる……そんなマヌケに見えるか?】
『いや、しかし……!!』
【お口キスチャックや】
『──!?!』
レイカは10秒以上深くキスをし、そして唇を離した。
【もしラロシェルに呑み込まれる様であれば……】
【所詮、私はそこまでの女やったという事や】
エリシェバは耳まで真っ赤になりながら、俯いて言う。
『……も、も、もし裏切られて、追い詰められたら……』
【そん時は──】
【是非も無し】
【華麗に燃え尽きたるわ】
『──』
レイカの火傷痕から炎が噴き出し、ラロシェルの青いシャツと黒いネクタイを掠めた。
彼女は椅子にもたれ掛かり、ラロシェルに向かって叫ぶ。
【店主!酒や!】
【日本酒寄越せや!ドカンと強いヤツをな!】
【これから祭りやからな!!パーッと行くでぇ!!】
【了解しました】
【では『雪の松島(※1)』を】
彼女は運ばれて来た日本酒のボトルをひったくると、その場でラッパ飲みを始めた。
~レイやんがお好み焼き屋で日本酒を飲み始めた頃~
~北海道~
~平取町・国道237号沿い~
『ク、クソ!!』
『ジャップめ!!何処から仕掛けてやがる!』
車の下から、猛烈な射撃が【降下機甲猟兵大隊】の隊員達に襲い掛かる。
そしてそれを合図として、刀を構えた鬼化自衛官達が一斉に飛び出て来た。
「「「うおおおおおぉぉっーー!!!」」」
足を撃たれ動けなくなった大隊の隊員達は、為す術も無く首や胸を刺される。
その時、レオパルド2戦車が自衛隊員達に向けて突進して来た。
「散開!!」
鬼化自衛官達はその場から一斉に飛び退き、一人の鬼化自衛官が戦車の上に取り付いた。
彼はハッチを掴むと、その剛力でハッチを無理矢理引き剥がした。
『なっ……!?』
即座に車内に向かって銃弾が撃ち込まれ、手榴弾が投げ込まれた。
鬼化自衛官は戦車が爆発する寸前に木へ跳び移った。
「目標掃討完了」
「次の指示願います」
《下水道を通って役場の裏から出て、建物内の敵を殲滅しろ》
「了解しました。平良一尉」
鬼化した自衛官の赤い頬が動いた。
一方、公民館に陣取っていた【降下機甲猟兵大隊】の指揮官達は半ばパニックに陥っていた。
『どういう事だ!』
『まるで敵が捉えられない……!!』
『このまま多くの兵士を失って撤退……』
『閣下から兵士を預かるという事は、宝物を預かるのと同じ……!』
『少なく見積もっても、もう500人は殺されている!』
『何の成果も無しに損耗率8%はマズい……』
『何とか打開策を……!』
損害自体は許される。
しかし、成果なき損害は大隊では許されない。
そして、それ以上に彼等は狂信者であった。
『いや……全部隊で捜索し、網に掛ける!!』
『数はこちらの方が圧倒的に上!!』
『網に引っ掛かった所に全ての砲撃を集中する!!』
『『『異議なし!!』』』
『『『勝利を!!』』』
『『『総統閣下に勝利を!!』』』
兵士と指揮官達は一斉にローマ式敬礼を行う。
『『『ハイル・アーデルハイド!!!』』』
悪魔達の黒い軍隊が、闇夜に包まれた平取町へ溢れ出す。
『『『Sieg Heil(勝利万歳)!!!Sieg Heil(勝利万歳)!!!』』』
自衛隊側の指揮官、平良は渋い顔をしていた。
「敵は撤退する所か、逆に勢いを増している……」
「長期戦はこちらの不利だ」
「避難民の逃げる時間をどれだけ稼げるか……」
「正直……今までの敵とは違うよ、よーちゃん」
「敵は大悪魔の命令でやって来た、下級悪魔の群れ……」
「時間が経てば上級も必ずやって来る」
「闇に紛れ攪乱しながら、敵の攻撃中枢に奇襲を掛ける」
「暗視装置を使っていては、こちらの動きには付いて行けない」
「そうすれば敵を一時撤退に追い込める」
「正直、ヴェルミーナやクラリスってのが来たらおしまいだと思う」
「ははっ!とんでもない運ゲーになって来ちゃったよ!よーちゃん!」
平良は白髪の女性へ言う。
「……何故戦場まで来てしまったんだ」
「もうよーちゃんを独りにするのは嫌だから」
「ダメ??」
「……避難民の誘導が終わるまでだからな……」
「まだ悪魔共とは交渉の余地も僅かにだがある」
