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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第三部:駆け抜けろ 燃え尽きたろか シンデレラ

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143/155

ニューヨーク地下鉄8番出口ダンジョン(中編)

カサカサカサカサ……


鑑賞用BGM(改札から):https://www.youtube.com/watch?v=8fsYG7MOaJA

鑑賞用BGM(マイナス10階から):https://www.youtube.com/watch?v=d5w1Y3I6Cjc

鑑賞用BGM(ラーチン大統領の別荘から):https://www.youtube.com/watch?v=8brAe0DWoRM


~ニューヨーク地下鉄8番出口ダンジョン~

~改札~


『……酷い臭いだ』

『ガスマスク越しにも伝わって来ている……』


『確かに肉が腐ったような臭いがしとる……』

『マスクを外したら、鼻が一瞬でおかしなるわ』

『何処か安全な休息場所を見つけとんな、予定通り』


『これだけ大きな駅なら、休憩所か仮眠室があるハズです』

『そこでなら休めそうですが……』


葵は紙垂棒(しでぼう)(※1)を取り出した。

彼女は自販機の前で立ち止まり、棒を左右に振る。


「ここら辺が良いかな……」

「【陰陽遊戯】起動」

「《清浄領域》」


彼女を中心として円形の光が出現し、青い光の壁が出来て行く。


「レイカ」

「休憩場所作ったから、皆を連れて来て」

「ここならガスマスク外せるから」


レイカはミレイア達に声を掛け、青い光の中へ入って行く。


「ホンマや……!」

「臭いどころか、暑さも寒さも感じんわ……」


エスティアは座り込んで言う。


『……葵が居るのと居ないとのでは、探索の難易度がケタ違いだ』

『ダンジョン内に安全地帯を作れるこの人材、他の連中にバレるワケには行かない』

『な?私の言った通りだろう?』


『あーへいへい』

『ご先見の明がおありのようで』


『まだ拗ねてるのか、コイツ……』

『まぁ良い……こうやって休憩場所を点で繋いで行けば、来た道もすぐ戻れる』

『ふ、ふ、ふ……予想より攻略は早いかもな』


クエイドはマスクを外し、狙撃銃を下ろす。


『ただ、警戒は怠れない』

『臭気は入って来れなくても、人間は入って来れる』

『モンスターに対しても未知数だ』


『正直、それが問題なんや』

『どんなモンスターがおるか……』

『こんな場所に生息しているなんて、十中八九ロクでもない感じやろうけど……』


ミレイアは何かに気付き、レイカの肩を叩く。


『も、もしかしてアレでは……』


8つ足の巨大人面ザトウムシが、レイカに向かってニコリと笑いかけた。


「##$%&’()%&’()!”#$%&ー!!!」


彼女は悲鳴にならない悲鳴を上げ、刀で斬り掛かって行く。

人面ザトウムシは燃える刀に切り刻まれ、緑色の液体を噴き出しながら倒れた。


「うえっ……!」

「虫……苦手なのかなレイカ」


「そ、そういう問題なんでしょうか……」


「昔から、多足類は苦手!ヤー!」


つまり、レイやんはムカデとかもダメです。

かわいいね。

エスティアは腹を抱えて大笑いする。


『そんな面して虫が苦手なのか!』

