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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第三部:駆け抜けろ 燃え尽きたろか シンデレラ

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151/153

ウェイクアップ・乱・魔王レイカ(後編)

この世の全ての人間はな……

生きるも死ぬも、私次第やわ。


鑑賞用BGM(原点階から):https://www.youtube.com/watch?v=9GCjRXUICac

鑑賞用BGM(帯広市から):https://www.youtube.com/watch?v=Mr86_f-kLSQ&list=RDtST3T1Tnka8&index=24


~ニューヨーク地下鉄8番出口ダンジョン~

~原点階~


【全てを吹き飛ばす!!パワー!!】


高っちゃんは時間を稼ぐ為、ディルレヴァンガーの毒ガスで出来た体に突っ込んで行く。


【──学習能力が無いわね、ビルダー】

【トレーニングばかりしてるのではなくて、少しは勉強したら?】


急速に増えた毒ガスが集まり、高っちゃんを掴んで持ち上げて行く。

そして彼は上下左右に叩き付けられる。


【《コリンエステラーゼ・シャッフル》】


高っちゃんの筋肉が弛緩し、身動きとガードが取れなくなる。

レイカは彼の援護に向かう。


【──マズい!!神経ガスや!!】

【高っちゃんの筋肉をマヒさせたな……!!】

【(……最悪の相性や……!!)】


高っちゃんが気絶すると同時に、彼女へ毒ガスの触手が次々と襲い掛かる。


【勉強しない、授業を聞かない生徒には仕置きをする】

【何故これが許されないのかしらね】


【ハ!!】

【それはオマエの話がつまらんからやろ!!】


【──!!】


レイカは毒ガスの触手を斬りながら言う。


【ガキは面白いハナシしか聞かんのや!!】

【詰まらんハナシばかり聞いてるガキの方が異常やわ!!】


【……ッ!!】

【そういう貴方は……!!】


【私、ガキが嫌いやねん】

【私を愛さんからや】


【!?!】


彼女は間一髪で攻撃を躱しながら、触手を斬り抜ける。


【ああ、言い方を間違えたわ】

【この世界は、私が愛されてればええんや】

【ほんで、誰を愛すかは私が決める……】


【可哀想な病人ね】

【過去に恋愛絡みで失敗して、そのトラウマで頭が……】


直後、ディルレヴァンガーの喉元を【加具土命】の切っ先が貫いた。

喉に穴が空き、向こう側の景色が見えて行く。


【オマエは殺す】

【絶対に殺す】

【楽には死なさん】


はい。

最大の地雷を踏んでしまいました。


【葵ィ!!!】

【まだか!!!】

【もうコイツを殺したくてしょうがないわ!!!】


レイカの怒号に、葵は大量の汗を搔きながら返答する。


「あ、あとちょっとだから……!!」

【【陰陽遊戯】三段階起動!!】

【《陰月女夜》!!】


青い光がレイカ達を囲み、淡く光り始めた。

レイカの狂気的な高笑いが響く。


【ファーッハッハッハッハッハッ!!】

【カーッハッハッハッ!!】


【加具土命】の斬撃が、ディルレヴァンガーの右手首を斬り飛ばした。

ガスが蒸発し、彼女の手首から血が噴き出る。


【な、これは……!?】


【無敵タイムは終わりや素人女教師……】

【待ちに待った処刑ショーの始まりや!!】


彼女の脇腹が斬られ、同時に太股とふくらはぎが斬られる。

彼女は毒ガス化して逃げようとするが、クエイドの放った弾が左足首を吹き飛ばし、転倒する。


【トーデス、今すぐ逃げ……!!】