「もし今回の相手が【コンキスタ・カルテル】だったら……」
「ぅわ……ゾッとしないハナシ……」
「天使以上に視野狭窄な存在も居ないからね……」
「世の中善人だけで完結するワケないのに」
「特にあのアルマス姉妹はヤバいって……」
「【マグダレナのザドキエル】、そして【マニックエンジェル】……」
「首領のベルナルドが大人しく躾けているだけで、あの姉妹の本質はメキシコ時代の物と何ら変わってはいない」
「それに比べれば今回の相手はまだ容易い」
女性は腹を擦りながら、平良へ笑顔を向ける。
「だね!」
「私は警察の人と話して来るよ」
「……分かった」
「身体に気を付けろ、キリエ」
「うん!ありがとう!」
キリエが去って行くと、平良は刀を抜いた。
そして部下達に号令を掛ける。
「この土地は俺達の物だ!!」
「奴等を皆殺しにしてでも取り返すぞ!!」
彼の部下達は一斉に刀を掲げた。
~平取町上空~
一組の男女が、ブラックホークヘリから爆炎立ち上る町を見下ろしていた。
『自衛隊は想像以上に手強いわね、モーンケ』
『それにしたって……現地部隊の指揮官達は何をやっているのかしら』
『大隊の兵士達は対ゲリラ戦や、夜間戦闘の経験が少ない』
『加えて奇襲への対応も未熟……当然の結果だ』
『正面戦闘や会戦に重点を置き過ぎたのかも』
『何処かで訓練プログラムを改善しないと、兵士の無駄死には避けられないわ』
モーンケは金属音を立てながら、ヘリから身を乗り出す。
『無駄な死などない』
『全ては総統閣下による、理想郷(※)建設の為の犠牲だ』
『兵士達は犠牲を出しながらも着実に進歩し、練度を上げている』
女もブーツの音を立てながら、身を乗り出した。
紫色の髪が強風で靡く。
『じゃあ……犠牲を減らす為に協力しましょうか。風の強さも丁度良いし……』
『【ローゼン・フレグランス】二段階起動』
『《香水88番》』
芳しい香水の匂いが彼女の身体を起点として、街全体に広がって行く。
同時に、黒いアーマー着込んだ男はヘリから飛び降りる。
『【悪魔騎士バルバドス】二段階起動』
『《ナイトブレイド》』
黒い鎧が変形し、手足から黒いブレードが生えて行く。
彼が着地すると同時に周囲の建物は切り刻まれ、粉々に吹き飛んだ。
『好き勝手暴れ回るのもここまでだ、日本人』
直後、彼に向かって対戦車ミサイルが撃ち込まれる。
しかし──
『無意味だ』
真っ暗闇に関わらず、モーンケは一直線に移動し、射手の胴体を腕のブレードで貫いた。
潜んでいた自衛官達は一斉に【鬼人薬】を飲む。
彼等の皮膚が赤く変色し、牙と角が生え、皮膚が硬質化して筋肉が盛り上がって行く。
『(つくづく……人間とは救えない生き物だ)』
『(動物ですら無意味な争いはしないというのに、だ)』
モーンケは鬼化した自衛官達の側面からいきなり現れ、斬り掛かる。
彼の視界の端に牧場の敷地が映る。
『(ああ……あの牧場の草原が懐かしい……)』
彼のブレードが自衛隊員の心臓を貫く。
『自分はお前達と争わない』
『これから行われるのは一方的な《屠殺》だ』
言葉通り、彼は淡々と鬼化自衛官を斬り、貫いて行く。
それは家畜を処理するように機械的だった。
しかし、それは貨物用トラックが斬られる事で終わりを告げる。
『──指揮官か』
『如何にも』
『俺は平良』
『ナチは日本から離れて、ロシア人共とでも永遠に戦っていろ』
『断る』
『日本は既に我等の牧場だ』
『そうか──』
【なら対話の余地は無い!!】
【【妖刀悪鬼村雨】第三段階起動!!】
凄まじい剣圧がモーンケを襲う。
『──!!』
彼は両腕のブレードで剣を受け止めるが、凄まじい膂力で押し込まれ弾き飛ばされる。
彼は建物ごと吹き飛ばされたが、平良は上から跳んで来て、彼の心臓を刺し貫こうとした。
『くっ……!』
モーンケは必死で身体を動かし、追撃から逃れる。
元居た場所が粉々に吹き飛ぶ。
【リャアアアァァァッ!!!】
息つく間もなく、彼に向かって複数の斬撃が飛んでくる。
彼は斬撃をくぐり抜けながら、上に弾いた。