『随分と乙女じゃあないか!!』


カサカサカサカサ……


『『『え』』』


大量のソレ(・・)が、騒ぎを聞きつけて階段から這い上がって来ていた。


『に、逃げろ!』

『こんな狭い場所で相手に出来るか!』


『……!』


「て、撤退、撤退です!!」


「ブクブクブク……(気絶)」


しかし、高っちゃんはソレ(・・)らの前に立ち塞がった。

そしてサイドチェストのポーズを取る。


【ハッ(笑顔)!!】


筋肉と笑顔の輝きが、人面ザトウムシ達を消し飛ばした。


『『『!?!』』』


【ん~~!】

【絶好調!ヤー!】


高っちゃんの筋肉はアメリカの筋肉達を見て、絶好調なようです。


『ケンザキ!』

『一体何なんだコイツは!』

『説明の付かない現象を起こしているぞ!!』


『高っちゃんや!』


『説明になっていないぞ!』


クエイドとミレイアは信じられない、と言った顔をしている。

葵は泡を吹きながら気絶していた。


【ムムッ!?】


高っちゃんは気絶した葵に駆け寄り、パンツの中からプロテインを取り出した。


『お、おい!!何をする気だ!!海パン男!』


【プロテインは誰でも元気なれる】

【違いますか!?】


『英語喋れたのか!?』

『い、いやカタコトだ……!』


プロテインを飲まされた葵は気を取り戻して行く。


「う~ん……」


「気付いたか」

「オマエ、高っちゃんに礼を言うておくんやな」


「サンキュー!!高っちゃん!!」


「(プロテインの出所については黙っておこう……)」


葵は笑顔で、高っちゃんの筋肉に塗れた手を握り返した。


~ニューヨーク地下鉄8番出口ダンジョン~

~マイナス10階~


『し、しかし……!ヴェルチカ様……!』


《ディルレヴァンガー》

《この作戦はアーデルハイド様と私、そして貴女達しか知らない秘密作戦》

《アーデルハイド様が止めろとおっしゃるのなら、止めるのが筋ではありませんか?》

《それに第一……》


『ヴェルミーナ隊長ですか……』


《はい》

《彼女はある意味で潔癖症です》

《集団の純潔性に一番拘っているのは彼女》

《この事を知れば、敵の討伐よりはまず粛清に動くでしょう》


『トーデスの我儘はこれ以上許容してはならない……』

『そういう事ですか?』

『集団の分裂を招く前に引き揚げろ、と……』


《……分かっているとは思いますが、貴女の主戦場はあくまでも対ラロシェル軍と対ユダヤ人です》

《今北海道では、ロシア軍を北海道南部から駆逐出来ています》

《この良い流れは維持したい》

《それにアメリカ本土の不穏さ、貴女も感じ取っているでしょう》


ディルレヴァンガーは座席に腰掛け、息を吐いて言う。


『……はい』

『ニューヨークは最早、普通の白人が住める場所ではありません』

『それどころか、リベラル派が独自に検問を敷いて、ユダヤ系から所持金を巻き上げる始末です』

『混沌とした、ソドムの街と化しています……』


《そこに【秩序】を取り戻すのが、我々の使命です》

《頼みましたよ、ドクター・ディルレヴァンガー》


『はい……!』

『ハイル・アーデルハイド!』


《ハイル・アーデルハイド》


通信が切れる。

ディルレヴァンガーは無邪気なトーデスの姿を見て、思わずため息をついた。


『……私は良い……』

『しかし……この子が生きる場所など、他の何処にあると言うの……』


彼女は力なく項垂れた。



~ロシア・モスクワ郊外~

~ラーチン大統領の別荘(ダーチャ)