【余計なコト喋るなダホ】


レイカは彼女の頭を踏みつけ、肩甲骨に刀を刺した。


【アグゥゥ……!】


【どや?焼け付く様に痛いやろ、白人様】

【火傷ってのはホンマに辛くて苦しいモンやで……】


ディルレヴァンガーは横目で、レイカの顔に刻まれた痛ましい火傷痕を見てしまった。

そして、レイカは彼女へ微笑み掛ける。


【地獄まで味おうて行くか?】

【私の痛みを】


レイカは刀を更に深く刺し、肩甲骨に沿ってディルレヴァンガーの身体をゆっくりと裂いて行く。


【好きだった男にレイプされた後、目の前でオヤジを殺され、死ぬ程殴られ蹴られ、縛られて火に炙られた……】

【それに比べれば……こんなの大したコトないやろ?ん?違うか?】


【ア"ア"ア"ア"ア"ァァア”ア”ァ……!!】


ディルレヴァンガーは悲鳴にもならぬ呻き声を上げ、藻掻く。


【動くんやない!!】

【殺せんやろうがぁ!!!】


浄化(・・)された【加具土命】の刃が、白い煙を立てながらディルレヴァンガーの背中を裂き終わる。

レイカは、腰を抜かして恐怖に震えるトーデスに向かって叫ぶ。


【死ぬ前に良く見とけガキ!!】

【このダンジョンという空間では力が全てや!!】

【どんなに高尚な人間だろうが、ハラワタを裂けば仕舞いやわ!!】

【ましてや死体で遊び、毒ガスで弱い者イジメして来たオマエらなんかに……】


彼女の顔の火傷痕から、火が激しく噴き出す。


【ロクな死に方出来るワケあらへんやろうが!!!】

【世の中舐めてんやないぞ!!コルルァァ!!!】


彼女は刀を振り抜き、ディルレヴァンガーは血を吐いた。

レイカは甲高い笑い声を階層全体に響かせる。


【アハハハッ!!カハッ!ファーハハハハハハッ!!】

【親玉討ち取ってやったわ!!!】


彼女の放つ攻撃的な勝利の笑い声と炎に、未だ戦っていた隊員達は動きを止めた。

動揺が彼等に広がって行く。

そして、隊員の一人がレイカへ向かって言う。


『わっ、我々は……降伏する……!!』


ミレイアは思わず右腕を上げ、叫ぶ。


『や、やりましたよ!!皆さん!!』

『私達の勝利です!!』


レイカは喜ぶミレイアの肩を叩き、クエイドの方を見ながら言う。


【──これは勝利か?元デルタの兄ちゃん】


『──いや、違う』

『勝利とは徹底的(・・・)だ』


返事代わりに、降伏を申し出た隊員の頭が【M82ニヌルタライフル】の弾で吹き飛ばされる。


【やっぱ分かっとるなぁ~~歴戦の精鋭は……】

【コイツ等は生かしておいたら、隙を見て私らの背後を襲いに来るわ】

【間違いなく、な】


ミレイアは慌ててレイカへ詰め寄る。


『ちょっ、ちょっと!レイカさん!!』

『一体これは……』


根切り(・・・)や】

【コイツ等は皆殺しにする】

【というか、最初に言うたやろ】

【最も……】


レイカは薄い唇を曲げ、隊員達へ微笑みかけながら言う。


【オマエ等が自分で腹を切れば、ハナシは別やけどな】

【今まで散々コロシを楽しんで来たやろが】

【今度はオマエ等が殺される番や。助かろうなんて甘いわ】

【私、筋が通らん事は嫌いやねん】


アメリカ人達よ、これがジャパニーズ女サムライだ。

命より筋の方が大切なんだぜ。

レイカはケタケタ笑い、戦意を失った隊員達と一瞬で距離を詰める。


【そもそも、お前達を捕虜にしておく手間と金が無駄やわ】


言葉共に隊員達はバラバラにされていく。

銃を構え直した隊員達は、クエイドの弾に次々と撃ち抜かれる。

ミレイアが立ち竦んでいた、その一瞬だった。


『(これが……ダンジョンでの生存競争……)』

『(まるで……戦争……それも容赦の無い……!)』


そして血塗れの刀を引っ提げ、レイカはトーデスの前に立つ。