【隙有りだ、ナチの黒騎士】
『!!』
彼は、懐に入った平良に下から斬り上げられ、蹴り飛ばされる。
平良は刀に付いたモーンケの血を振り払う。
【今すぐ兵を引け】
【でないとお前だけでなく、全員を殺す】
モーンケは霞む意識を堪え、膝を付きながらフラフラと立ち上がろうとする。
しかし、またも斬撃が彼を襲い、斬られ地面に叩き付けられる。
それが幾度か繰り返され、彼の身体には深刻なダメージが刻まれ始めた。
『(まただ……)』
『(この世界は俺の努力と覚悟をいつもあざ笑う……)』
『(だが……!)』
彼は血だらけになりながら、息も絶え絶えに立ち上がる。
彼の脳裏に兵士時代の光景が甦って来る。
『(何時も俺は最下位だった……)』
『(それでも生きる為、生活と人生を取り戻す為……人より命と覚悟を捧げた……)』
『(そして何時しか俺は呼ばれていた。【精鋭】と……)』
彼は血を吐きながら微かに笑う。
『そう……この痛みと苦しみすら……』
『俺に取っては通過点に過ぎない……』
朦朧とする彼の視界に黒い羽が落ちて来て、舞い始める。
『……』
【随分と手酷く……】
【相変わらず不器用ね、バルバドス】
黒い羽の渦の中から、アーデルハイドに似た銀髪の女が現れる。
【それでも──】
【俺は耐えるしかありません──】
【耐えれば全てが戻ってくるとでも?】
【はい】
【俺は再び馬に乗り、牛の世話をし、羊の毛を刈るんです】
【そして愛犬と共に夕日を眺め、鶏の声で目を覚ましたい】
【それが俺の失った幸せであり、愛です】
【その幸せと愛を取り戻す為に、全てを私に捧げられる?】
【Yes, your majesty(はい。閣下の仰せのままに)】
【即答……それでこそ私の最も信頼する精鋭……】
【《明けの明星》の名において命じる】
【覚醒した力を以て、私の敵を撃滅なさい】
いつの間にか銀髪の女と黒い羽は消え、モーンケの視界には平良が映っていた。
※理想郷(アニマルランド牧場)
※1 https://miyagi.japan-sake.shop/?mode=cate&cbid=2953826&csid=1
平良が本当に凄い。
降下機甲猟兵大隊の大部隊相手に一歩も引かず渡り合ってる。
平良の部隊が450、大隊側が6000なので、マジで鬼を超えて修羅だ。
しかも相手は量産型とは言え、アイテムで武装してる。
鬼自衛官達の能力も極めて高い。
相手がトップランカー探索者でもなければ、普通に勝てるレベルの強さです。
お粗末な素人も含まれている今の大隊員では勝負にならない。
上位100人をメインで描写しているから分かりにくいけども、この人達は日本で最強の白兵戦力です。
経験値で言えば、マルファお姉さんの部下のロシア兵達とそう変わらないので。
夜襲と奇襲と山岳防衛は、旧帝国軍の流れを継ぐ自衛隊が最も得意とする所。
山岳と森林地帯の間にある狭い市街地や道路に誘い込まれた時点で、大隊側の敗北は決定していた。
平野が大半のウクライナではそこまで実力を発揮出来ませんでしたが、祖国では暴れ放題です。
恐ろしいのはキリエですね。
この人妊娠してるのに兵士達を叱咤しながら、前線を駆け回ってます。
武将の妻みてぇだな。
にしても、平良とレイやんのリーダーとしてのスタンスの違いも面白い。
前者の『この土地は俺達の物だ!殺して取り返すぞ!』に対し、後者は『白人共ブッ殺して憂さ晴らしや!』的なノリです。
前者と後者を足して、更にスパイス加えたのが上杉ちゃんですね。
現代サムライ達こっわ……
今回の戦闘で大隊側の死者は1000人を超えてしまった。
モーンケとアルグゥを向かわせなかったら、全滅してたかもしれない。
総統閣下の予知能力は神がかり的だ。
ただ、夜間に進軍をしてしまった現地指揮官は処罰を免れないと思う。
平良もモーンケも、失った物を取り戻す為に闘い続けています。
物の種類も大きさも違えど、その点が二人に共通している。
奪われっ放しだったのが、狩る側に回り始めているのも。
しっかし、何度かやっているけども……アイテムを使った戦争は本当にヤベェな……