『ハハハハハッ!!』

『場違い過ぎて戦場に帰りたいぞ!!』


灰色髪の男が、秘書らしき美女に別荘の中を案内されて行く。


『(うるさい人だなぁ……)』


『何だ!?これは宮殿か!?』

『噴水だ!!鳥か!?彫刻か!?ワケが分からないぞ!!』


『(ワケが分からないのはお前だよ……)』


男は客間に通され、そこで暫く待つように言い渡された。

数秒後、男は椅子から立ち上がって叫ぶ。


『待てるワケが無い!!』

『探検だ!!』


何て命知らずだ、コイツ……


『何て廊下の長さだ!!』

『ランニングマシン要らずだな!!』


男は廊下を凄まじいスピードで往復する。


『こっちに懸垂が出来そうな彫像があるぞ!!』


男は女神像の腕に跳び掴まると、その場で懸垂を始めた。


『ハハハハハハ!!』

『俺も成りたいぞ!!大統領!!』


TPOはこの男にとって無力な言葉だ。

その時、黒髪赤目の女性が彼に声を掛ける。


『貴方がヤストレブ?』


『ハハハハハ!!如何にも!!』

『凍土の1等星、リナト・ヤストレブだ!!』


女性は女神像のもう片方の腕に掴まり、懸垂を始める。


『貴方は【死】についてどう考える?』


『何も!!』

『全ての人間は俺が星になった事を知るのみだ!!』


『……100点』

『完璧な回答よ』


女は回転しながら飛び降り、ヤストレブに向かって手を差し出す。


『待っていたわ、イレギュラー』

『ラーチンを使ってまで、呼び出した甲斐があった』


ヤストレブも回転しながら飛び降り、女の手を握って激しく手を振る。

女は微笑みながら言う。


『私は【超人ナスターシャ】』

『貴方の最後の敵になるかもしれない女よ』


『ははは!!何と!!お前が!!』

『これは一杯食わされたな!!』


ヤストレブは手を離し、窓を開ける。


『で、俺の敵は誰だ!?』

『【魔女】か!?【黒い鳥】か!?』

『それともお前か!?』


『【魔女】』

『でも、生かして私の前に連れて来て欲しい』


『ハハハハ!!難題だな!!』

『だが!!それでこそやり遂げる価値がある!!』

『その後にクレイエルかお前だな!!』


ナスターシャは階段の手摺に腰掛ける。


『上手く行けば、だけど』


『上手く行く事を願っているぞ!!死人(・・)!!』


『──!!』


『あの青い戦友達と戦ってから、やけに頭が冴える!!』

『今まで視え無かった事が、視える様になって来ているんだ!!』

『俺はお前が言われたくない事でもガンガン言うぞ!!』


『(侮っていた……)』

『(この男は単なる英雄などではない……)』


ヤストレブの無邪気な姿を映す赤い瞳に、僅かながら警戒心が灯った。



※1 

主に神事でお祓いに使われる、木や竹の棒に白い紙垂しでを付けた「大幣おおぬさ」や「祓串はらえぐし」を指す。

穢れを払う道具として使われるが、使う側が穢れに塗れてるのはギャグか??


マジで天使だぜ、ちゃんミレは……

一癖も二癖もある大人達を相手に、これだけ上手くやれているのはエラい!

大人になれないアラサー共は見習ってくれ。


ミレイアを採用したベルナルドの人物眼が、やはり光る。

彼は人材登用・育成という点においても比類が無いと思う。

一度ファミリーになったら、限界以上にメンバーのポテンシャルを引き出してくれる。

しかも困った事があったら、ミューゼさんやベルトラン達の手厚いサポート付きだ。


レイヤんはそういう人物に、ある種育成手腕を見込まれ、信用されて大事な構成員を託されたワケです。

これって、横の繋がりとか組織外への出張とか、研修的な事も兼ねているよなって……

ちゃんミレは多分、ベルナルドの中では幹部候補生として育てる対象に入ってるのかもしれない。


ジュビアさんはミレイアの事はいち構成員として、人並みの態度で接しています。

まともな人にはまともな接し方をする人ですが、ラベリングで人物を判断する事も多いから、気を付けないといけない人でもある。

マルファの部下、ってだけでエレナを殺そうとした人でもあるので……

上杉ちゃんなんかより遥かに怖いぜ、この人は。


あと、感情の落差が極めて激しい人でもあります。

根本はレイやんよりも激しい人ですが、まだそれは表に出ていません。

ラテン系の女、その最たる人物だと考えてます。

この女を乗りこなしているベルトランの凄さは、じき分かる。


レイやんとケンカになる可能性もあります。

でもケンカしたら、仲直りのキスだってアーデルハイド閣下は仰っていますぜ。

能力全部それに使ってくれ閣下。


ヤストレブが僅かに、そして強烈な野心を覗かせてきた。

純粋に闘いのみにしか興味ない、とこっちも思っていたんだけども……

幾多の戦いを経て、彼にも思う所が出来たんだろうか。


国を私物化して全てを闘争にブチ込んだ方がいい、その為には大統領になるのが一番いい、という考えに至るのはある種合理的だとは思う……

しかし、大統領の別荘で大統領になりたい、ってとんでもないなコレ……

しかも影の大統領にそれを聞かれてしまっている。


彼の能力にも、第四段階になった影響が現れています。

彼の認識力は既に人間を遥かに超え、直観力も人ならざる領域へと足を踏み入れている。

分かり易く言うと、彼は数式を解かなくても直接答えが分かってしまう様な状態です。


多分、背後から攻撃を仕掛けられても、余裕で回避出来る。

これが他に出来るのはヴェルミーナ、クレイエル、ヨハンぐらいです。

にしても、戦友のはしゃぎっぷりはある意味かわいいな……

夏休みに田舎へ帰った少年みたいだ。


以下虫に関する人物ごとの見解①:


いっちゃん → 窓開けて逃がせばいいだろ?