血が膨大な熱で蒸発して行く。


【ここはガキの好奇心で突っ込んだらアカン場所やねん】

【道具として売り飛ばされず、介錯されるだけ有難く思えや】

【大大大温情やで】


『わ、わたし……もうたたかわない……!』

『だから……』


直後、レイカのつま先蹴りがトーデスの鳩尾に命中し、壁まで蹴り飛ばされる。


【ホンッッマ何処までも腹の立つガキやで】

【こっちの命を何度も狙って来たクセに、一丁前に命乞いしよるわ】


『ぅあぁぁ……』


トーデスは吐瀉物と胃液を吐きながらうずくまる。

レイカは刀を揺らしながら、彼女へ一歩ずつ近づいて行く。

トーデスの涙塗れの瞳とミレイアの澄んだ瞳が、一瞬交錯する。


『た、たっ……たす……たす……けて……!』


彼女がトーデスまで後2メートルの距離まで来た時、ミレイアが二人の間に飛び込み、割り込んだ。


【……何のマネや、ミレイア】

【そこにオマエが居ったら、そのガキ斬れんやんけ】


『ここまでです!!レイカさん……!!』

『この子は()なんです!あの時、路地裏で殺されかけていた……』


レイカはミレイアの胸ぐらを掴み、顔を近づけて凄む。

彼女の小豆色の瞳は狂熱の炎に燃えていた。


【オマエとソイツは違う】

【ここで見逃したら、コイツは確実に私らの(タマ)取りに来るわ】


『でも、でも……!!』

『戦意の無い、無抵抗になった子供を殺す権利は貴女にもありません……!!』

『この子には更生の余地があります……!』


レイカは犬歯を剥き出しにして甲高い笑い声を上げた後、ミレイアの耳に唇を近づけて囁く。


【この世の全ての人間はな……】

【生きるも死ぬも、私次第やわ】

【ソイツは私が殺すと決めたから、殺す】


『(暴君(タイラント)……)』


【無論オマエとて例外では無いで、ミレイア】


だが、ミレイアは毅然と反論する。


『──私の生殺与奪を握っているのはアルマス様です!』

『貴女があの方より強いというのなら、その言葉に従います!』


【ほ~~ぅ……私を逆に脅すとは良い度胸や】

【オマエ、あの石頭の嫉妬女より私が弱いと思うとんのか……ま、ええわ】

【ならそのガキの命、オマエに預けたる】


『──!!』


【けどな、そのガキがシャレにならん問題を起こした時……】


ミレイアは喉を鳴らし、息を飲む。


【オマエが腹切って、ここに居る全員に詫びろや】

【それとな……】


レイカはポケットからスニッカーズを取り出し、地面に放り投げ、刀の先で差した。

そして、ミレイアの前に刺さったスニッカーズを差し出す。


【これ、食えや】


『こ、これは……』


【そのガキの面倒と後先看る覚悟決めとんのやろ??】

【なら食えるやろコレくらい】


ミレイアは恐る恐るスニッカーズを口で挟む。


【噛め】


『……!』


彼女は刃が当たらないよう、慎重にゆっくり噛んでスニッカーズを引き抜いて行く。

なんとレイカは刀を捻り始めた。

あっという間にスニッカーズはバラバラになり、回転する刃が彼女の口内と唇を傷つける。


【美味いか!?】

【どうなんや!ええ!?】


ミレイアは口元を血塗れにしながら、涙目で頷く。

レイカは満面の笑顔になり、刀を抜き捨て、彼女に抱き着いた。

そして、血塗れになった彼女の唇にまぶりつく。


【どんだけカワエエ奴なんや、オマエは~~!!】

【痛かったやろ!?えぇ~~!】


更にレイカはミレイアの頭を撫で回した。

彼女の大きく開いた口と白い歯は、ミレイアの血で真っ赤になっていた。

狂気的なレイカの度を超えた行動に、歴戦のクエイドすら身を硬直させた。


『……!!』


未だ荒い呼吸をしながら、横たわっていたエスティアが言う。