最後のタガが外れてしまった感ある。
因みに最初に戦場でアイテムを使用したのはマルファお姉さんです。
余りの威力と被害に、味方側ですら引いてしまった。
ビジネスで一番最初に使ったのはラロシェル、政治関連で使ったのはアーデルハイドです。
筋トレやトレーニングで最初に使ったのは高っちゃんだぜ。
高っちゃんは人類の歴史を、ひたすらプラスの方向に変えている気がする。
本人が意識していないのがまた最高だ。
農業関連のパイオニアはユンユンです。
だが、彼女は余りにも進み過ぎてしまったし、それが原因で故郷すら追われてしまった。
彼女とラロシェルだけで、人類の文明レベルを200年は進めている。
両方とも技術や成果を秘匿したり小出しにしているけど、それで正解だ。
人工アイテムの最初の成功例と適合例はレナです。
その技術的成果が何かしらの形でアーデルハイド側に流出し、その技術の応用で大隊員の装備が大規模生産されています。ラロシェルが政府を使いこそすれ、頼らない理由が分かる。
ラロシェル側もクライヴやファルネーゼ達を使って工場を潰したりしていますが、工場に配備される部隊や装備が急速に増強されていたり、地下に建設されていたりと破壊ペースはかなり鈍化しています。
場所によっては核戦争用のシェルターを利用していたりして、アーデルハイド側には軍がかなり味方しています。
ラロシェル側に足りないのは兵隊の数です。
量より質を重視しているから仕方ないんだけども。
アーデルハイド側には次々と湧いて来る。
しかも多少アレでも、戦ってる内にドンドン強くなって来ている。
ラロシェルの技術レベルが圧倒するか、アーデルハイドの兵隊達が強くなるか、今はその鍔ぜり合いです。
今回の帯広・日高の侵攻、ラロシェルにとっても普通に良くない。
何故なら、アーデルハイドの兵隊達が経験値を持ち帰ってしまったから。
親衛隊とか特務部隊が出来始めると、戦力バランスとしてもう危ない気がする。
劣化ヴェルミーナみたいなのが大量に出始めたら、ラロシェルの勝ちが消える。
ヴェルチカはモーンケを、そいつらの指揮官にしようと考えているのかもしれない。
という事をラロシェルは見据え、アンドロイドの戦力化に乗り出しました。
既に無人機部隊やAI機甲・砲兵部隊は保有していますが、大規模な総力戦や地上戦も睨んで居ます。
戦闘アンドロイド部隊をレイやんみたいな指揮官達が指揮してくれれば、というのが彼の本音かもしれない。
レイやんもその辺りが理解出来ているので、試験部隊を預かる事にしました。
テスターとして大金をくれるのなら、やらない理由もない。
アンドロイド達もいずれ関西弁だらけになりそうだが、大丈夫か?
エリちは猛反対しましたが、キスで黙らされました。
必要とあらば毒も平然と吞み込める所が、レイやんの凄い所だとは思う。
つまり今回のお好み焼き屋接待は、指揮官採用プロセスの一環かもしれない。
イチカの方が得意そうだし喜びそうだけどな、そういうの。
プレッパーズフロントライン2!エクシリウム!
ドルフロの指揮官は敢えて都市を離れて荒野を彷徨ってるんで(この辺りの裏事情がマジでアレ。ロ連滅びろ)、家や拠点に籠りたがるイチカとはかなり行動が離れてる。
レイやんに関しては、戦術人形ほぼ全員と仲良く出来そうだ。
やはりラロシェルの人材適性を見抜く眼は、超一流と言わざるを得ない。
科学者や数学者として相当な業績を上げているんだけども、それ以上に企業家や投資家としての才能が図抜けてる。
戦争指導者としての才能は未知数ですが、コイツが本格的に軍事をやり始めたら歴史変えると思う。
数学や科学が強い人は基本的に軍事も強い。
ただ、コイツが人かどうかは怪しいし、倫理観ガン無視の作戦乱発しそうなんだよなぁ……
で、話は変わりますが……
世情ヤバすぎだろ。
ダンジョンが無い分、ある意味この作品の世界よりヤベェぞ、現実……
幹部自衛官が中国大使館へ乗り込んでいくとか、多分平良でもやらない。
上杉ちゃんやおかりんならやる。日本の夜明け&破滅ぜよ!