アイカ → ナイフでグサッ!です!

ハルカ → 共同生活者なんだよね

レイやん → ホンマ苦手なんや勘弁してくれ


ゲオルグ → 別になんという事もないけどなぁ……

フェルゼン → 皆殺しですわ❤️

ヨハン → ゲオルグに付く悪い虫はお兄ちゃんが一掃してやる!

ふみふみ → 角材に止まる秋のトンボ


平良 → 訓練で食べた(遠い目)

キリエ → 手掴み出来るよ、あと背中に入れるよ


四十万 → (気絶)

リン → 実家では良くみかけましたにゃ

大道 → クワガタ、カッコ良いですよね……

張本 → 今日もセミの音がするな……

九子 → 一寸の虫にも五分の魂どすえ❤️

上杉ちゃん → 殺!!

おかりん → あっ……

ハンジロー君 → まだ虫の方が上等っすよ


お母さん将軍 → 隣人❤️

ヴァヴィロフ → 私を虫のように踏み潰して頂きたい!!

エレナ → (悲鳴)

ジーカ → 遊び道具

ヤストレブ → 片っ端から食ってみようか!!

ベリンスキー → 真夏の夜の夢……


クレイエル → 虫篭に入れて世話した後、森に放す

レナ → 笑顔で潰す

クリチカ → バルサン

ルヴィアンカ → 街灯に集まる虫を眺める


アーデルハイド → 撫でる

ヴェルミーナ → 訓練で食った(遠い目)

クラリス → お姉ちゃんの悪い虫になりたい

アルグゥ → 無視

ヴィットマン → ビートルはいいぞ……!最高の乗り心地だァ……!

ヴェルチカ → 私はアーデルハイド様に引き寄せられた、知性ある虫です(キリッ)


聖少女 → カブトムシ!ゲットだぜー!

ラインバウト卿 → シューマンか、また弾きたくなった……

モントヴァン → フライ(ハエ)級で一番強い選手?

ロベール → ハチミツ作りが家業です

ティフォン → エビってクモの仲間ですよね?

ソリタリウス → ブローチ……


葵 → 集合恐怖症

エリち → 飼ってるトカゲのエサ

エスティア → フィールドワークには付き物だな

クエイド → ……訓練で食べた(遠い目)

ヘイリー → ハエトリグモに芸を覚えさせた事あるぜ!

リヴァ → てんとう虫、てんとう虫かわいいです……!

ユンユン → 食える虫、沢山あるネ!


四十万がダントツでかわいいぞ。どうなってんだ。

遠い目をした人達は、一体どんな虫を喰わされたのでしょうか。

目の前でカミキリムシを手掴みで喰ったおっさんのインパクトは、今でも脳裏に焼き付いています。



ここまで読んでくれて感謝するぞ!!戦友ッ!!


「面白かった」「ちょっ、お前がシメるのかよ!」

「地下鉄って独特の臭いする」「安全地帯作れるのは完全にチート」

「確かにロクでもない生き物だった」「カサカサカサカサ……」「え」

「巨大人面虫で悲鳴上げるレイやんかわいい」「高っちゃんがもう欠かせない人材過ぎる」

「の、飲みたくねぇ……!」「でも効果すげぇ……」

「確かにミーナはこういう作戦嫌いそう」「ヴェルチカは裏仕事も引き受けてるんだな」

「トーデスちゃんが足かせにもなっているのか」

「久々だな!!戦友!!」「うるさい人なのはそう」「元気の良い小学生みたいだ」

「遊びに来たんじゃねーんだぞ!」「サラッと100点の回答決めて来るのは流石」

「懸垂コミュニケーション疲れそう」「戦友が途轍もなく成長してる……」「カミキリムシって食えるんだ……」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

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