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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第三部:駆け抜けろ 燃え尽きたろか シンデレラ

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149/154

ウェイクアップ・乱・魔王レイカ(前編)

ようお二人さん達

早い再会やったな


鑑賞用BGM:https://www.youtube.com/watch?v=xpAg0spgFJA&list=RDMM&index=9



~ニューヨーク地下鉄8番出口ダンジョン~

~-√2階~


レイカはゾンビを刀で刺し、燃やしながら言う。


『コイツら、火に弱すぎへんか??』

『直ぐ灰になるし』


『……だな』

『人間の死体を使っているのなら、もう少し強度がありそうだが』


葵は灰を手に取って、吹きながら言う。


「もしかして……アイテムで作られているからかも」

「実体より概念が強く影響しちゃってる的な?」

「だから、そのまんまの死体より火に対する耐性が弱いのかなぁ」

「いやぁ、単なる憶測だけどね??」


「……それは合ってるかもしれへんで、葵」

「もしかしたら、浄化にも弱いかもしれへん」


「……まさかぁ……」

「うーん、でもあり得るかも……」


ミレイアは周りの風景を観察し始める。


「……あと、段々とオフィスとか地下商店街とか、綺麗な場所が増え始めている様な……」


「……このダンジョンの正体、案外悪いモンでも無いかもな」

「ワイら、やはりゴールへ近づいているな!」


「報酬が楽しみ!!ヤー!!」


エスティアは爪をヤスリで研ぎながら言う。


『全く……』

『敵が居なくなったワケじゃないぞ、お前達……』

『あの毒ガス博士と、顔色の悪いガキはまだ見つかって無いんだからな』


クエイドはハンドガンの弾倉を交換する。


『……既に【降下機甲猟兵大隊】の幹部共にはこの事態が伝わっているハズだ』

『時間を掛ければ掛けるだけ、こちらが不利になる』

『ナイトストーカーズ(※1)出身のアイテム使いが来たら、確実に犠牲が出る』


『クエイド。気になってたんやが……』

『軍の元特殊部隊員や兵士達も、連中の中にかなり居るんか?』

『所々、明らかに素人じゃないのが居ったし……』


『元だけではなく、現役の軍人達も派遣されていると見て良い』

『【降下機甲猟兵大隊】は軍内のタカ派や、退役軍人達と深く結びついている』

『隊員達の質は常に底上げされているだろう』

『彼等独自の特殊部隊が出来上がるのも時間の問題だ』


『大丈夫か、エリち……』

『こんなの米軍を敵に回しているようなモンやんけ』

『てか、ラロシェルってインテリ兄ちゃん……良く生きとるな』


レイカはタバコに火を点け、吹かす。

エスティアは手で煙を避けながら言う。


『ヤツは私設軍隊と強力なアイテムを持ってるからな』

『しかも……何処の誰がその兵隊か分からないんだ』

『それに諜報機関とメディアは完全にヤツの支配下だ』


『……まるでレーニンみたいなやっちゃな』

『んで、ライバルは女ヒトラーか……』

『アメリカマジでヤバすぎへんか??』


『『それはそう思う』』


レイカは刀を仕舞いながら言う。


『ま、日本にもヤバいヤツが爆誕しよったけどな……』


『……?』

『誰だ?』


『上杉っていうキッショいポリ公や』

『ライブ動画で、ワイの事が好きだとか愛しているとか抜かしおったわ』

『見た目はハキハキとした大和撫子やが、中身はドブカスやきっと』


『……言いすぎじゃないのか?』


『公衆の面前で人を殺しながら、愛を叫んで来るヤツやで』

『それに好きでも無いヤツに好意を向けられる程、気味の悪い事は無いわ』

『しかも1回斬り合っただけやし』


『1回寝ただけみたいに言うな』

『てかお前の他にも居るんだな、女サムライ』


レイカは刀を抜き、闇の奥へと向ける。


『残念ながら、頭おかしいヤツしかおらへんけどな』

『ハドソン川に放流してみるか?』


『ふ・ふ・ふ……悪いが、危険生物の持ち込みは法律で禁止されているんだ』


『わははは!ワイらは危険生物か!』

『でもそれは言えとるかもな!』