『これが……あの女サムライの本質だ』

『その人間を深く愛せば愛す程に、相手を傷つけずには居られない……』

『そして、自分も同じだけ傷つきたがる……』

『どうして……そうなったかは分からないが……』


『あの少女ですらアレなら……』


『ケンザキの想い人がどんな事になるか……』

『想像もしたくないな……』

『……私は半ば嫌われていて良かったよ』


『(ケンザキとプライベートで行動を共にするのは危険だ……)』

『(命を預けるには値するリーダーだが、友人として付き合うべきではない)』

『(彼女は……Devil King(魔王)だ……)』

『(そして……)』


クエイドはベンチに横たわる葵に目線を向けた。

葵は気を失ったまま、微かに微笑んでいた。



~ニューヨーク市内のカフェ~


【(……これは想像以上であると同時に、予想外です)】

【(私の仕事には付き物ではありますが……)】


ラロシェルはコーヒーを飲み、タブレットを置く。


【(彼女の才気と狂気は、私の配下達に勝るとも劣らない……)】

【(極めて異質な才能の輝きが視えます)】

【(彼女はこの乱れた時代に求められ、世に出て来た……)】


彼の視界にニューヨークの街並みが、燃え盛る廃墟都市のイメージとなって飛び込んで来た。

彼は再度視線を外の通りに向けたが、何時も通りのニューヨークだった。


【──これは私も覚悟を決めなければなりませんか】

【しかし、それでこそ生と進歩を実感出来る……】

【貴重な機会を与えてくれた貴女に改めて感謝を、ケンザキ氏】


彼は穏やかな笑顔を隠すように、四ツ目の仮面を被った。



~帯広市~


戦車と装甲車両の列が両側の道路を占拠し、街並みを行進して行く。

車両の脇を完全武装した黒づくめの兵隊達が、住民達を威圧しながら歩いていた。


『アレがリバティー』

『ユートピアのパロディ~』

『頼みのSSRI、さて流行のテラスでハイホー』


車列の先頭ではスレンダーな銀髪の女が砲塔に腰掛けながら、歌を口ずさんでいた。

その声は澄み渡り、聞く者の脳随まで揺さぶりそうなリズムと甘さがあった。


『良い街じゃない』

『素朴だけれど、NYやDCより遙かに空気が良いわ』

『ミーナはどう思う?』


赤いバイクに乗った赤髪の女は、ゴーグルを上げて答える。


『……何処かで感じた雰囲気がした……』

『気のせいか?』


銀髪の女は帯広市を両断する、地平線まで走る大きな亀裂を指差して言う。


『あの亀裂から?』


『……かもな』

『ダンジョンみたいだが、【アレには近づくな】って私の勘が言ってやがる』


そこへヴェルチカから通信が入る。


《ミーナの勘は正しいかと、アーデルハイド様》

《その亀裂周辺では、マルファ率いるロシア軍とコンキスタカルテルとの大規模な戦闘がありました》

《何を巡って争ったか、現在情報を在日米軍司令部と連携して解析中です》


『ふ~~ん……』

『なら、それが分かってからで良いかも』

『ヴェルチカ。その映像後で私にも送ってくれる?』


《承知しました!》

《直ちに!》


通信が切れ、アーデルハイドは自分を睨み付けてくる住民達へ目線を向ける。


『(……)』


そして、後ろへ振り返って言う。


『モーンケ』

『日高方面へ援軍に行ってくれるかしら』

『今夜、高い確率で夜襲があるわ』


風景が歪み、蜃気楼の中から黒い甲冑を着た男が出て来る。


『──鬼ですか』


『ええ、鬼の集団よ』

『率いているのは鬼の中の鬼』

『他に誰か連れて行く?』


『アルグゥを連れて行きたく』


すかさず赤い髪の女がツインテールの女と肩を組み、男の発言へ茶々を入れる。


『なんだよー』

『私達じゃねぇのかよ』


