9 広がる苛立ち
-10月16日(土)世田谷区美島家22:00-
あの後、尚と綾香はくたくただったので綾香が呼んでくれたタクシーで帰った。恵里の日記について綾香に話そうかとも思ったがやめておいた。なんとなくだが恵里はこの日記を私に残してくれたような気がしたから。
帰ってすぐシャワーを浴び自室のベッドに飛び込んだ。まだお昼であったが尚は睡魔に勝てず寝入ってしまった。恵里の日記は起きてから読もう、そう思い夢も見ず寝て起きたら22:00であった。
しまった。寝すぎたなと思いつつリビングに行くと素がテレビを見ていた。
「やっと起きたの。珍しいわね、こんなに長く昼寝してるなんて。おなか減ってるでしょ?ごはんテーブルにあるからチンして食べなさい」
「うん」
食卓にはご飯があり急におなかが減ってきた。そういえば朝ごはん食べてから何にも食べてなかったな。
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-10月16日成城署刑事部22:00-
大軒は今日残業をしていた。というのも、佐々木照子遺体事件、その周辺の失踪事件、続く成城内での第2の失踪事件について何らの手がかりもないからだ。
ただし、検死解剖に回された佐々木照子については気になる意見が散見されている。
1 遺体が異常なまでに脱水状態であること
2 下半身の特に大腿骨周辺部の筋肉が異常発達していること
3 甲状腺が異常肥大していたこと
4 皮膚に多大な火傷があること
5 死後硬直がないこと
現在は鑑識課による捜査結果待ちだ。
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-10月16日東京都目黒区自由が丘一画22:00-
安田翔は家につくとアレっと首を傾げた。電気はついてるのに妻も息子もいない。
食事は食卓に用意されてあった。
アレ、おかしいな。外食にでも行ってるのかな。
そんなことを思いながら妻の携帯に電話するが出ない。なんだよ、連絡位のこしておけよ。安田翔は少しイライラしながら飯を食べ始めた。
-10月17日(日)01:00東京都大田区蒲田一画-
蒲田の一画はシーンと静まり返っていた。終電もなくなり通行人もいない。街灯が照らす道をさっと何かが駆けたような気がした。コンビニ店員である東啓二はパッと入口の方を見やる。気のせいか。一瞬何か大きな、人間位の動物がすごい勢いでかけたように見えたが。
馬鹿馬鹿しい、眠いんだな俺は。そう思い店の商品である検品前のコーヒーを取り出し飲みながら検品を再開した。
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-10月17日(日)目黒区自由が丘01:00-
クソ、律子と彰浩は何をしてるんだ。翔はイライラしながら何度も妻の律子の携帯に電話を掛けた。ずっと、さっきからずっと呼び出し中のままだ。
土曜日で休日出勤してきた俺にお帰りのあいさつもなしか。クソ、誰のためにこんなに馬車馬のように働いていると思っているんだ。
怒りと仕事による疲弊で疲れ切った翔は風呂に入らずベッドに入り眠り込んだ。結局律子からの返信は来なかった。そして律子から返信が来ることはもう一生ないことなど翔は知る由もなかった。