『狭い島国の中で、1000年近くも刀振るって殺し合いして来たんや』

『マトモな進化してるワケあらへんやろ!学者ちゃん!』


彼女は綺麗な笑顔を作り、エスティアに微笑み掛ける。

エスティアは僅かに歩みを止めかける。


『(……コイツ等は私達ユダヤ人とは正反対の生き物だ)』

『(そして、ケンザキとウエスギとやらはその極致に居る)』

『(だが、味方であればこれ程頼もしい存在も居ない)』


問題は、何時それが裏返るかだけであった。


『……皆止まれ』

『向こうから震動音がする』


クエイドは幾何学模様の入った狙撃銃を構えた。


《つよいぞー!かっこいいぞー!》

《そしてかわいいぞー!》


闇の淵から熊の縫いぐるみを被った、巨大なゾンビが現れる。

同時に紫色のガスがレイカ達へ向かって来る。


『──全員戦闘準備や』

『あと一息やで!気ばれや!』


『『『おう!!』』』


高っちゃんはゾンビに向かって真っ先に駆け出す。

そして強烈なタックルで吹き飛ばした。


『──次は私の番だな!!』


エスティアは指先に光を集中させ、手を振って放った。

ゾンビは光に包まれ、焼かれ始める。


《立って!!ベアー5号!!》

《【死の外科医】にだんかいきどう!》

《《強化手術》!!》


地から這い出した白い手によって、ゾンビに対光コーティングが施され始め、光から脱出する。


『──残念ながらそれは想定済みだ』


【M82ニヌルタライフル】から電流を纏った弾丸が放たれ、ゾンビの頭部を吹き飛ばした。

同時にミレイアは素早く駆け出し、ゾンビに向かって連続回転蹴りを繰り出し、よろめかせる。


『ナイスや!オマエら!!』


レイカはミレイアの横を掠め、刀を複数回振り抜いた。

ゾンビの手足が落ち、傷口から炎が燃え上がって行く。


「葵、頼むで」

「浄化、効くかもしれん」


「ふふっ!頼まれた!」

「【陰陽遊戯】二段階起動」

「《怨念浄化》」


ゾンビの巨体が淡い光に包まれて行く。


「来世は楽しめると良いね!皆!」

「バイバイ!」


巨体は光と炎に分解され、消滅した。


《お、おまえたち!!ぜったいにゆるさないから!!》


『それはこっちのセリフやクソガキ!!』

『その青白い尻ひっ叩いたるから待ってろや!!』


《ひっ……!》


『(……良かった何時ものレイカさんだ)』


ミレイアはそっと胸を撫で下ろした。



~ニューヨーク地下鉄8番出口ダンジョン~

~原点階~


『……もう奴等を止める事は出来ません』

『ヴェルチカ様。私達はここまでの様です』

『奴等を何人か道連れにし、ラロシェルとユダヤ人共の意図を僅かにでも挫きたいと考えています』


《……申し訳ありません、ディレルヴァンガー》

《全ては私の不明による所……貴女達の功績はこの頭脳にしかと刻まれています》

《貴女達の仇は必ず打ち、報います》


『ありがとうございます』

『そう言って頂けるだけでも気が楽です』

『我々を拾って頂き、心から感謝しております』


《貴女の望みである科学教育現場とカリキュラムの改善……》

《これは来るべき【帝国】の建設時に最優先課題として、解決に取り組ませて頂きます》

《そうでなければ、貴女の味わった苦痛が無駄になってしまう》


ディレルヴァンガーはトーデスの白い髪を撫でる。


『出来ればトーデスだけでも逃したい……』

『しかし、あの女サムライは子供と言えども決して容赦はしないでしょう』

『彼女はラロシェルより遥かに恐ろしい』

『ラロシェルは気分で行動を変えないですが、あの女サムライの気性は全く予測が付かない……』


《……大艦隊と近代兵器で固めた大軍に日本刀で向かっていった、あの苛烈かつ鮮烈な魂は健在でしたね》

《やはり日本人は強敵です》

《超大国の抑えが効かなくなった日本人達……これから凄まじい暴走を繰り広げるでしょうね》


『はい。大隊からも少なくない犠牲が出るかと』

『そして、その1号が私達です』

『だからこそ、この戦いで得られたデータは必ず活かして下さい。ヴェルチカ様』


《了解です。ディレルヴァンガー》

《この敗北と屈辱、決して無駄にはしないしさせません》


彼女はトーデスを抱きしめ、額にキスをした。


『最後の【授業】よ、トーデス』

『教室に行きましょう』


『うん!』

  