『過剰戦力だ』

『鬼を仕留めるに、核ミサイルは必要無い』

『彼女は一番相性が良いと見ている』


『そうか』

『なら好きにしな』

『アップルパイ焼いて待ってるぜ』


ツインテールの女が赤髪の女に掴みかかる。


『そっ、そんなの私にも焼いてくれた事ないのにぃ~~!!』

『バカミーナぁ~~!!』


『ならお前にはパンケーキ焼いてやるよ、クラリス』

『あとベーコンと卵もな』


『パッ……!!ベッ……!!タマッ……!!』

『そっ、それならしょうがないわねぇ~~(にへにへ)』

『ほ、ホンッット~に不本意だけれど、それで許してあげるわ!(にへにへ)』


モーンケは踵を返す。


『そろそろ行っても宜しいでしょうか?アーデルハイド様』


彼女は後ろの車両にふわりと跳び移り、彼の頬に触れて言う。


【生きて帰りなさい】

【まだ貴方には仕事があるわぁ】


『──生きて帰って来い、と言われたのは閣下が初めてです』

『では』


彼は面を下ろし、蜃気楼と共に姿を消して行く。

アーデルハイドは二人に向かって言う。


【彼、生きて帰って来れると思う?】

【一応暗示は掛けたけれど】


ヴェルミーナはゴーグルを着け直して答える。


『アイツも元ベレーだぜ?』

『その程度の地獄は、毎度の様に乗り越えて来ているハズだろ』


『……アイツ、自分のコトを余り喋りたがらないのよね』

『動物好きなのは分かってるけど』


彼女はクラリスの言葉に驚いて、背後へ振り向く。


『マジなのか!?ソレ!!』

『し、知らなかったぞ……!!』


『ウチの幹部で知らないの、アンタだけよ……バカミーナ……』

『【ツェッペリン】にあるアイツの個室、拾って来た犬猫で溢れ始めてるわ』

『このままだと牛や羊まで持って帰って来そうな勢いだから、私注意したのよ』


彼女は絆創膏が巻かれたクラリスの指を見て、口角を吊り上げる。


『……そして指を思い切り噛まれた、と』

『クラリスちゃんはズイブンと動物に嫌われてるなぁ~~オイ~~(ニヤニヤ)』


『なっ……!!』

『これはアイツの部屋にエサや……違う違う!清掃……そう!清掃に……!』


『はいはい』

『優しい優しいクラリスちゃんは可愛い犬猫の為に、エサと水を持って行った、と』

『で、ご丁寧に寝床の掃除までしてあげたワケだ』


周りの隊員達からドッと笑いが沸き上がり、アーデルハイドもクスクスと笑う。


『こっ、こっ、こっ、こっ、こんのっ……!!』

『むきいぃぃ~~~!!』


顔と耳を真っ赤にしたクラリスは、後ろからヴェルミーナの首を絞める。


『ぉわっ!!?何しやがる!!』

『やべぇ!!ハ、ハンドルが……!!』


二人の乗ったバイクは無事、信号機へ突っ込んだ。



完全に魔王兼暴君だぜ、コレ。

結構なるの早かったな。

元々裏社会の人だからさもありなん。

地雷を踏まれて、メチャクチャキレてたのもある。


彼女は子供を持ってはいけない人ですね。多分。

愛されるのは自分だけで良いし、愛すのも自分だけで良い。

そもそも持とうとしない人ですが。

ジュビアさんの事を『石頭の嫉妬女』と呼んでいる辺り、ベルトランを略奪しようという考えも見える。

ただ、ベルトランは奪われる様な男じゃないんだよなー……


……違うかもしれない。

レイやんはベルトランから、ジュビアさんを略奪しようとしている。

行動原理から考えたら、それが本当の目的か……?


アイカの次くらいにレイやんと殺し合いしまくりそうだし……

うっかり粛清に走ろうものなら、レイやんの思うツボかも。

もしそれなら作中一のレズハーレム魔王だよ、レイやんは。


ラロシェルを引かせたのは、レイカが初めてだ。

こんなんが制御出来ると、本当に思って居やがんのか……?