中東での戦争もナフサだけでなく、窒素肥料とかも止まってる部分あるので、一部の国では普通に食糧危機起きると思う。
トラクターや農機動かすのにも燃料必要だし、今年の前半は大丈夫でも後半に危機が顕在化するかと。
その一部に日本が含まれるかどうかは、アメリカの機嫌次第というお始末。
グローバル自由貿易の幻想は終了したな、という感じもする。
次いでに言うとナフサを使ったゴム製品系は壊滅するので、工場も各地で操業停止へ追い込まれます。
つまり、生活必需品もなくなる、という事です。
メンテも無理だぞ。配管のパッキンとか色んな場所に使われてるからな。
予備部品が尽きて故障したら、そこで操業終了です。
今年の夏ぐらいにはロシアへ頭下げてる可能性すらある。
最初から迂闊に敵対するような真似すんなよ、って感じだが。
その場の短期的な利害に飛びついたり感情的な行動を積み重ねると、いわゆる『詰み』の状態が待つ事は学べたから良いんじゃないかな(学ばない・学べないのも未だ沢山いる)。
自分はかなり準備や備蓄をして来たので『遂に来たか』、という感じです。
どの位の犠牲が出るかは分からないけど、正直自分の知ったこっちゃない。
その手の事態が来なかったのなら、それはそれで良い。
これはもう、作品を書き始める前からの一貫したスタンスです。
【今ある当たり前は、当たり前じゃない】、というのも作品のテーマの一つです。
当たり前は当たり前にコスト掛かってんだ。
以上お気持ち終わり。
作品もある意味原点回帰して来たのは、歓迎すべきか……?
レイやんとラロシェルみたいにイチカ以外が乱世や終末に備えて自分達の拠点を造る、というのは『プレッパーズ』という言葉に更なる意味を持たせてくれた気がする。
更に二人ともスケールがデカくて良い。
特に後者のは宇宙都市なので、フリスちゃん様の悪意が存分に試される。
ラロシェルは過去最強レベルに手強いので、嫌がらせもかなりのものになる。
そう考えると、不思議とコイツを応援したくなった。
コイツの人類愛は嘘じゃない。手段を選ばないだけだ。
ラロシェルは神から人間の手に世界を取り戻そうとしている。
ヤバいなー……
ラロシェルが好きになり始めている。
それ以上のスピードでレイやんを好きになってるけども。
やっぱりナスターシャは本当に手ごわい。
ラロシェルの眼を誤魔化せるのは、本当にアップグレード版イチカだ。
そりゃマルファお姉さんも溺愛しちゃうよ。
次回、仕込まれていた総統閣下の愛が炸裂します。
長くなってすまない。
今回の後書きはこれで終わりだ。
「面白かった」「次も期待している」「是非も無し」
「レイやんマジでイケメン過ぎだろ」「ラロシェルの意外な一面が見れた」
「レイやんとラロシェル、互いを好敵手と認め合ってるの好き」「葵ちゃん楽しそう」
「お好み焼き屋で愛と人間を語るラロシェルおもしれ……」「愛……」
「ラロシェルの計算や試算も大分狂わされてそう」「レイやんはイチカ博士だな(棒)」
「相当気持ち悪いって!」「ラロシェルに気付くの凄い」「ラ ロ 君」
「葵ちゃんは本当に人生楽しそうだな……」「ヤストレブイケメンなのか」
「プレッパーズフロントライン始まった」
「お口キスチャックは反則だろ!」「もうエリち落ちたな(確信)」
「鬼化自衛官達強すぎ」「ハイル・アーデルハイド!!」「Sieg Heil(勝利万歳)!!」
「やめろって!」「平良おひさ」「夫婦で戦場に来ているのか」「あの姉妹ヤバそう」
「理想郷」「バルバドスって響きがカッコ良い」「平良がマジで強い」
「何時も辛い目に遭ってるな、モーンケ」「失った物がデカ過ぎる」「明けの明星……!?」
「突然炸裂させるな」
と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。
宜しくお願い致します。