『(この子にはまるで状況が分かって居ない……)』

『(でも良かった。本当の苦しみを味会わずに済むから……)』


そして、隊員達も武装を整えながら迎撃の配置に就く。

しかし、明るい地下公園に現れたのは燃え立つ魔王だった。


『ようお二人さん達』

『早い再会やったな』


トーデスは薄い身体を震わせ、ディレルヴァンガーの後ろに隠れた。

レイカは刀の峰で自分の肩を叩く。


『あーあー……隠れんでもええ……』

『どうせ晒し首になるんや』

『辞世の句は決まったか??』


『我々はハイクなど読まないのよ、ジャップ』


『ほうか』

『下の句は蛇足、ぐらい気の利いた事を言うて欲しかったんやが……まぁええか』

『高っちゃん。クエイド。エスティア。葵』

『やるで』


エスティアは動揺するミレイアの方を一瞥して、レイカへ言う。


『……本当にあの子供を殺すのか?ケンザキ……』


レイカはからからと笑い、彼女の首へ刃を素早く当てる。


『カハハハ……!』

『ヘタな冗談はアカンなぁ~……学者さん……』

『やるなら徹底的に、や』

『もしこのガキが生き残って、ワイらに復讐して来て誰かが殺された時……』

『オマエが責任取れるんか??あ??』


『………!!』

『(遂に来たぞ……!この女の一番アレな部分が……!!)』


レイカは刀を下げ、足を止めて硬直したミレイアへ言う。


『ここからは大人の仕事や』

『血で手が汚れた大人達のな』

『オマエは見てるだけでええ……』

『──だがな。世の中……綺麗事だけじゃ務まらん事、学んで行けや』


レイカは刀を水平に返し、ディレルヴァンガー達へ向けた。



プレッパーズに出て来る女サムライ共をNYに放流したら、どえらい事になります。

スズメバチ以上の獰猛さがあるからね。

おかりんは見た目はミツバチみたいにカワイイですが、調子乗ると殺戮モード入ります。

時々分からせられますが。


レイやんと上杉ちゃんは刀使い探索者のツートップだと思う。悪い意味でも。

前者は魔王面出る時あるし、後者は虐殺姫剣士になる。


次点は平良かな……兎に角、現代日本サムライ達は独特の倫理観と死生観、そして世界観を持ってる。

上杉ちゃんには倫理観自体存在しないんだけども。

でも才能はラインバウト卿に匹敵するか、下手したらそれ以上だと思う。

マジで厄介だ。どうすんだよこれ……


ラインバウトやリヴァのような西洋剣使い達とは、基本単独で会わせたらいけない感じ。

これはレイやんも含めてです。

だからこそ、ベルナルド配下の剣士ヴァンフリートが問題なんだ。

もし彼が殺されるか深手を負ったら、ベルナルドは必ず大規模な報復に打って出るので。


これは理屈じゃないのが更に問題だし、イカレサムライ共が日本にはウヨウヨしている。

ダンジョン業界でヤバい探索者が居ると評判なのは、トップがアメリカ人で、次点がロシア人、その次が日本人、その次がドイツ人、ブラジル人、コロンビア人、中国人、メキシコ人って感じの順位です。

