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10 露見

-10月17日(日)美島家11:00-



 尚は昨日恵里の家で見つけた日記を読んでいた。日記は1Pからあまり内容が変わらないことだった。その日起きた出来事などが書いてある。だが気になる点があった。恵里の日記はだんだんと内容が簡素化され日記の日付の最終日10月12日にはただ一言「眠い」と書いてあった。



 尚はここ1か月の恵里の様子を思い出していた。確かに恵里はここ最近よく居眠りをしていた。しかしこの日記から恵里がいなくなった理由は散見出来ない。結局恵里の家に行ったのは無駄足だったか。尚は溜息をついた。







   

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-10月20日(水)区立三花女学院09:30-



 恵里の家を訪れてから3日経ったいま、事態は急変していた。東京都内各地で集団失踪事件が群発してたのだ。ニュースで報道されているだけで18件、世田谷区成城での2件、目黒区自由が丘での1件、大田区蒲田での1件、そのほかに世田谷区でさらに5件、目黒区で2件、大田区で2件、杉並区で3件、渋谷区で2件発生している。




 ことが公になったのは、自由が丘の一画で住民の失踪事件が発生したからだ。そこの住民からの通報でその一画の住民が失踪したことを受け、世田谷区での失踪事件もあり警察も公表しないわけにはいかなくなったようだ。





 尚は思案していた。すでにクラスにも恵里を含め何人か消息を断っているらしい。空席がチラホラ見受けられる。報道では失踪事件発生場所は18件となっているが露呈していないだけでもっとあるだろう。この事件はここ2日程、ずっとニュースで取り上げられているが失踪した人たちから何の音沙汰もないし目撃証言も確かなものがない。




 黒板にはスケッチと共に、ショウジョウバエの生態とその交配についての板書がなされているが尚はすでに深い思考の中だった。報道では大規模な誘拐やテロの可能性があるとの政府の発表があったと報道されていた。




 でもおかしい。それなら何かしらの要求があったり犯行声明があるはずだ。しかも誰にも見られないで一夜で街を空っぽにするなんて意図的でないと不可能だ。これは失踪した人たちが自身の意思で行った意外に考えられない。でも何故、そしてどうしてこんなにも集団で?




 だめだ。情報が不足しすぎている。尚は放課後ある人に電話しようと決めた。







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-10月20日(水)成城12:00-




 大軒は悔いていた。決定的に初動捜査が誤っていたのだ。政府発表によると誘拐やテロの可能性も否定できないと発表された。世田谷区は失踪した人の数が一番多い。その数はすでに2000人を超えている。成城署、世田谷署、玉川署、北沢署が連携して今は捜査が行われている。捜査本部は第一発生現場と思われる成城署に設置され、警視庁本庁よりテロ対策課の人間も加わっている。




 そんな中での成城署の初動捜査のまずさについて各所および警視庁より糾弾されたのだ。なぜ報告しなかったのか、これがテロであるならば極めて重大な事案であると。




 大軒は直接的に糾弾されることはなかったものの、現場責任者として1週間の謹慎命令が下された。歯痒い思いだったが甘んじて受け入れた。それだけのミスを犯したことは十分承知していたからだ。




 かといって自宅でじっとこもっていることなど到底できはしなかった。もしこれが大きな犯罪組織がかかわっているものだとしたら。大軒はその正義感から、若干の罪悪感を感じながらも独自に捜査を行うこと決めた。








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-10月20日(水)世田谷区世田谷保健所11:00-



 世田谷保健所所長の加藤かとうかおりは頭を悩ませていた。ここ数日、野良犬や野良猫をふくむ野生動物の死体が大量に運ばれてきているからである。




 保健所としては悪質なイタズラが横行しているとして警察にも相談しているのだが一向に減らない。しかも動物病院からも野生動物だけでなく、飼い犬や飼い猫が殺されているとの通報が入った。




 加藤かおりは怯えていた。言いようのない不安が今都内を覆っている。大規模失踪事件、テロの可能性も示唆されている。そして動物大量虐殺。日本という安全であると思っていた国のその治安が根本から揺らぐような。そんな不安に駆られていた。

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