多分、どっかで間違ったかな……とは思っていそうではある。


実験や開発に軌道修正や試行錯誤は付き物だから、こういうイレギュラーな事態には慣れてるとは思う。

問題はどういった軌道修正をしてくるか、という事かと。

ラロシェルはこの修正サイクルがとんでもなく速い。

会議で議事録取りながら司会進行して、同時に修正案出して来るようなヤツなので。

パーティーもスゲェ事になりそうだぜ。


さて、このレイやんの愛。

イチカに一番大きく向いちゃってるかもしれねぇ。

ヤベェ~~助けてくれアイカ。


というか、アイカが自身がレイやんにかなり愛されちゃってます。

部分的にはイチカよりも。

好きな時に傷つけ合いに応じてくれるなんて、レイやんからしたら最高の親友だよ。

無論、アイカは警戒しています。


ハルカとは全くケンカにならないんだよな、レイやん。

ハルカはレイやんの一番脆弱な部分を、ガッツリ掌握してるからだとは思う。

やっぱ怖いわこのタヌキ……


レイやんとハルカどっちが怖いか、って言ったら断然後者だと思ってます。

ハルカは人の心の弱い部分を支配するのが上手すぎるねん。

アーデルハイドですら普通に絆されかけてるし、アスタルトとセムヤザの仮面経由でラロシェルと不可侵条約結んでたりするからな……

ベルナルドの外交面はハルカによって救われるかもしれない。


そろそろまた出てきますが、彼女の支配力が如実に描写されるかもです。

あのフリスちゃん様が真っ先に殺しに行くのは、それだけの理由がある。

あの4人組だけで遊んでいた時が、世界にとって一番平穏だったかもしれない。


クエイドの判断とエスティアの分析が、一字一句正解過ぎて何も言えねえ。

あのヘイリーが信用した二人だから、その辺りは流石だ。

こんなのをリヴァに単独で近づけたら、何が起きるか分からん。

ただ、エスティアに関してはもう手遅れっぽい感じがする。

葵はキスされちゃってるので、レイやんの引力から逃げられなくなるかも。


そう考えて行くと袋小路に居るな、エリちは。

頼れるのがこのメンヘラ魔王、って時点でかなりルナティックモードだ。

普段なら間違えないけども、今の弱っているエリちなら距離感間違ってしまうかもしれない。

しかし、今のレイやんはキレッキレなので、きっと桶狭間並みの逆転満塁ホームランをキメてくれるでしょう。


ただ、その対価が予測不可能だ。

レイやんとの付き合い方を間違えると、エリちは命よりも大切な物を差し出すハメになる。

正直な所、堕天使の策略と圧力に屈するか、魔王の庇護下に入るしか選択肢が無くなって来た。

彼女が自分の魂を怪物達から護り切れるか、それも見ていて頂ければ。


そしてアーデルハイドの方ですが……

ナチと言えば行進ですね。

見通しの良い通りで行進の訓練がやりたいから帯広までの土地を占領した、と言っても過言じゃない。

これは予行演習です。

彼女達はこれを戦勝パレードという形で、NYやワシントンでやりたいと思っている。


アーデルハイド達はパレードの歌詞で言う、『異臭を放ち来て、影を喰い始めた存在』なんです。


高層のメガ神殿で狂ったような額の富を動かし、資本の雨を降らし続けるラロシェル、皆の自由と豊かさを目指し、ユートピアのパロディを作ろうとしているベルナルド、世間からしたらどうでも良い、マイナーな事で鬱に悩まされ続けるイチカ、廉価なバラ色の気分に浸るハルカ……

敢えて省みないヤストレブ、流行のテラスでハイホーするレイやん、ワイヤーで首を吊ろうとしているマルファお姉さん、廃人で売人のマルティーニ、欠落した道理を信じている平良、轟音のMCの上杉ちゃん、頼みのSSRI(抗鬱薬)は四十万、メカニカルに殺しに来るジュビア、血や肉の通りを歩いているアイカ……


アーデルハイドはその全員を敵に回し、破壊しに来ています。

恐怖のパレードと狂気のパレードは言うまでもありません。

彼女は現代人の弱さと醜さから生まれた存在、だと思っている。

そして、廉価な未来を否定している。


この帯広パレードはアーデルハイドの、ある種の意思表明でもあると思う。

『アナタ達の世界を全てグチャグチャにして、壊してやるわぁ』という。

それで救われる人間も居そうな所が、最早救えない状況を際立たせている。


この世界にDCミニを放ったらとんでもない事になりそうだ。

というか、アーデルハイド自体がそのDCミニの上位版なんだけども。

彼女は他人の夢にも介入して、自分の悪夢を見せる事が出来ます。

勿論、スケベな夢も。


ダンジョンと世界を覆う狂気と欲望は日々加速している。

一体誰がこれを止められるのだろうか。

止める、と言う発想自体が間違っているのかもしれない。

その辺りはフリスちゃん様が、一定の回答を用意してくれてはいます。

そうだよな?な??


で、予告していた某戦友ヤストレブの戦闘実績・経歴です。


特別軍事作戦(ロシア=ウクライナ戦争)>>


出撃回数:8000回以上(病院脱け出し時の出撃は数に含めていない)

作戦成功率:74%

目標破壊数:12795

撃墜数:38機

被撃墜数:4回

戦闘員殺害数:146000人以上

非戦闘員殺害数:453000人以上


対NATO紛争(継続中) >>


出撃回数:3200回以上(同上)