これは現時点の順位なので、多分あっという間に……


アメリカ人探索者の評判を最もヤバくしているのは、ラロシェルとアーデルハイドです。

界隈ではこの二人にだけには近づくな、と暗黙の了解が出来つつあるぐらい。

そもそもヘタに近づいたら命が無いので、イメージだけで語られている部分もある。

会話出来る距離まで近づいたら、もうその時点で支配されるか操られるかなんだ。

それ以外にもヴェルミーナとか、クラリスとか、CIAとか、クライヴとか、マルタレータとか、エスティアとか……もうタレント揃いで涙が出て来そうだよ。


ロシアはもうヤストレブとマルファお母さん将軍が、ツートップで評判を作ってる。

他にも軍隊がセットで暴れまくるので、早期警戒情報ネットワークが出来上がってる。

日本は急速にランクを上げて来ましたが、原因の6割は平良と四十万、そして上杉ちゃんとレイやんです。

あとの4割は割と『舐められたら殺す』メンタルが復活しつつある事と、法整備が追い付いて居ない事が原因か。ダンジョン周りの無法さは飛び抜けてる。

平良はアーデルハイドの部下達に抗戦する為、もうすぐ出て来るかも。


ドイツ人探索者のヤバさを裏付けているのは、クレイエルだけではありません。

【機甲降下猟兵大隊】のドイツ人隊員達も、原因の一つとしてあります。

ヴィットマンも業界ではかなり有名な男です。


ブラジルやコロンビアについてはもう説明不要なレベルかと。

【コンキスタ・カルテル】とヒネス大佐の部下達が、ダンジョン内で抗争しています。

外でドンパチやっていたのを、ダンジョンへ移しただけですな。


中国は【五龍幇】が、メキシコはジュビアさんが原因です。

ジュビアさんは日本へ来る前、中南米最強の処刑人として恐れられていました。

彼女は妹のティエラと共に、ダンジョン内外で数万人のマフィアを殺害・処刑しています。

ティエラは同世代の探索者で、一番人殺しに抵抗が無いと思う。


正にポスト・アイカだ。パッと見はな……

レナは相手を選ぶし、クリチカは金の為だし、エレナは何だかんだで躊躇うし、ミレイアはなるべく殺さない様に心掛けています。

ティエラは血塗れになりながら、笑顔で手を振れる異常な少女です。

それは3章の最後ら辺か、4章で分かります。


閑話休題。


ディレルヴァンガー達は自分達の死を覚悟しています。

死兵なので、文字通り必死で抵抗すると思う。

が、これから戦うのは魔王ケンザキ率いる精鋭多国籍軍なんだ。

残虐な真似はしないと思いたいですが、レイやんのメンヘラ面を刺激してしまうと死ぬより辛い目に遭わされます。


イチカ絡みの話はまずNGですね。

でも、ディレルヴァンガー達はイチカの事を知らないので大丈夫でしょう。

ただ、親子関連の話は完全アウトです。

マジでクソゲーや。


エスティアは、ナチ共がどんな目に遭おうとも心底どうでも良い、とは思っています。

ですが、ミレイアに対しては既に仲間意識があるので、彼女の心境を慮った発言をしています。

しかし、それが魔王面を二段階起動させました。


次回、レイやんが隠して来たマルファより深いメンヘラ面が発動するかもしれない。

やっぱり、ナチ達は死ぬより酷い目に遭わされそう。

マジで怖いぞ。というかゾッとすると思う。

これが女サムライって生き物なんだ。


愛と依存で人はここまで狂えるんだと、こっちが思ってしまった。

上杉ちゃんはひたすら軽いけど、レイやんはひたすらに重い。

恐らく、レイやんに対する見方がかなり変わると思う。


あと、人間の愛と輝きを感じすぎて、ラロシェルが絶頂する。

一番レイやんにハマっているのはヤツかもしれない。

リアルタイムで観てて、マジ楽しいだろうなコイツ……


で……話は変わるけども、イチカはアイカやゲオルグ、レナやヨハンとの方が大分サッパリしていて、良い関係だと思う。 

というか、ある意味健全かつ正統派的な関係性だ。

それ以外の連中がおかしすぎるんだよ。

四十万はおかしいのが普通なので除外ですねぇ。


次回はアイカが唸るほどレイやんを警戒していた、本当の理由が分かる。

あーやべぇ。楽しすぎるわ。

ラロシェルの気持ちがすっげぇ理解わかる。


これで今回の後書きは終わりだ。


「面白かった」「次も期待している」「皆に絆が出来ているのが良い」

「アメリカマジでヤバすぎへんか??」「それはそう」「キッショいポリ公は草」

「アラサー二人の会話が面白い」「このパーティー面白いし対応力あるなぁ」

「ヴェルチカ、部下には優しいな」「アメリカ……理科教育……うっ、頭が……」

「この状態のレイやんはヤバい」「魔王来ちゃったぜ」

「ア レ な 部 分」「エスティアのレイやん理解度高くて好き」「心までラロシェルになるな」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

宜しくお願い致します。


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