作戦成功率:83.7%

目標破壊数:2970

撃墜数:41機

被撃墜数:1回

戦闘員殺害数:56000人以上

非戦闘員殺害数:26800人以上


サハラ紛争 >>


出撃回数:439回

作戦成功率:91.4%

目標破壊数:547

撃墜数:8機

被撃墜数:0回

戦闘員殺害数:14000人以上

非戦闘員殺害数:2400人以上


シリア派遣(空爆任務のみ) >>


出撃回数:150回以上

作戦成功率:92.8%

目標破壊数:218

撃墜数:0機

被撃墜数:0回

戦闘員殺害数:7000人以上

非戦闘員殺害数:6800人以上


イラン防空戦(防空・スクランブル戦力として派遣) >>


出撃回数:490回以上

作戦成功率:──%

目標破壊数:──

撃墜数:61機

被撃墜数:0回

戦闘員殺害数:170人以上

非戦闘員殺害数:──


モルドヴァ併合作戦 >>


出撃回数:85回

作戦成功率:94.7%

目標破壊数:76

撃墜数:14機

被撃墜数:0回

戦闘員殺害数:2500人以上

非戦闘員殺害数:50000人以上


ヴォストーク作戦(凍結中) >>


出撃回数:3回

作戦成功率:0%

目標破壊数:0

撃墜数:0機

被撃墜数:3回

戦闘員殺害数:0

非戦闘員殺害数:0


最後のヴォストーク作戦に関しては、もう相手が異常なのばかりだから仕方ない。

クレイエル、高っちゃん、ヨハンお兄ちゃんが相手だぜ。

生きて戦い続けているだけでも凄い。


そして、巻き添えで民間人殺しまくってます。

モルドヴァはヤストレブ単独の攻撃により指揮系統が崩壊し、地上軍の本格的な侵攻の前に降伏しました。

中小国に対しては、彼の存在をチラつかせれば事足りるようになっています。


そして、彼の勇名と武名を確固たる物にしたのが、当時西側最高のエースパイロットだったクレイエルとの数度に渡るドッグファイトです。

この戦いはドニプロ市の上空で繰り広げられ、民間人も軍人も全てが目撃していました。

無論、レナもクリチカも、マルファ、ルヴィアンカ、ヴィットマンも見ています。


ラーチン大統領に『何が欲しいか?』と聞かれた時に、彼は『次の闘い』と答えました。

普通は多額の年金や大金だったり、時計や宝飾品や車だったり、地位や名誉だったりするものですが……

この答えを放つ時点で、もう常人からは掛け離れている。


それだけ、クレイエルとの闘いが彼の脳を焦がしてしまったのかもしれない。

クレイエルはもう責任取って仕留めてやれよ。


次回か次々回、歴戦の鬼達が夜闇に紛れ、ナチの兵隊達に襲い掛かります。

多分、初っ端から容赦無い。

アメリカの方でもラロシェルが爽やかな超イケメン顔で、イキイキと演説をぶちまけるかもです。

他人が苦しむ程、ラロシェルが笑顔になって行くシステムが出来上がっている。

ただ、彼が笑えるのは乱世のシンデレラ魔王と面会するまでかもしれません。



こっ、今回の後書きはこれで終わりよ!!


「面白かった」「次も期待している」「レイやんが怖すぎ」

「葵がMVPすぎる……」「高っちゃんがやられるの久しぶりだな」「完全に魔王だよコレ!」「案外合理的な事言ってるな、レイやん」「でも非情すぎる」「クエイドの仕事人ぶり好き」

「温情(斬首)」「ミレイア、青いけど好き」「度胸メチャクチャあるな、この子……」

「今回のレイやん、色んな意味でキレすぎだろ」「(絶句)」「こんなキスシーン見た事ない」

「エスティア無事で良かった」「クエイドは毎回正解を引いて行くな……」

「ラロシェルすら少し引いてて草」「責任取れよこの仮面野郎」

「アーデルハイドの歌声って脳溶けそうな感じする」「鬼vs悪魔とかこれまた世紀末すぎ」

「悪魔姉妹かわいいな」「動物好きにも程があるだろ!」「パッ……!!ベッ……!!タマッ……!!」

「バカミーナすぎる……」「優しい優しいクラリスちゃん」「信号機さん容赦ないな」

「某戦友の戦果がもうファンタジーだろ」「国とか英雄の枠なんか超えてるよコイツは……」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

宜しくお願い致します。



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